結婚式で新郎が衣裳に合わせ着用する靴は主に3種類
photographmd – stock.adobe.com
結婚式で、新郎がタキシードやモーニングに合わせて着用するフォーマルシューズ(ドレスシューズとも)は、現在の日本のウェディングシーンでは大きく分けて4種類です。
・オペラパンプス
・エナメルシューズ(紐付き・内羽根)
・レザーシューズ(紐付き・内羽根)
・カジュアルウェディングなどの場合は衣裳に合わせた靴
結婚式で新郎が衣裳に合わせる靴はオペラパンプスかエナメルシューズが一般的
新郎の衣裳は、会場の中でも最も格が高い正装(フォーマル)な衣裳です。また、華やかな新婦と並んでも見劣りしない華やかさも求められるため、靴選びは新郎新婦の衣装選びと合わせてバランスを見ながら決める必要があります。
結婚式会場の格や衣裳の格に靴を合わせてコーディネートする場合は、フォーマルウェアに合わせて造られている「オペラパンプス」「エナメルシューズ」を選ぶのが一般的です。
オペラパンプスとエナメルシューズの履き分け
オペラパンプスとエナメルシューズは、一般的なマナーでは時間帯で履き分けます。
欧米の夕方と夜の境目である17時から18時が境目となり、昼から夕方はエナメルシューズが適切で、夕方以降はオペラパンプスが適切と考えられています。
ただし、前提として格式が高い靴とされているのはオペラパンプスで、新郎の靴として正礼装であれば、どんな装いでも合わせてOKです。エナメルシューズの方が、時と場合によってはNGの場合もあります。
ウェディングスタイルと衣裳によっては靴の選択も多様化している
近年の新郎のコーディネートはリアルクローズ寄りにトレンドが変化しており、ウェディングシーンもカジュアルでアットホームなウェディングや少人数ウェディング、リゾートウェディングなと多様なスタイルが急増しているため、ウェディングの雰囲気や会場の格式に合わせエナメルシューズや、さらにそれ以外のレザーシューズの選択肢も広がっています。
結婚式で新郎が衣裳に合わせ着用する主な靴の種類と素材について解説
現在の日本の結婚式で、新郎が衣裳に合わせる主な靴は「オペラパンプス」「エナメルシューズ」「レザーシューズ」と紹介しましたが、どのようなデザインや素材が使われているか、それぞれ紹介します。
結婚式で新郎が履く靴【1】オペラパンプス
『オペラパンプス』という名称の通り、オペラの観劇や音楽会、舞踏会、晩餐会などの夜会用に着用される靴です。
リボン飾りと光沢のあるエナメル素材で、柔らかな曲線は一見するとレディースのようですが、タキシード着用時のもっともフォーマルなルームシューズです。
結婚式で新郎が履く靴【2】エナメルシューズ(紐付き・内羽根)
ウェディングなどでの正装で履くのに、現代ではオペラパンプスよりもエナメルシューズが主流です。
オペラパンプスほどの制約はなく、デザインも『内羽根のプレーントゥ』か『ストレートチップ』なので、一般的なビジネスシューズと近い印象です。その中でも『ストレートチップ』はフォーマル性が最上級です。
エナメル素材(パテントレザー)とは
エナメル素材とは、高品質のカーフレザーの表面にウレタン樹脂のコーティングを施した光沢仕上げの天然皮革です。オックスフォードシューズやオペラパンプスなどのフォーマルなデザインと組み合わせるとパーティーシーンに最適な一足になります。
フォーマルでパテント(エナメル素材)を履くのは、男性がパートナーの女性のドレスを靴墨で汚さないよう配慮する理由から。特に結婚式では新婦の純白のドレスを汚してしまう恐れがあるため、オペラパンプスや紐付きシューズもエナメル素材を選ぶのが一般的です。
また、エナメル素材の靴は光を反射するためドレッシーな印象になり、華やかな花嫁の隣でも見劣りしません。手入れも、パテント素材は乾いた布で磨くだけで充分な光沢が出るので扱いやすい特徴があります。
結婚式で新郎が履く靴【3】レザーシューズ(紐付き・内羽根)
レザー仕様の紐付きシューズで、ゲストも着用しているドレスシューズと同じです。が、新郎が結婚式の衣裳に合わせて着用する場合には選び方もマナーに沿った形で選ぶ必要があります。
価格は様々ですがビジネスシーンにも使え、ソールを張り替えたりきちんとメンテナンスすれば長く愛用できるため、近年では結婚式だけでなく今後の生活のなかでも使いたいと記念に購入する場合、レザーシューズを選ぶ新郎も増えています。
デザインはプレーントゥかストレートチップで。
紐付きの靴のデザインで、最もフォーマルなのがプレーントゥまたはストレートチップです。また、内羽根と外羽根であれば、内羽根のデザインのほうがフォーマルとされています。他のデザインはそれよりは格下とされているため、避けたほうが無難です。
革の素材はスムースレザー
スムースレザーとはシボ加工(凸凹を作る)や起毛加工がされていない、なめらかな表面を持つよう加工された革で、多くの方が知っているポピュラーな加工技術です。
基本的な革靴、特にドレスシューズは一般的にスムースレザーを使って製作されています。
スムースレザーは牛革で作成されることがほとんどで、新郎が着用するドレスシューズもほとんどが牛革で造られています。
カーフスキンとキップスキン
靴として使用される牛革は主に4種類あり、生後の年齢によって区別されています。
その中でもカーフスキン、キップスキンは高級靴のアッパー素材として使用されることが多く、新郎が着用するレザーシューズもこちらを用いた靴が選ばれるケースがほとんどです。
・カーフスキン
生後6ヵ月程度の子牛から採れる革です。緻密な繊維構造を持ち、表面がなめらかで柔らかいのが特徴。牛革の中で最も上質かつ高級とされる素材です。
・キップスキン
生後6ヵ月~2年以内の中牛から採れる皮です。カーフよりも厚みがありながらも、表面はなめらかです。
結婚式で新郎が衣裳に合わせて着用する靴の色と高さ。白や茶色はOK?シークレットシューズは必要?
benevolente – stock.adobe.com
新郎の靴で、「挙式に茶色の靴は履いてもよい?」「新婦が高いヒールを履くので立った時のバランスが心配」といった疑問です。靴の色や高さは、どのように決めたり配慮すべきかを解説します。
結婚式で新郎が履く靴の色は衣裳の色に合わせ黒か白が一般的
一般的には白い衣裳には白い靴を、黒い衣裳には黒い靴を合わせます。そしてグレーやシルバーの衣裳の場合は白か黒、シャンパンゴールドの衣裳には白、茶色の衣裳には黒を合わせるコーディネートが多いでしょう。
明るい色の衣裳には白い靴、暗い色の衣裳には黒い靴を合わせる方が、統一感が出て綺麗にまとまります。
茶色は挙式や披露宴では避ける
新郎の衣裳としてメジャーなタキシードに合わせる靴の色としては、結論からいうと、厳密なフォーマルのルールからすれば茶靴はふさわしくありません。
階級社会の影響から生まれた「室内で履く靴は黒、屋外で履く靴は茶」として、黒い靴は貴族が履く靴、茶色の靴は田舎者(カントリー)が履く靴と考えられています。
イギリスでは今もビジネスでは茶靴を良く思わない文化が残っており、基本的にはタキシードの靴は黒が原則で、一般的には茶色の靴は二次会やお色直しで選ぶ方が多いようです。
ただし、現在ではタキシードの色が多様化している点や、ウェディングスタイルも格式からテイストまでさまざまです。
ブラウン・ベージュ・明るいネイビーのタキシードはカジュアルウェディングやリゾートウェディングで人気の色ですが、このような明るく爽やかな色には茶色の靴がよくあいます。「カジュアルでアットホームな雰囲気の挙式にしたい」場合には、茶色の靴も問題はありません。
コーディネートは靴の色とアクセサリーに統一感を
全身同じ色で統一せずに、アクセントカラーでおしゃれにコーデしたいという場合、靴の色だけ違う色に変えてしまうと靴だけが浮いてしまう場合があります。
ベストやタイの色と靴の色を同系色で合わせて調整するとまとまり感がでるでしょう。
靴下の色は、歩いたり座ったりする時に見える部分です。差し色で綺麗な色を合わせるのも素敵ですが、靴と同じ色の靴下を選んで、スタイリッシュにまとめて下さい。
シークレットシューズの選択は花嫁とのバランスを考えて
花嫁がウェディングドレスを選ぶ際、ドレスのウェスト位置やデザインによって「ドレス姿が最も美しく見える」「前の裾を踏まずに歩ける」という理由から、多くの場合は高いヒールを合わせます。
しかし意外に多いのが「新郎より花嫁の方が背が高くなってしまう」「同じくらいの身長になってしまう」事態です。
花嫁のドレス姿で美しさを追求すると、新郎との身長バランスがうまくとれないという悩みには、新郎側も花嫁に合わせてシークレットシューズの着用が一般的です。
もともとメンズのドレスシューズにもヒールアップ効果はありますが、シークレットシューズでは3cm~最大15cmまで、自然にヒールアップが叶えられます。通常は5cm~10cmの範囲での着用が多いでしょう。
シークレットシューズはウェディング衣裳のレンタルサロンではほとんどの場合用意がありますし、専門店での購入も可能です。現在ではシークレットシューズ専門のインターネット通販店も数多くあります。
新郎にとっても一生で一度の大事なイベント。衣裳姿でのフォト撮影もたくさん画像で残るので、最高の思い出作りのためにシークレットシューズもぜひ検討してください。
結婚式で新郎が衣裳に合わせ着用する靴下のマナー。衣裳とのコーデは?
Halfpoint – stock.adobe.com
新郎が履くソックスは、結婚式にゲストとして参加する際のスーツに合わせる靴下のマナーとさほど違いはありません。
ですが、結婚式で着用する衣装の種類や色によって、着用する靴下も異なります。
結婚式の新郎衣裳に合わせる靴下の色
結婚式の新郎の靴下は、基本的に黒色がマナー。
ブラックやグレーなど一般的なタキシードやモーニングで多く選ばれる色であれば、黒色の靴下を選びます。
靴下はパンツと靴の中間に位置しているため、全く異なった色味にしてしまうと目立ってしまいます。パンツの裾から見えてもおかしくない色を選びましょう。
ただし、白やオフホワイト、ベージュなどのタキシードを着用する場合は、タキシードと同色の靴下やコーディネートに合わせた色合いを選ぶ場合もあります。
【靴下の色の選び方例】
・黒やシルバーグレーのタキシード…黒の靴下
・白のタキシード…白の靴下
・オフホワイトやベージュなどの明るい色のタキシード…同色の靴下
結婚式の新郎衣裳に合わせる靴下の柄
新郎の靴下は無地を選ぶのが無難です。一般的には柄ありと無地では、無地のほうがフォーマル度が高いとみなされています。新郎衣裳でよく選ばれるタキシードやモーニングコートの色に合わせて選ばれるのが一般的です。
タキシードなどフォーマルな衣裳に合わせる場合柄はできるだけ避ける
基本的には衣裳と同系色の無地が推奨されています。
が、同色の織り柄で遠目には無地に見える靴下も問題はないでしょう。
柄に色がついていると、場合によってはNGになる可能性があります。足を組んだ時など、靴下が見えることもあり得ます。
ストライプ柄はモーニング用
礼装用の靴下を売っている所にいくと、黒無地の靴下ともう一種類、黒地に細い白色のストライプが入っているものや、『オルタネートストライプ』と呼ばれる、黒地に白とグレーの2本のストライプが等間隔で交互に入っているものがあります。
ストライプの靴下はモーニングコート着用時に履く用です。
モーニングコートのスタイルはスリーピースですが、組下となるパンツはコールパンツと呼ばれるグレー地に黒と白のオルタネートストライプが走っている柄のパンツです。それと黒の革靴をつなぐ役目の靴下なので、ストライプ柄もOKになるのです。
日本の結婚式ではモーニングコートは父親が着用するケースが多く、新郎はモーニングを避ける傾向が強いため、モーニングを選ぶ際には両家の父親と衣裳についてすり合わせしましょう
ブランドロゴ入りは避けたほうが無難
靴下には、ブランドのロゴやシンボルマークがくるぶしあたりに施されているものがありますが、NGではないけれども、ないほうがよいでしょう。
たとえ有名ブランドのものであっても、靴下にロゴが入っている物が人に見えるのは、あまり良くないと捉えられます。ブランドが悪いわけではありませんが、できればロゴなしの物を選びましょう。
結婚式の新郎衣裳に合わせる靴下の素材
新郎がタキシードなどの礼装に合わせるソックスの素材は、光沢のあるシルク(絹)が最適と言われています。
現在では光沢感のあるフォーマル着用時に相応しいさまざまな素材の靴下が販売されているため、礼装とあうかを基準に選びましょう。
最適なのは薄手のシルク素材
エレガンスという、フォーマルスタイルにとって重要な観点から言うと、光沢のあるシルクが格が一番上です。黒の薄手のシルク素材が、もっともおすすめとなります。
ただし、新郎に最も選ばれるタキシードに合わせる靴下の素材は、黒無地の場合はコットンでもウールでも、ポリエステルでもレーヨンでもOKです。
見栄えがきれい目で、礼装に相応しい微光沢感のある靴下がおすすめです。
消臭効果のある素材もおすすめ
靴下の素材の中には、消臭効果のあるものも存在します。消臭という効果は、エチケットやマナーの面からはプラスの要素なので、そのあたりも配慮して選ぶとよいでしょう。
フォーマルの靴下用素材としてのシルクやレーヨン、コットンは、実は消臭効果も高い素材です。
結婚式の新郎衣裳に合わせる靴下の長さ
新郎衣装に合わせる靴下の長さは、ひざ下3/4程度のミドル丈で、足を組んだり歩き回っても素肌が見えないようロング丈を選ぶのが一般的です。
丈は長めにする
靴下の丈は、できるかぎり足の素肌を人に見せないよう、長めのものを選びます。
普通に立つ場合は、パンツ丈がよほど短くないかぎり素肌は見えませんが、椅子やソファに腰掛けた時や足を汲んで座った場合は靴下は見えてしまうのです。靴下が短いと、肌との境目ぐらいまでパンツの裾が上がってしまうことがあり、素肌が見えてしまいます。
通常はひざ下3/4程度のミドル丈で十分隠れますが、完璧を期すなら『ロングホーズ』という、膝近くまである長い靴下をお勧めします。
靴下がたるまないようにする
靴下がたるんで見えるのは、いい加減な印象や、使い古してくたびれたものを履いている印象を受けます。
たるまないようにするには真新しい靴下を履くのが一番ですが、さらに念入りにする場合は『ソックタッチ』などの靴下留めやずり落ち防止ツールを使う方法があります。
結婚式で新郎が衣裳に合わせて着用する靴はどこで買う?レンタルと購入どちらがいい?
新郎が衣裳に合わせて着用する靴は、今までは衣裳をレンタルするサロンで、選んだ衣裳にあう靴を一緒にレンタルするのが一般的でした。
しかし、近年では「新しい門出を歩みだす記念」として購入するケースが急増しています。
新郎衣裳に合わせて靴をレンタルする
多くの婚礼衣裳のレンタルサロンでは、衣裳に合う靴や小物も合わせて準備しているため、衣裳選びをしながらその場で合う靴をレンタルできます。
また、多くの衣裳店では、衣裳と靴は一緒に搬入され、着用後はそのまま返却されるため、忘れ物や紛失の恐れもないでしょう。
新郎衣裳に合わせて靴のみを別店舗でレンタルする
「結婚式にいつも履かない高級なブランド靴を履きたい」という方は、靴のみをレンタルできるインターネットサイトや店舗もあります。高額なインボードブランドや一流のシューズメーカーの靴が安価でレンタルできるため、特別な日の思い出作りに靴のみ別でレンタルするのもおすすめです。
ただし、靴だけ別で選ぶ際には、先に衣裳を決めてから、その衣裳に合わせて靴を選んだほうが良いでしょう。
その際に、パンツの丈の長さとあうよう、衣裳レンタル先で合わせた靴のヒールも確認しておきましょう。
新郎衣裳に合わせて靴を購入する
近年では「新しい門出を歩みだす記念」として購入するケースが急増しています。
「男のおしゃれは足元から」という言葉通り、スーツスタイルやジャケパンスタイルに合わせ、ビジネスファッションや日常のコーディネートで靴を重視する男性は非常に多いのです。
結婚式を機会に「末永く履ける良い靴を」と考える際は、自分の予算範囲内で検討しましょう。新郎衣裳に合わせる靴を購入できる場所として、ハイブランドや伝統ある靴の専門店を思い浮かべる方も多いでしょう。現在ではスーツ量販店で手ごろなオペラパンプスやドレスシューズを取り扱っています。また、靴を自分のサイズに合わせて、色、革の素材、ソールまで選び手ごろな値段でオーダーメイドできる工房も増加しています。
靴の購入は予算や自分の好みに合わせて選択肢が大幅に増えているので、ぜひ検討してみてください。
まとめ
新郎は結婚式の衣裳合わせの前に靴についても検討しておこう
新婦だけでなく、新郎にとっても一生に一度の大切な結婚式。「結婚式という特別な場面においてどのような靴を合わせたらいいか、わからないとい」という事態で慌てないよう、衣裳選びはもちろん、靴選びについても知識を深めておけば、より衣裳選びが楽しくなるはずです。
タキシードはじめ新郎衣装のフィット感はもちろん、靴もこだわって選べば、自身をいつも以上に輝かせるコーディネートを楽しめます。また、結婚式で得た衣裳と靴の知識は、結婚後増えるフォーマルな場に招待された機会に必ず役立つ知識なので、ぜひこの機会に確認しておきましょう。