結婚式で着用する母親の服装で「正礼装」とは?黒留袖・アフタヌーンドレス・イブニングドレスについて解説

結婚式に母親として服装を選ぶなら、格式の最も高い正礼装が一般的です。新郎新婦の母親が結婚式に着ている着物の黒留袖はご存じの方が多いと思いますが、それ以外にも着慣れた洋装で、アフタヌーンドレス、イブニングドレスを選ぶケースも増加しています。そ今回は結婚式で新郎新婦の母親が着る正礼装について、詳しく解説します。

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結婚式で新郎新婦の母親の服装の選び方、5つのポイント

結婚式で新郎新婦の母親の服装の選び方、5つのポイント

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結婚式で新郎新婦の母親の服装を選ぶ際には、大きく5つのポイントがあります。

結婚式会場の格に服装を合わせる

結婚式に参列する服装は、結婚式の会場の格式やテイストに合わせて選ばれます。
一般的な結婚式会場である専門式会場・ゲストハウス・ホテル・高級レストランで行われる結婚式であれば、新郎新婦の母親の服装はドレスコードの最上位である「正礼装(フォーマル)」から選ばれます。

【男性・女性別】ドレスコードに対応する結婚式の服装早見表

ドレスコード 男性の服装 女性の服装
「フォーマル」
(正礼装)
最も格式が高い服装
<洋装>
昼:モーニングコート
夜:燕尾服、タキシード
<和装>
黒紋付羽織袴
<洋装>
昼:アフタヌーンドレス
夜:イブニングドレス
<和装>
振袖(未婚女性のみ)
黒留袖(既婚女性のみ)
色留袖
「セミフォーマル」
(準礼装)
結婚式にお呼ばれしたゲストの一般的な服装
<洋装>
昼:ディレクターズスーツ、ブラックスーツ
夜:ブラックスーツ
<和装>
色紋付羽織袴
<洋装>
昼:セミアフタヌーンドレス
夜:カクテルドレス
スーツ
(ワンピースタイプ)
<和装>
訪問着、色無地、小紋(江戸小紋)
「インフォーマル」
(略礼装)
招待状に「平服で」とドレスコード指定があった場合の、セミフォーマルより少し格下の服装
<洋装>
ブラックスーツ
ダークスーツ
スリーピース
<和装>
お召一つ紋付
外出着
(無地紬の長着と羽織)
<洋装>
ドレス
ワンピース
スーツ
(ワンピース、スカート)
パンツドレス
<和装>
無紋の訪問着、無紋の付け下げ
「スマートエレガンス」
カジュアルエレガンスと比較し、よりドレッシーでフォーマル寄りの服装
「スマートエレガンス」
カジュアルエレガンスと比較し、よりドレッシーでフォーマル寄りの服装
<洋装>
フォーマル寄りのパーティドレス・ワンピース
スーツ
ツーピースやセットアップ
<和装>
小紋、紬
「スマートカジュアル(男性)」
「カジュアルエレガンス(女性)」
スマートエレガンスと比較し、カジュアルよりのキレイ目な服装
<洋装>
ジャケパンスタイル
<和装>
外出着
(無地紬の長着と羽織)
<洋装>
ドレッシーなワンピース、
スーツ
きれい目のコーディネート
<和装>
カジュアル小紋
無地の木綿 など

配偶者である父親の服装の格に合わせる

結婚式で父親の服装は、正礼装であるモーニングコート(略してモーニングともいう)が一般的です。フォーマルファッションのマナーとしては、モーニングコートは男性の昼間の正礼装となります。その隣に並ぶ母親の衣装として同格な衣装は、黒留袖・露出を控えたロング丈のアフタヌーンドレス・またはイブニングドレスとなります。
父親がモーニングコートではなく、ディレクターズスーツ、ブラックスーツなどの準礼装を着る場合は、母親も華やかなジャケットに黒のスカートと言った準礼装のフォーマルウェアや色留袖を選びます。

新郎新婦の両家の服装の格を合わせる

結婚式の場合、相手の両親が何を着るかということも考える必要があります。相手の母親が黒留袖と正礼装なのに、自分の母親はジャケットに黒いワンピースや、色の違うボレロを羽織ったロングドレスなどの準礼装の装いでは、両家の服装の格が合いません。
例えば、黒留袖は和装の正礼装ですから、それとバランスの合う洋装は、昼の結婚式であれば正礼装のアフタヌーンドレスとなります。
両家の服装の「格」が同じなら、一方が和装、一方が洋装でもフォーマルファッションマナー上問題ありません。服装の格を合わせるとは、一方が「正礼装」の場合は、自分も和装、洋装にかかわらず、「正礼装」であることが、フォーマルなファッションマナーなのです。

結婚式の季節を考える

新郎新婦の両親の衣裳準備は、早い方で3~6カ月くらい前には、試着して決るケースが多いでしょう。試着のときは夏でも、実際の式は冬というケースも多いのです。もちろん式場は快適な室温に設定されてはいるものの、季節が違うと、ふさわしい服装も違ってくるという点を考慮して、デザインや生地の素材を選ぶ必要があります。

新郎新婦の意向を聞く

新郎新婦にとって、結婚式は母親と父親に感謝の気持ちを表す場でもあり、招待した他のゲストに両家の親をお披露目する機会でもあります。
ですから、新郎新婦の意見は非常に重要であり、両家の仲介をして家族・親族の服装があうようバランスをとる役割も果たします。
結婚式の服装は親や親族だけで決めるのではなく、必ず新郎新婦の意見を求めたうえで決めましょう。

結婚式の母親の正礼装となる服装の種類

<洋装>
昼の結婚式や披露宴:アフタヌーンドレス
夜の結婚式や披露宴:イブニングドレス
<和装>
黒留袖

洋装

昼の正礼装は「アフタヌーンドレス」と呼ばれるドレススタイルです。丈の長さはロングに七分丈より長い袖で露出を抑えた物が良いでしょう。アンサンブルやスーツタイプでもOKです。黒色を選ぶ場合はお祝いの席にふさわしい華やかなデザインを選ぶようにしましょう。
一方で夜は、「イブニングドレス」と呼ばれるます。ロング丈ドレスに、肩や胸元を隠さず肌を見せるタイプのものが国際的には正礼装となります。
ただし、日本では肌を露出することに抵抗ある女性が多いこと、昼と夜の女性のドレスコードがそれほど重視されていない傾向が強いため、どこまでフォーマルなマナーに沿うかは両家で相談、確認しましょう。

和装

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母親は既婚女性の礼装で最も格の高い黒留袖を着用します。
黒留袖は、黒の表地で、裾に絵羽模様が描かれた着物です。比翼仕立てとなっており、礼装用の袋帯、白足袋で着付けます。 既婚女性の第一礼装として着用され、必ず五つの家紋が入っています。家紋は白く染め抜く「抜き紋」が一般的ですが、あらかじめ白く抜いてあるところに家紋を描く「石持ち紋」の場合もあります。

結婚式で最も人気の高い母親の和装の正礼装…黒留袖

結婚式で最も人気の高い母親の和装の正礼装…黒留袖

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既婚女性にとって、もっとも格の高い第一礼装という位置づけが黒留袖です。
結婚式で黒留袖を着る時には、染め抜きの五つ紋を入れ、白の比翼仕立てにするのが決まりです。黒留袖は背中心、両袖裏、両胸の5つ紋が入ります
結婚式や披露宴では、新郎新婦の母親だけでなく、祖母や叔母、姉妹などの親族や、仲人夫人も着るのが一般的です。祖母や叔母などが黒留袖を着ることも多いと思いますが、親族とはいえ母親よりは新郎新婦とは遠い立場ですから、目立ちすぎないことが大切です。
年齢にふさわしい落ち着いた柄の黒留袖を選び、母親よりも控えめな装いを心がけましょう。

色留袖は母親が着てもよい?

色留袖でも五つ紋の比翼仕立てであれば黒留袖と同格になりますが、新郎新婦に最も近い親族であり、ゲストをお迎えする立場の母親は、やはり色留袖ではなく誰が見ても第一礼装と一目でわかる黒留袖を着るのがマナーです。
ただし、カジュアルな結婚式や家族のみの少人数の結婚式の場合には、母親が色留袖を着用するケースもあります。

黒留袖の選び方

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黒留袖には最も高い格となる染め抜き日向紋で、両胸、両袖の後ろ、背中にひとつずつ、全部で五つの家紋を入れるのが決まりです。
そのため、黒留袖は五つ紋のみ。色留袖のように三つ紋や一つ紋を入れることはありません。
黒留袖は、結婚式を挙げる式場やホテルでレンタルされる方も多いでしょう。「我が家の家紋の入った黒留袖はあるの?」と心配される方もいるようですが、実際の家紋でなくても問題はありません。レンタルの場合は、誰でも使える通紋になっている衣裳の用意がほとんどです。家紋が何かわからないという方は、レンタルを利用するのもひとつの方法てすです。
また、レンタルを取り扱う衣裳店によっては、貼り紋といって家紋をシールのように貼り替えてくれるところもあります。

結婚式で人気急上昇の母親の洋装の正礼装…アフタヌーンドレス・イブニングドレス

結婚式で人気急上昇の母親の洋装の正礼装…アフタヌーンドレス・イブニングドレス

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結婚式は通常、「挙式」と「披露宴」に分かれます。フォーマルなファッションマナーでは、この「挙式」と「披露宴」では服装のマナーが違い、特に欧米では「挙式」と「披露宴」で衣装を替えるのが一般的です。

挙式…『アフタヌーンドレス』
厳粛なセレモニーなので、華美な服装は避け、肌の露出も控えめが原則です。肌の露出の多いドレスの場合はショールなどで肌を隠す場合もあります。
披露宴…『イブニングドレス』
結婚を祝う祝賀パーティーなので、着飾ることがマナー、ドレスアップが原則です。挙式と違って肌の露出が多くてもファッションマナー上問題はありません。

欧米では挙式は昼間、披露宴にあたるパーティーは夜という場合が一般的なので、昼と夜とで衣装を替えるのですが、日本の場合は、挙式と披露宴が続いて夕方までにすべて終了するのが一般的です。
そのため、挙式&披露宴とも共通で参列できる『アフタヌーンドレス』が多く選ばれています。

ドレスのカラー

ネイビー(濃紺)、パープル、深いグリーン、ブラウン、グレー、ベージュ、淡いパステルカラーなどがおすすめです。最近では新婦のお母様の間で、淡いピンクやミントカラー、シャンパンカラーなど明るい色のフォーマルドレスの人気が出て来ています。

黒のドレス

黒のドレス(ブラックドレス)は喪(お葬式)を連想するので、海外でも日本でも晴れの日の衣装としては正式には相応しくありません。しかし、日本では黒留袖を見ても黒という色がハレの場の第一礼装で使われるケースが多く、現在母親の正礼装のドレスとして多く選ばれています。
黒のドレスを選ぶ場合、喪と区別するため、華やかなレースや光沢のある生地でフォーマルドレスが作られています。真珠の2連のネックレスなどをつけて晴れの日に相応しい華やかな装いを演出しましょう。

ドレスのデザイン

海外では母親世代でも背中が大きくあいたフォーマルドレスをお召しになりますが、日本では露出が多い服装や母親がセクシーであるのはあまり好まれません。
日本のマナーに合った露出具合を考慮したドレスを選びましょう。基本的に「アフタヌーンドレス」としてデザインされているものは、肩、デコルテ、背中が大きく開くドレスは避けます。また、半袖や長袖のドレスも人気があります。
袖なしのドレスも、気になるようならば、挙式のときはジャケットやショールといった羽織ものを羽織れば問題ありません。

ドレスの丈

国際的なフォーマルファッションマナーでは、ロングドレスはくるぶしが隠れる丈が正式です。また、お昼の正礼装アフタヌーンドレスでは、上下共布のフォーマルスーツやワンピースは膝丈でもマナー違反ではありません。
ただ、日本の場合、黒留袖に匹敵する洋装(フォーマルドレス)となると、黒留袖は脚が隠れています。ドレスで脚が見えてしまう丈では、黒留袖よりカジュアルな印象を与えてしまうので、くるぶしが隠れるロング丈がつり合いのとれた衣装になります。

羽織もの

じつは、海外で結婚式の挙式や披露宴でジャケットを着用しなければいけないというフォーマルファッションマナーはありません。
フォーマルウェア売り場で多く見受けられる華やかな柄や色のジャケットxロングスカートというスタイルはあくまで日本独特に開発されたものです。
ノースリーブのデザインではなく、袖付きのドレスであれば、1枚で着用しても問題はありません。

まとめ

結婚式の母親の服装選びは、新郎新婦、父親、家族、衣裳店とよく相談して決めよう

結婚式で新郎新婦の母親の服装選びは、服装の格やバランスを周囲と合わせる必要性や、結婚式では父親と並んで全ゲストの中でも非常に目立つポジションであることから、新郎新婦、父親、家族、衣裳店とよく相談して決めることをおすすめします。
母親が着用する正礼装には、和装・洋装ともに意味のある衣裳であり、マナーにもひとつひとつ意味が込められています。そのマナーをよく理解して選べば、結婚式の衣裳選びがより楽しくなるでしょう。

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この記事のライター

結婚式準備.com編集部

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