結婚すると国、自治体、会社から「結婚祝い金」が貰える場合がある
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結婚すると自分の親や親族、友人、会社の同僚や上司などから結婚祝いを贈ってもらうことが多いでしょう。そのお金で結婚式や結婚生活の費用を賄うことができます。
しかしそれ以外に、自分が所属する会社や組合、国や自治体からお祝い金や補助金を受け取ることができる場合があるのです。
会社から支給される結婚祝い金は福利厚生の一環
会社の福利厚生の一環として、結婚のお祝い金を支給している会社は多く、過去の調査では98%の会社が支給しているという結果もありました。
会社から支給されるお祝い金をもらうための申請方法や金額は会社によって異なります。また比較的社歴が新しい会社や組織では、結婚祝い金の制度自体がない場合もあります。結婚が決まった時点で、人事総務へ結婚祝い金の制度があるか、また申請方法を確認しておきましょう。
組合、年金基金、保険、互助会からの結婚祝い金
会社で加入している健康保険組合や厚生年金基金では、組合の規定でお祝い金がもらえるケースがあるほか、加入している共済、生命保険、互助会などでは申請すれば結婚御祝金としてお金がもらえる場合あります。まずは自分が所属している組合や組織の規定を確認して、制度があるようなら申請を行いましょう。
国から支給される結婚祝い金は少子化対策の一環の交付金
平成30年度から、地域少子化対策重点推進交付金の一事業として国は「結婚新生活支援事業」を始めました。国か定める年収や条件を満たせば、34歳以下のカップルは最大30万円の新婚生活に伴う住宅取得費用又は住宅賃借費用、引越費用 の援助を受け取ることができます。ただし、対象となる地域は限られているため、確認が必要になります。
自治体から支給される結婚祝い金や補助金
全国の市区町村で独自の結婚お祝い金を出す自治体もあります。これは自治体ごとで制度が異なり、まったく行っていない自治体もあるため、自分が済む自治体にそういった制度があるかや新居を構えたいと考えている自治体の制度を調べて見るのも良いでしょう。
純粋にお祝い金を出す制度だけでなく、家賃補助や自治体内で使用できる商品券の給付など、オリジナリティに溢れた制度もあります。場合によっては30万円ほどのお祝いを受け取ることができる自治体もあります。
会社から支給される結婚祝い金と相場、お祝い金に税金はかかるか?
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会社の福利厚生の一環として、結婚のお祝い金を支給している会社は多く、90%以上の会社がこの制度を取り入れています。
会社の結婚祝い金制度の支給方法
会社で支給されるお祝い金は、制度として確立されているものと慣例として支給されるものがあります。支給の方法は大きく分けて3つの方法がとられています。
・勤続年数や役職にかかわらず一律定額を支給する
・勤続年数によって支給額を変える
・役職によって支給額を変える
会社から支給されるお祝い金の相場
勤続年数や役職にかかわらず一律定額を支給する場合の結婚祝い金の相場
会社の規定や慣例によってまちまちで、なかには30万円も出す企業もありますが、会社が支給する結婚祝は個人でお祝いを包む場合と大きな違いはありません。多くの場合は一律3万円程度が多いようです。
勤続年数によって支給額を変える場合の結婚祝い金の相場
当初は勤続年数によって変動しますが、勤続年数が満5年以上は支給額を同じにする企業が多いようです。
勤続満1年:2万円
勤続満3年:3万円
勤続満5年:5万円
勤続満10年:5万円
勤続満20年以上:5万円
役職や状況によって支給額を変える場合の結婚祝い金の相場
会社の規定や慣例によって異なります。
最近では結婚式の多様化に伴い、会社関係者を結婚式に招待しないケースも増えており、そういった場合には会社からのお祝い金を上乗せするといったケースもあります。
再婚の場合の会社からの結婚祝い金
再婚の場合も会社から結婚祝い金を支給していることが多いようです。ただし、中には前回の半額程度に減額して支給する会社もあります。また、中には再婚の場合は会社からの支給がないこともあります。
社員の子どもの結婚やアルバイトの結婚の場合の結婚祝い金
社員の子どもが結婚した場合にも、お祝い金を出す会社も中にはありますが、そういった場合の支給額は正社員より少な目で、1万円程度が多いようです。
また、割合は少ないながらもパート・アルバイトなど非正規雇用社員にも結婚祝い金を出す会社もあります。ただし、勤続年数や週の所定労働時間が一定以上などの規定が設けられているケースがほとんどです。結婚祝い金の相場は、社員と同様にもらえることも多いようです。
会社から支給される結婚祝い金は課税されるか
結婚祝金や出産祝金は、役員または使用人としての地位に基づいて会社から支給されるものですので、原則としては給与所得に該当することになります。
しかし、このような祝金品の贈答は広く社会的慣習として一般に行われているものであることを考慮すると、その祝金品として常識的な金額のものまで課税するのは妥当でないことから、「社会常識に照らし相当な金額のもの」には所得税を課税しないとされています。
この常識的な金額の範囲は曖昧ではありますが、一般的に会社で支給される3万円~5万円程度の結婚祝い金なら非課税であるとみなされています。
上記を明文化するために、範囲や金額は社内の「慶弔金規定」などで定められていることがほとんどです。
会社から支給される結婚祝い金にお返しやお礼状は必要か
会社から支給される結婚祝い金は基本的には会社の福利厚生り一環と考えられているため、結婚祝いのお返しをする必要はありません。また、結婚祝いのお礼状を出す必要もないでしょう。
ただし、会社の同僚、上司、部下、先輩や後輩、部署の有志一同など、私的に結婚祝いを頂いた場合には、立場や関係性に応じた結婚祝いのお返しが必要になります。
会社の同僚、上司、部下、先輩や後輩、部署の有志一同の方たちから結婚祝いを頂いた場合のお返しについて詳しくはこちらをご覧ください。
結婚祝いのお返し(内祝い)は何がいい?引き出物はあり?結婚式欠席で頂いたご祝儀や贈り物のお返し金額目安やマナー
国と自治体から支給される結婚祝い金「結婚新生活支援事業」と申請資格と方法
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平成30年度から、地域少子化対策重点推進交付金の一事業として国は「結婚新生活支援事業」を始めました。国か定める年収や条件を満たせば、34歳以下のカップルは最大30万円の新婚生活に伴う住宅取得費用又は住宅賃借費用、引越費用 の援助を受け取ることができます。
「結婚新生活支援事業」とは
「結婚新生活支援事業」とは、内閣府が進める、地域少子化対策重点推進交付金の一事業として平成30年度からスタートしました。
国勢調査によって結婚に踏み切れない主な要因は経済的理由であることが分かり、特に結婚の障害として結婚資金の不足と結婚のための住居を理由に挙げる人が多かったことから、国が結婚に伴う経済的負担を軽減する対策に乗り出したのです。
そのため、結婚新生活支援事業の内容は新婚世帯に対し、結婚に伴う新生活のスタートアップに係るコスト(新居の家賃、引越費用等)支援が中心になっています。
結婚新生活支援事業の対象世帯と対象額、対象自治体
結婚新生活支援事業は誰もが受けられるのではなく、対象とする世帯や対象額に制限があります。
データ出展:令和2年度結婚新生活支援事業 概要/内閣府
対象世帯
対象となる夫婦は新しく世帯を作った夫婦(親との同居などは対象外)で、次のような資格制限が設けられています。そのため、収入を証明する書類や入籍後の戸籍謄本など所在を明らかにする書類の提出が求められます。
・夫婦共に婚姻日における年齢が34歳以下
・世帯所得が340万円未満(年収に換算すると約530万円程度)
※奨学金を返還している世帯は奨学金の年間返済額を夫婦の所得から控除できる
・新規世帯であること
・その他に住んでいる市区町村が定める要件が別途ある場合もある
補助対象
「結婚新生活支援事業」は新生活をスタートさせるための住居に関わる費用の補助に限定されています。そのため、使い道を証明する書類の提出が求められます。
・婚姻に伴う住宅取得費用(住宅購入のための費用)
・婚姻に伴う住宅賃借費用(新居の家賃、敷金・礼金、共益費、仲介手数料)
・婚姻に伴う引越費用(引越業者や運送業者に支払った引越費用)
補助額と補助率
補助額は通常は新生活をスタートさせるための住居に関わる費用額の1/2を補助しますが、その額の上限は30万円と決められています。
ただし、対象世帯、補助対象、補助上限額は地域の実情に応じて上乗せ・縮小が可能となっているため、自治体によっては異なる場合もあり、まずは自治体に問い合わせてみる必要があるでしょう。
結婚新生活支援事業を行っている自治体
結婚新生活支援事業は少子化対策の一環であるため、この事業を行っている自治体と行っていない自治体があります。
2020年現在、地域少子化対策重点推進交付金の交付が決定している自治体の一覧表を確認した上で、自分たちが住んでいる自治体の公式ホームページでの確認や詳しい問い合わせをすることがおすすめです。
地域少子化対策重点推進交付金(結婚新生活支援事業)交付決定状況(R2.7.10現在)/内閣府
結婚新生活支援事業の申請方法
申請に必要な書類と手順は、おおまかな流れは一緒ですが、自治体によって異なるのが実情です。そのため、まずは各市区町村に問い合わせを行って、手順と必要な書類を確認しましょう。
申請に必要な書類
以下の書類が申請には必須ですが、各自治体によってこれ以上の申請書類の提出を求められることもあるため、必ず各自治体に問い合わせと確認を行いましょう。
・ 収入や現在住居の各種証明書(結婚届受理証明書や入籍後の戸籍謄本など)
・ 各自治体ごとの申請書やフォーマット
・ 申請するための住居準備費用の証明書類(引っ越しや居住費の領収書など)
まとめ
会社や所属団体の結婚祝い金や国や自治体の結婚支援の制度は必ず確認しよう
結婚祝い金は会社や所属団体、国や自治体など、自分が関わっている組織や住んでいる地域ごとに定められているため、気にしていないと見落としてしまう可能性もあります。また、年齢や時期によってはもらえるタイミングを逸してしまう可能性もあるため、結婚前にさまざまな結婚祝い金の制度について、確認しておき、利用でる制度から充実した結婚資金の援助を受け取りましょう。