挙式と披露宴・結婚式の違いとは?
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“挙式(きょしき)”とは、結婚するおふたりが、神様やゲストの前で永遠の愛を誓う儀式のことです。これに対し“披露宴(ひろうえん)”は、おふたりが結婚したことを家族や親族、友人などご縁のある人にお披露目(披露)するパーティのことを指します。
“結婚式(けっこんしき)”というと挙式・披露宴のことを意味することが多いですが、挙式のみ・披露宴のみを指している場合もあります。最近では、フォトウェディングや少人数のお食事会を結婚式と呼ぶこともあり、“結婚式”という言葉が意味する範囲が広くなっているようです。
挙式と披露宴は必ずセットでしなくても良い
“結婚式=挙式と披露宴”ととらえている人も多いと思いますが、先ほどご説明したとおり、挙式のみ・披露宴のみでも結婚式といわれます。つまり「結婚式をする」といっても、挙式と披露宴は必ずセットにしなくても良いということです。
フォーマルなホテルウェディング、カジュアルなレストランウェディングや1.5次会、アットホームな食事会など、結婚式は多様化しています。自分たちがイメージする理想の結婚式をおこないましょう!
挙式のみ・挙式と披露宴・披露宴のみの結婚式のメリット・デメリット
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結婚式をする際、挙式のみ・披露宴のみ・挙式と披露宴の両方どれを選ぶか迷う人もいるはず。ここでは、それぞれのメリット・デメリットをまとめてみましょう。
挙式のみのメリット・デメリット
披露宴なし、挙式のみをおこなう際のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
- 結婚式の費用をおさえられる
- 短期間で結婚式の準備ができる
- おふたりだけ、家族だけなど少人数で気軽に結婚式をすることができる
- 海外リゾートウェディングなども選びやすい
- ナシ婚を考えている人でも選びやすい
デメリット
- 挙式自体は30分で終わってしまい、披露宴のような華やかさがない
- 挙式のみを受け付けてくれない結婚式場もある
- 結婚報告をする手間がかかる
挙式と披露宴の両方をおこなうメリット・デメリット
挙式と披露宴の両方をおこなう際のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
- けじめをしっかりつけられる
- 両親が納得してくれやすい
- たくさんのゲストにお披露目できる
- 両親やゲストへ感謝を伝える場ができる
- 一堂に会して時間を共有することで、両家の絆を深められる
デメリット
- 結婚式の準備に時間や手間がかかる
- 結婚式にかかる費用が高い
- 親の意見を聞かなければならないなど、自由な結婚式ができない場合がある
- 誰を招待するか悩むことがある
披露宴のみのメリット・デメリット
挙式なし、披露宴のみをおこなう際のメリット・デメリットは次のとおりです。
メリット
- たくさんのゲストにお披露目できる
- 両親やゲストへ感謝を伝える場ができる
- 1.5次会やカジュアルウェディングなど、アットホームなパーティがしやすい
- 挙式費用をおさえられる
- 結婚式の時間を短縮でき、年配ゲストや子ども連れゲストの負担が少なくなる
デメリット
- 挙式がないと結婚式らしさを感じられない場合もある
- カジュアルすぎるとゲストが戸惑う可能性がある
- 内容によっては二次会のような雰囲気になってしまうこともある
挙式にはスタイルがある!スタイル別の挙式の費用・特徴・流れ
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挙式スタイルには、キリスト教式(チャペル式)・人前式・神前式・仏前式などの種類があります。各挙式スタイルを選んだ人の割合は次のとおりです。
キリスト教式(チャペル式) | 52.2% |
人前式 | 27.8% |
神前式 | 17.7% |
仏前式 | 0.5% |
データ出展:ゼクシィ 結婚トレンド調査2019調べ
キリスト教式(チャペル式)が人気ですが、どの挙式スタイルにするか迷う人もいるでしょう。参考として、それぞれの挙式スタイルの主な流れと挙式にかかる時間、費用や特徴などを解説します。
キリスト教式(チャペル式・教会式)
キリスト教式とは、神様に愛を誓う挙式スタイルで、神父(牧師)の主導でおこなわれます。挙式会場は主に結婚式用に建てられたブライダルチャペル。キリスト教徒でなくても結婚講座を受ければ、信者のいる本格チャペルでキリスト教式(チャペル式)を挙げられる場合もあります。
挙式時間は20分~30分ほど。挙式の流れは次のとおりです。
キリスト教式(チャペル式)の流れ
ゲスト入場
ゲストが入場します。前列に新郎新婦の父母・兄弟姉妹・親族・友人の順に着席します。新郎側・新婦側で席が分かれており、祭壇に向かって右が新郎ゲスト、左が新婦ゲストです。
開式の辞
神父(牧師)が結婚式の開式を宣言します。
新郎入場
ゲストが見守る中、まずは新郎がひとりで入場し祭壇前へ。新婦の入場を待ちます。
新婦入場
新婦が入場します。父親などにエスコートされて、新郎の待つ祭壇へと向かいます。祭壇前で新婦の父から新郎へ新婦の手が渡され(バトンタッチ)、新郎新婦が祭壇前へそろいます。
賛美歌斉唱
ゲスト全員で賛美歌を歌います。
聖書朗読、祈祷
神父(牧師)が聖書に記載されている“愛の教え”を朗読したあと、神様に祈りを捧げます。
誓約
神父(牧師)の問いかけに答え、結婚を誓約します。誓約は、新郎・新婦の順におこないます。
結婚指輪の交換
おふたりが愛を誓った証として、新郎から新婦、新婦から新郎の順に結婚指輪を交換します。結婚指輪は左手の薬指にはめられます。
結婚成立宣言
神父(牧師)によって、おふたりが夫婦になったことが伝えられます。
結婚証明書署名
新郎新婦が結婚証明書に署名します。そのあと、神父(牧師)もしくは証人が署名をおこないます。
結婚成立の報告
神父(牧師)によっておふたりの結婚が成立したことが報告されます。
閉式の辞
神父(牧師)が、閉式を伝えます。
退場
新郎新婦が腕を組み、バージンロードを歩いて退場します。
アフターセレモニー
フラワーシャワーやバルーンリリース、集合写真撮影など、挙式後の時間を過ごします。
人前式
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人前式(じんぜんしき)は、新郎新婦の結婚をゲストに承認してもらうスタイルの挙式です。それ以外のルールは特になく、新郎新婦が自由に挙式の流れを組んでいくことができます。チャペルやガーデンなど、挙式会場も好きな場所を選べます。
人前式にかかる時間は約20分、挙式費用は平均26.0万円です。キリスト教式(チャペル式)よりも挙式時間が短く、費用も安くなる傾向があります。
人前式の流れ
結婚証明書へ記帳
新郎新婦の結婚を証明する用紙に、ゲスト一人ひとりが署名(記帳)をします。
ゲスト入場
記帳が終わった人は挙式会場へ入場します。前列から新郎新婦の父母・兄弟姉妹・親族・友人の順に着席。キリスト教式(チャペル式)と異なり、祭壇に向かって左が新郎ゲスト、右が新婦ゲストの席となります。
新郎入場
まずは新郎が入場します。
新婦入場
新婦は父親などにエスコートされて挙式会場へ入場します。新郎新婦がそろって入場する場合もあります。
開式宣言
司会者によって、おふたりの挙式の開式が宣言されます。
誓いの言葉
ゲストに向かって新郎新婦が誓いの言葉を読みあげます。誓いの言葉は新郎新婦が事前に決めた内容でOK。キリスト教式(チャペル式)のようなフォーマルのものはもちろん、カジュアルな誓いの言葉でも大丈夫。おふたりらしい誓いの言葉を選びましょう。
結婚指輪の交換
キリスト教式(チャペル式)同様に、結婚指輪を交換します。結婚指輪の代わりに、腕時計やレイなど、おふたりが記念として贈りあいたいと思えるものを交換してもOKです。
結婚証明書への署名(捺印)
事前に準備しておいた結婚証明書に新郎新婦・ゲスト代表である証人が署名(捺印)します。
結婚証明書の披露
署名(捺印)が済んだ結婚証明書をゲストへ披露します。
結婚の成立宣言
司会者によって、おふたりの結婚成立が宣言されます。
閉式の言葉
司会者によって、おふたりの結婚式閉式が告げられます。
退場
新郎新婦がバージンロードを通って退場します。
神前式
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神前式(しんぜんしき)は、神社や結婚式場の神殿などでおこなわれる挙式のこと。斎主(いわいぬし・さいしゅ)主導のもと、神様に新郎新婦の結婚を報告します。両家の絆を深めることを目的とした、日本の伝統的な挙式スタイルです。挙式にかかる費用は平均30.6万円。挙式にかかる時間は20~30分ほどです。
神前式の流れ
参進の儀(さんしんのぎ)
斎主や巫女に先導され、新郎新婦、両親、その他ゲストが神殿へと歩みを進めます。雅楽が演奏される中、厳かに進む行列は、“花嫁行列”とも呼ばれます。
入場
斎主、新郎新婦、両親、親族が入場します。神殿に向かって右側に新郎、左側に新婦が座ります。両家の絆を重んじる神前式では、神殿に入ることができるのは新郎新婦の血縁者のみとなっている場合もあります。
修祓(しゅうばつ)
斎主によって祓詞(はらいことば)が述べられ、お祓いがおこなわれます。
祝詞奏上(のりとそうじょう)
祝詞をとおして、斎主が神様におふたりの結婚を報告。おふたりの幸せが末永く続くよう祈ります。
誓盃の儀(せいはいのぎ)
大中小の杯で新郎新婦がお神酒(みき)をいただき、夫婦の契りを交わします。三々九度の杯(さんさんくど)ともいわれる儀式です。
神楽奉納(かぐらほうのう)
雅楽に合わせて巫女が舞を奉納します。神社によっては神楽奉納をおこなわない場合もあります。
誓詞奏上(せいしそうじょう)
新郎新婦が神前に進み、誓いの言葉(誓詞)を述べます。誓いの言葉は用意されていることが多く、読みあげるだけでOKです。
玉串拝礼・玉串奉奠(たまぐしはいれい・たまぐしほうてん)
新郎新婦、両家代表の順に神前に玉串を捧げ、二礼二拍手一礼をします。
結婚指輪の交換
新郎新婦の順に、結婚指輪を交換します。
親族杯の儀(しんぞくはいのぎ)
両家の両親・親族が順番にお神酒をいただき、両家の結びつきを祝います。
斎主挨拶(さいしゅあいさつ)
神前式の締めとして斎主によって、おふたりの結婚の儀が滞りなく完了したことが伝えられます。
退場
斎主に続いて新郎新婦、両親、ゲストが退場します。
仏前式
仏前式(ぶつぜんしき)は、ご先祖様におふたりの縁がつながったことを感謝する挙式スタイル。寺院や自宅の仏壇前でおこなわれます。仏前式の主な流れは次のとおりです。
仏前式の流れ
入堂(にゅうどう)
両家の両親・親族・ゲストの順に挙式会場へ入堂します。全員が着席したことを確認したのち、媒酌人(仲人)に付き添われて新郎新婦が入堂し、僧侶が入堂します。
啓百文(けいびゃくもん)朗読
仏と先祖におふたりの結婚を報告するため、僧侶が経文を読み上げます。
念珠の授与
僧侶によって念珠(数珠)が授けられます。新郎には白い房の念珠、新婦には赤い房の念珠が手渡され、新郎新婦は親指以外の指4本に受け取った念珠をかけて合掌します。
司婚の辞
僧侶の合図をきっかけに、新郎新婦が誓いをたてて、夫婦の契りを交わします。そのあと、僧侶によってゲストにおふたりの結婚成立が宣言されます。
焼香
左手に念珠をかけたまま、新郎新婦の順に焼香をおこないます。
誓杯の儀
大中小の杯のうち小杯を使ってお神酒をいただきます。神前式の三々九度のようなもので、新郎新婦の誓杯のあとは親族固めの杯を交わします。
法話
新郎新婦に僧侶がお祝いの言葉を述べたあと、“結婚の意味”を説く法話を聞かせてくれます。
退堂
起立・合掌・礼拝のあと、僧侶、新郎新婦、媒酌人(仲人)、両家両親、親族の順に退堂します。
披露宴の費用・特徴・流れ
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結婚式(挙式と披露宴の両方)にかかる費用は平均354.9万円。挙式スタイルによって10万円単位で費用が変わりますが、披露宴だけで約300万円はかかると考えておくとよいでしょう。ただし、ゲストの人数や演出の内容、結婚式場によって費用は変わります。
ちなみに、ゲスト数は平均66.3人。ゲストが多くなれば費用はかさみますし、少なくなれば費用は安くなります。とはいえ、ゲスト数が多ければいただけるご祝儀は増えますので、自己負担額は安くなる可能性があります。
一般的な披露宴の流れ
結婚式場にもよりますが、披露宴の時間は2時間半が目安です。この時間の中で、どのような内容の披露宴がおこなわれるのか、一般的な流れを見てみましょう。
披露宴の流れ
- 披露宴開宴
- 新郎新婦入場(5分)
- 新郎新婦紹介(5分)
- 来賓挨拶(10分)
- 乾杯(5分)
- ケーキ入刀・ファーストバイト(10分)
- 料理提供スタート・食事と歓談タイム(15分)
- 余興(10分)
- 新婦中座・新郎中座(20分)
- プロフィールムービー上映(5分)
- お色直し入場(5分)
- テーブルラウンド(10分)
- 余興もしくは歓談タイム(10分)
- 新婦の手紙(5分)
- 両家両親への記念品贈呈(5分)
- 両家代表挨拶(5分)
- 新郎謝辞(5分)
- 新郎新婦退場(5分)
- エンドロール(5分)
- おひらき
- ゲストのお見送り(10~30分)
()内は目安の時間です。
ゲストの挨拶の長さや披露宴会場内のテーブル数によってかかる時間が異なります。予定時間をおした場合は、歓談時間を削って調整するため、内容を盛り込みすぎると慌ただしい結婚式になってしまう可能性も。
どのような流れにするかは新郎新婦の自由ですが、基本的な流れをもとに余興やムービーの有無、演出などを選択しつつ、少し余裕を持った時間設定にしておくようにしてください。
挙式のあとにおこなう披露宴以外のパーティスタイル
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挙式のみをおこなった人が、挙式のあとにおこなう披露宴以外のパーティスタイルについて解説します。
1.5次会(お披露目会)のような会費制のパーティ
披露宴はご祝儀制でおこなうのが一般的ですが、1.5次会(お披露目会)の場合は会費制でおこなわれるのが一般的。アットホームに楽しめ、自由度の高いオリジナルウェディングが叶います。
披露宴のようにフォーマルなパーティもありますが、友人中心のカジュアルなパーティになるケースが多いようです。1.5次会の会場は、ホテルや結婚式場のほかに、レストランやカフェ、イベントスペースなどがあります。
少人数の食事会
親族中心なら、お披露目の場として食事会を選択するケースもあります。少人数にも対応している結婚式場やホテル、レストランや料亭の個室などを利用しておこなわれます。
堅苦しい結婚式はしたくない、両家親族の顔合わせを兼ねたいという場合は、ゆっくり食事と会話を楽しめる食事会を選ぶケースが多いようです。
憧れの海外リゾートウェディングだったらどうなるの?海外リゾ婚の挙式・披露宴について
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海外リゾートウェディングの場合、79.8%のカップルがキリスト教式(チャペル式)スタイルで挙式をおこなっています。人前式を挙げているカップルも見受けられますが、ほぼキリスト教式(チャペル式)であると考えてよいでしょう。
そのため、挙式会場はチャペルが人気。「海が見える」「内装・外装が気に入った」「自分たちのイメージにぴったりだった」などの理由で挙式会場を選んでいるようです。
挙式にかかった費用は平均で119.9万円。これに現地までの旅費が加算されます。
現地までの旅費は渡航先やシーズンによって異なりますが、平均89.5万円(2人分)となっています。
渡航先別の2人分の旅費平均は以下のようになっています。
ハワイ | 101.9万円 |
ヨーロッパ | 71.8万円 |
グアム | 48.6万円 |
アジア(ビーチ含む) | 81.9万円 |
また、挙式後に現地でお披露目パーティや食事会をする人も多く、パーティにかかった費用は平均22.8万円。これらの金額を合計すると、海外リゾートウェディングにかかる費用は平均232.2万円や目安となります。
「海外リゾートウェディングにゲストを招待しても良い?」と悩む人も見受けられますが、海外リゾートウェディングの参加者数は平均8.5人。
内訳は以下の通りです。
親 | 96.3% |
兄弟、親類 | 83.8% |
友人 | 29.4% |
3組に1組は海外リゾートウェディングに友人を招待しています。新郎新婦がゲストの旅費を全額負担しているケースは少なく、58.1%はまったく負担しなかったという結果に。ただし、旅費をゲストに負担してもらう代わりに、新郎新婦はご祝儀を受け取らないなどの対応をしているようです。
おふたりの結婚を祝福して欲しい人がいる場合は、現地までの旅費を誰が負担し、ご祝儀をどうするかなどの説明しつつ、お互いが納得したうえで海外リゾートウェディングに出席してもらうようにしましょう。
データ出展:ゼクシィ 結婚トレンド調査2019調べ
まとめ
挙式・披露宴・結婚式の違いを知り、おふたりの結婚式をイメージしよう
“挙式”は結婚するおふたりが神様やゲストに愛を誓う儀式のこと。“披露宴”は、おふたりの結婚を大切なゲストにお披露目(披露)するパーティのことです。挙式と披露宴をあわせて“結婚式”だと思っている人もいますが、挙式のみ・披露宴のみでも結婚式ということがあります。
キリスト教式(チャペル式)・人前式・神前式など挙式スタイルはいくつかあり、お披露目のしかたも披露宴・1.5次会・食事会などから選べます。自分たちにあったスタイルを選び、ステキな結婚式を挙げましょう!