結婚を理由に退職するのはもったいない?寿退社の現状
結婚を機に退職する…ひとむかし前は女性の退職理由で非常に多かったにも関わらず、現在では「結婚を機に退職するのはもったいない」と考える人が多いようです。
結婚で退職を迷っている状況であれば、よく考えて信頼のおける上司や周囲の人によく相談して決めるべき問題であるのが現在の状況であると言えそうです。
結婚を理由に退職するひとの割合は約17%。現状では年々減少している
厚生労働省の施設等機関である国立社会保障・人口問題研究所が平成27(2015)年に実施した「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」の 結果報告書には、
結婚前後の妻の就業状態について詳しく調査されています。
調査の結果を見ると、女性の結婚退職は年々減少しており、結婚前後で就業を継続した妻の割合は7割を超えています。
結婚前、妊娠前に就業していた女性の就業継続率をみると、結婚前後では1980年代後半の60.3%から2010年代の81.0%へと約21%ポイント上昇しているのです。
今や「結婚を機に退職」を考える人は圧倒的に少なくなっているのです。
データ出展:第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)/国立社会保障・人口問題研究所
出産後も継続して働く、キャリア形成するために結婚退職を踏みとどまる方が良い場合も
結婚を機に退職を考えなくなった理由として最も大きいのは「出産後も働き続けたい」と考える女性が増えたことが大きな要因として考えられます。
以前は第1子出産前後に就業を継続する女性は4割前後で推移してきたのですが、2010~14年では53.1%へと上昇したのです。さらに第2子、第3子出産前後の継続率は8割前後で推移しています。育児休業制度を利用して就業継続をした妻の割合は第1子~第3子ともに大きく上昇しているのです。
子育てと未来の生活を考えると経済的理由から働き続けることを選択せざるを得ない
この調査で、15歳未満の子どものいる無職の妻に就業意欲の有無をたずねたところ、「86.0%が何らかの時点で就業を希望」しているのです。
また、仕事をしたい最大の理由については、52.1%が経済的理由からでした。
「自分の収入を得たい」、「子どもの教育費のため」、「生活費のため」、「貯蓄のため」、「老後のため」が、主な理由として挙げられます。
結婚の「今」より出産後の「未来」を見据えて退職か勤務継続を判断しよう
結婚を理由に退職することは、現在でも正当な理由として受け止めてくれる人は多いでしょう。しかし、結婚後の生活や出産後の未来を考えたとき、一度退職したうえでブランクを経ても再就職が可能なキャリアが自分にあるかどうかを冷静に考えることは、現在の情勢や子育て環境を踏まえ、とても重要です。
結婚を機に、現在就業している会社や職場の福利厚生面や、結婚出産している女性の先輩の働き方、信頼のおける上司や同僚と話し合ったうえで、退職するか就業を続けるか、未来のビジョンを見つめなおしてみることをおすすめします。
「結婚退職の報告はどのような流れと順番で報告する?上司への報告するタイミング
結婚を機にさまざまな理由から会社を辞めると決断した場合、辞めると決めたら、職場の直属の上司にきちんと結婚を機に退職する旨と理由を伝える必要があります。
特に「結婚相手の転勤に伴う転居のため」「妊娠しており体調を崩しているのでできるだけ早く」など、自分の都合で退職に期限が伴う場合には、できるだけ早く報告する必要があります。
「結婚のため退職したい」や「結婚準備のため退職したい」と報告する場合、退職理由の内容や会社や職場内で報告する順番で注意する点を確認しておきましょう。
結婚退職を報告する時期は退職の3ヵ月前までがベスト
結婚退職の意向を上司に伝えるときは、いつ、どの時期に切り出せばいいのでしょうか。
就業規則には、「退職の申し出は退職日の〇ヵ月前まで」などいつまでに申告しなければいけないかが書かれているので、まずは必ず確認しておきましょう。多くの会社は「1ヵ月前まで」としています。
ですが、退職の意向を上司に伝えるときは、自分の代わりとなる人の人選採用や自分の担当している業務の引継ぎも考えると、退職の3ヵ月前までに伝えるのが円満です。
特に結婚退職の場合は予定が早くから分かっているので余裕をもって3ヵ月前くらいに伝えると好印象です。
結婚を理由に退職する報告は会社内ではまず最初に直属の上司から
結婚を理由に退職することを職場内で報告する場合、仲の良い同僚より先に、まずは直属の上司に伝えましょう。上司に伝える前に先輩や同僚に話してしまうと、ほかの人から結婚退職の話が伝わってしまうことがあり、非常識だと思われてしまう恐れは十分にあります。
また、SNSの投稿から結婚のことが漏れてしまうこともあるので、注意してください。
直属の上司に結婚退職の意向を伝えたら、残りの会社関係者には個別に伝えたらいいのか、報告の場を設けてくれるのかを相談し、上司の指示に従い判断しましょう。
結婚退職の報告の流れは会社の上司に結婚報告後のタイミングで退職の相談を切り出す
結婚を上司に報告する際は、就業時間外に上司に時間を作ってもらい、口頭で直接報告するのがマナーです。退職を考えている場合、結婚の報告の後のタイミングに続けて「結婚を理由に退職を考えています」と相談という流れで伝えると良いでしょう。
結婚退職を上司に報告する際の時間のアポイント
退職を切り出すときは、直属の上司に声をかけて、またはメールで個別に時間を作ってもらいます。上司の席まで行って「私事ですが、お話したいことがあるのでお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」と声をかけます。プライベートのことなので、就業時間外の昼休みや就業時間後など忙しくない時間帯がおすすめです。
結婚退職を報告する際の言い方や理由の伝え方は上司や同僚の状況にも配慮を
結婚報告をおこない、退職について切り出す際には、上司にある程度理由を話さなければならない場面もあるでしょう。その際に、上司に確認しなければならないことの言い方や、理由の伝え方について注意点を知っておきましょう。
会社の上司に結婚報告と退職を申し出る際に話し合い確認する内容
結婚を機に退職を考えている場合、上司への結婚報告は今後についての具体的な話し合いや、退職時期の確認も兼ねています。報告を兼ねた相談・話し合いでは、以下について確認をとることになります。
【上司に結婚報告と退職を申し出る際に話し合い確認する内容】
・結婚が決まった報告
・個人的な理由から退職の意思があること
・結婚式の時期(退職が決まっても上司や同僚を招待したい場合)
・退職時期と引継ぎについて
結婚退職の報告で理由と内容の注意点
女性の場合、かつて寿退社する人が多かったため、現在でも結婚退職は認められることが多いのですが、状況や理由によっては上司から引き留められることもあるでしょう。結婚や結婚式の準備で退職を希望する場合は、まずは正直に理由を伝え、上司とよく話し合うことが大切です。
結婚を理由に退職したいという人のなかには、本当は仕事を続けられるけど人間関係や会社の体制に不満を感じているために退職を考えている場合もあるでしょう。しかしこの上司との面談で、不満が改善される場合も。
結婚退職について迷いがある場合には、そのことについても素直に相談することがおすすめです。
結婚式に会社の上司や同僚も招待したい場合
結婚式に会社の上司や同僚も招待したいと考えているなら、挙式の日取りが決まっていれば、結婚報告と退職の意向と一緒に、結婚式の日取りや会場を伝え、招待を打診します。上司や会社の同僚、取引先など会社関係者も披露宴に呼びたいと考えている場合には、誰に招待状を送ればいいのかアドバイスをもらうこともできるでしょう。
結婚退職までに必要な準備や手続きの流れ
会社の上司への結婚報告と退職希望の報告が終わり、退職日の目安が決まったら、退職の日までにやっておくべき準備やさまざまな手続きがあります。ここでは結婚退職までに必要な準備と手続きについて解説します。
結婚に伴う退職前後の、会社関連の手続きは、転職を考えているか、または配偶者の扶養に入るかで変わってきます。
仕事の引継ぎ
仕事の引継ぎは、誰に何を引き継ぐのか上司と相談のうえ進めます。退職した後、後任者が困ることのないよう、細かく丁寧に引継ぎをしましょう。退職ギリギリまで後任者が決まらないときは、報告書を作成しておくと同僚たちに負担をかけることがありません。
退職願を提出
上司に退職の報告が済んでから、退職願を提出します。会社の所定フォーマットがある場合はそれを使いましょう。退職願に書く理由は「結婚のため」ではなく「一身上の都合により」と書くことが一般的です。
国民年金や健康保険などの手続き
退職に伴って転職しない場合には、国民年金や健康保険の手続きをします。在職中は会社が手続きをしてくれていましたが、退職後に専業主婦になる場合はパートナーの扶養に入るので、パートナーの会社に書類を提出します。
自営業など独立して働く場合は役所で手続きをして、自分で年金保険料や健康保険料を納めることになります。
結婚退職が決まったら必要な手続き一覧と解説
結婚に伴う退職前後の会社関連の手続きは、転職を考えているか、または配偶者の扶養に入るかで変わってきます。
退社後転職する場合の手続き一覧
結婚を機に退職し転職を考える人も多いでしょう。退職後にすでに転職先が決まっている場合にはそれぞれの会社の規定に沿って手続きを行いますが、すぐに転職せず期間が空く場合や自営業になる場合には保険、年金、失業給付金などの手続きや確定申告などが必要になります。
手続きの種類 | 手続きする内容 |
---|---|
退職手続き | 所属する会社の規定に従い手続きをとる |
国民健康保険加入 国民年金加入 | 転職活動中に被扶養者にならない場合は、住所地の役所で国民健康保険と国民年金の加入手続きが必要です。手続きには健康保険資格喪失証明書(離職票か退職証明書でも可)、年金手帳、印鑑、退職日が分かる書類が必要になります。 |
失業保険給付 | ハローワークで手続きを行います。離職票、本人確認書類、証明写真2枚、印鑑、通帳が手続きのために必要です。 |
確定申告 | 年内に転職先が決まらなかった場合は、税務署で確定申告の手続きを行う。手続きには確定申告書、印鑑、申告に応じた添付書類が必要です。 |
退職後に配偶者の扶養に入る場合(男性・女性共通)
退職後に転職はせず、配偶者の扶養に入り、専業主婦(主夫)になる場合は、次のような手続きが必要です。
手続きの種類 | 手続きする内容 |
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退職手続き | 所属する会社の規定に従い手続きをとりましょう。 |
扶養申請 | 扶養者が所属する会社で手続きを行います。手続きは扶養する者が行いますが把握しておきましょう。健康保険被扶養者(異動)届、国民年金第3号被保険者該当届、年金手帳、印鑑が必要です。 |
確定申告 | 年の途中で会社を退職をして専業主婦になった場合は、年末調整を受けていない状況です。1年分の収入を見込んで所得税を計算して、給与から源泉徴収されていたため、確定申告をすると、払いすぎた所得税の還付を受けられることが多いでしょう。確定申告書、印鑑、申告に応じた添付書類が必要です。 |
まとめ
結婚を理由に円満に退職するために報告と退職準備と手続きの流れを確認しておこう
結婚が決まり退職することを決意したら、正直に退職理由を話しましょう。女性の場合、かつては寿退社が多かったので、結婚や挙式準備のため退職したいという理由は認められるケースが多いですが、引継ぎや会社の事情を踏まえ、3ヵ月前までに直属の上司に申し出て、退職の意向とともに今までお世話になったことを伝えると好印象です。退職が決まったら退職願を出したり仕事の引継ぎをしたりと忙しくなるので、ゆとりをもって早めに伝えるといいでしょう。ぜひ円満に退職できるよう準備を進めてください。