結婚式に着用する新郎衣裳の基礎知識。主な衣裳の種類、選び方、お色直し、費用相場もレンタルか購入か、試着まで解説

結婚式の新郎衣裳は、ゲストを招待するオフィシャルな場で男性の知性やセンスが問われる重要な場面。最近は花嫁以上に衣裳にこだわる花婿も増えているようです。基本的な新郎衣裳の種類や色、選び方、お色直し、レンタルか購入かの判断基準、費用相場、衣装合わせの際の注意点など、新郎が衣裳選びをする前に知っておきたい基礎的な情報についてまとめました。

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結婚式に新郎が着用する衣装は正礼装。和装と洋装の種類は?

結婚式に新郎が着用する衣装は正礼装。和装と洋装の種類は?

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結婚式、特に結婚の誓いを立てる場である挙式はフォーマルな場であり、結婚式のホストであり主役である新郎新婦の衣裳は正礼装と決められています。現在、日本の一般的な結婚式で新郎の衣裳として選ばれるのは、和装洋装含め主に4種類です。
また、正式なマナーでは、新郎の衣装も会場タイプや時間帯などによって着用するものも異なります。新郎の衣装にはどんな種類があるかを確認しておきましょう。

結婚式の新郎の和装は黒紋付羽織袴

黒紋付羽織袴は昼夜の結婚式問わず着用できる和装の正装です。
紋付袴は、羽織の背中・両胸元、両袖の5箇所に染め抜きの紋が入れられることから、正しくは「黒五つ紋付羽織袴」と呼ばれ、縦縞の袴を合わせる、日本の正式な新郎衣装です。小物は半襟から足袋、扇子、羽織紐、鼻緒まですべて白一色が正式になっています。

結婚式の新郎の昼の洋装…モーニング

昼間の時間帯で最も格式の高い、正礼装にあたるのが「モーニングコート」です。
昼から18時までの着用が正式とされています。
18世紀の英国貴族が朝の日課とした乗馬の後、そのまま宮廷に上がれるよう礼服化されたのがデザインのルーツであり、日本では皇室主催の園遊会や叙勲の授賞式に出席する人が着用していたり、ノーベル賞授与式で着用しているのはモーニングになります。
ジャケットとベストは黒の共地、前裾が斜めに丸くカットされたモーニングカットやカッタウェイカットと呼ばれる形で、衿は剣先のように尖ったピークドラペル。
前あわせはシングルブレストという生地を重ねない形で、ボタンはひとつ。
パンツは黒とグレーの縞模様でコールパンツと呼ばれるものを合わせるのが正式です。
結婚式では昼夜問わず、新郎新婦の父や親族も着用する定番衣裳になっているため、モーニングを選ぶときは、父親はじめ男性親族と衣裳がかぶらないよう選ぶケースが多いでしょう。
現在では、日本の婚礼シーンでの新郎が父親と差別化できるモーニングとしてデザイン性の高いものも増えてきました。

結婚式で昼・夜問わず着用できる洋装…タキシード・フロックコート

タキシード

本来は夜間のみ着用される準礼装のひとつですが、日本では昼夜を問わず着られる正礼装としての扱いが定着しています。別名として「ディナージャケット」や「スモーキングジャケット」と呼ばれる場合もあります。
近年の日本の婚礼シーンにおいてはフロックコートとタキシードをかけ合わせたようなデザインのものを総称して「タキシード」と呼ぶ傾向です。
色は黒や白、グレーが基本のカラーですが、光沢のある素材で華やかさをプラスしたものなど、色柄ともに多様化しており、ファッション性に富んでいます。
柄はチェック、カモフラプリント、花柄まで出ており、新郎のキャラクターも表現できるほどデザインは多様化を遂げています。
着用時にジャケットの着丈の長さで、ショート丈はフォーマルな場、すなわち結婚式では失礼な印象を持たれますので気を付けてください。短めが人気とはいえ、ビジネススーツとは異なる装いが正式です。隣を歩く新婦のドレスとのバランスをしっかり考慮して選びましょう。

フロックコート

フロックコートは19世紀中ごろから20世紀初頭に男性用の礼装として広く親しまれた服装で、伝統的な正礼装として、本来は昼の正礼装ですが、現在の日本では昼夜問わず着用することができます。
色は黒や白、グレーが一般的ですが、会場の雰囲気に合わせて光沢感のある素材のものや、新婦の衣装と合わせた華やかなカラーのネクタイやシャツでアレンジするのも人気のスタイルです。
モーニングコートに比べジャケットの前裾が水平にカットされた直線的なロングシルエットが特徴で、英国貴族の正装という丈が長く大きな身頃のデザインは、大聖堂での挙式やクラシカルな雰囲気の披露宴会場に映える非日常感たっぷりな衣装です。

結婚式の新郎の夜の洋装…燕尾服(テールコート)

18時以降の夜着用でもっとも格式高い正装とされるのが、燕尾服(テールコート)です。色は上下とも黒が正式で、ジャケットの前身頃が短く、後身頃がツバメの尾のように2つに分れて長くなっていることから燕尾服と呼ばれています。
黒いボウタイを結ぶタキシードの「ブラックタイ」と区別するために、白いボウタイ(蝶ネクタイ)が正式で、「ホワイトタイ」と呼ばれるドレスコードがあります。また、「ホワイトタイ」の際にはベストも必ず白が正式となります
馬服がデザインルーツで、現在も馬術の上級競技ではテールコートの着用が義務付けられているそうです。
燕尾服は公式の晩餐会などでしか着用する機会がないので、格式ある結婚式や、大人なムードのナイトウエディングの方など、着用できる機会としてぜひ活かしてください。

新郎の衣裳選びのポイント。新婦との衣裳や家族間の格を整えるには?

新郎の衣裳選びのポイント。新婦との衣裳や家族間の格を整えるには?

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新郎の衣装選びで大切なポイントは、「新婦とのバランス」「和装洋装のバランス」「会場とのバランス」です。
結婚式ではふたりのバランスが整っているのは、見た目だけでなく、夫婦の調和をゲストから考察されたり、会場でのフォト映えなど、さまざまなシーンで影響しますので非常に重要です。

新婦の衣装とテイストやバランスを揃える

新婦と新郎の衣裳で、洋装の場合は新婦のドレスと新郎衣裳のテイストを整えましょう。ドレスのタイプ別に考える場合は、新婦のドレスがトレーンの長いものやクラシカルな雰囲気であれば、新郎は燕尾服やモーニング、かわいらしいプリンセスラインのドレスであれば、モーニングやフロックコート、タキシードなど。装いのフォーマル度や色のバランスを揃えます。

和装と洋装を合わせる。和装は格に注意

新婦の衣装がドレスであれば、新郎はもちろん洋装で合わせましょう。新婦が和装であれば紋付きで合わせるのが基本ですが、新婦の衣装と“格”を揃えることも大切です。新婦が正礼装である白無垢、色打掛、黒引き振袖、本振袖の場合は、新郎も正礼装である「黒五つ紋付き羽織袴」で同格となります。花嫁がそれ以外の振袖などを着る場合は、それに合わせた略礼装で揃えます。略礼装としては「色紋付袴」があり、羽二重・紋綸子・縮緬の素材に白やグレー・藤色・グラデーションのかかった色使いのものがあります。

会場の雰囲気に合わせ衣装を選ぶ

結婚式場の雰囲気に合わせた衣装選びはステキな装いを演出するのに欠かせません。たとえば、クラシカルなチャペルでの挙式や格式のあるホテルでの披露宴であればタキシード、テールコート、モーニングコート、フロックコートを。緑豊かなガーデンパーティやカジュアルな雰囲気の会場であればタキシードやディレクターズスーツがオススメです。
また、近年ではふたりの結婚式のテーマに合わせた衣装選びなども多くなっています。

結婚式の新郎衣装で人気の色。色ごとの意味や印象は?

結婚式で新郎の衣裳の色は、フロックコートなどある程度規定があるものもありますが、タキシードなど人気衣裳は新郎の好みやファッション性にあわせ、多様な色がある衣裳もあります。ここでは、新郎衣裳として選ばれる主な色とその見え方や意味を解説します。

【新郎衣裳の主な色】
「白」結婚式での王道カラー
「黒」格式では最上級の色
「ネイビー」上品で華やかな印象
「グレー」ナチュラル派で落ち着いた色味
「シルバー・ゴールド」特別な日の勝負色

「白」結婚式での王道カラー

白は結婚式の王道カラー。爽やかな印象なので、チャペルやバンケットといった一般的な会場だけでなく、リゾートウェディングやガーデンウエディングでも人気が高い色です。
純白のウエディングドレスを身に纏った花嫁とも相性抜群のため、統一感をもたせる前撮りのフォト撮影やフォトウェディングでもよく選ばれています。
真っ白には抵抗があるという人も多く、オフホワイトや襟などジャケットの一部が黒など色がついているバイカラーデザインや、パンツの色を変えて着こなすケースも多いでしょう。

「黒」格式では最上級の色

礼服の定番である黒は、どんなシチュエーションにも対応できる上、誰でも着こなしやすい色です。特にフォーマルな場では最も格式高い色とみなされるケースが多いため、格式の高い会場や、厳粛なムードが漂うクラシカルな式場に向いています。
固すぎる印象や地味で新郎らしさがなくなってしまう点を懸念する場合は、ネクタイやベストなどの小物で色味を加えるのもおすすめです。

「ネイビー」上品で華やかな印象

ネイビーは落ち着いた色という印象ですが、固くなりすぎず華やかさや爽やかさといった男の色気も感じさせる色として人気が高まっています。
品良くまとめたいなら濃いめの色味を、華やかさを出したいなら薄めの色味を選ぶと良いでしょう。

「グレー」ナチュラル派で落ち着いた色味

華やかすぎる衣装や堅苦しい衣裳が苦手な新郎に人気な色がグレーです。
光沢の少ないマットな生地なら、フォーマルウェアでもナチュラルに仕上がり、優しい印象になります。
ただ少しカジュアルな印象を与える可能性があるので、フォーマルな式よりも、ゲストとの距離が近いアットホームなウエディングや、披露宴のお色直しといった場に向いています。

「シルバー・ゴールド」特別な日の勝負色

結婚式などの晴れの日には、普段はあまり着る機会がない光沢のある色もよく選ばれています。華やかで存在感抜群なので、ボリュームのあるドレスを着る花嫁の横に立っても見劣りしません。挑戦しやすいのはシルバー、高級感を感じさせたいならゴールドがおすすめです。

新郎のお色直し。衣裳替えパターンや予算に合わせた選び方は?

新郎のお色直し。衣裳替えパターンや予算に合わせた選び方は?

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新婦のお色直しは一般的ですが、新郎もアンケートの数字を見ると、半数近い方が2着以上の衣裳を着ています。
ただ新郎の場合はお色直しをせずに、タキシード一着のみ、小物を変えたり少しだけアレンジするという人も多いようです。

新郎のお色直しをする割合は半分ほど

【結婚式での新郎の衣裳着用枚数】平均1.5枚
・タキシード一着…56.5%
・2着… 38.7%
・3着以上…2.9%

新郎がお色直しをしない理由としては「花嫁がお色直しで中座している間、ゲストをおもてなしする役割を負う」場合や「予算をできるだけ抑えたい」など、さまざまな理由があります。また、最近では好みの衣裳をオーダーで購入したため、一着のみで過ごすという方も増加しています。

新郎のお色直しの3つのバターン

新郎の衣裳替えパターンについて、結婚式でよく見られる幾つかのアイデアを紹介します。

【1】挙式はフォーマル衣裳で、披露宴やパーティは花嫁に合わせた衣裳で
【2】披露宴や二次会はカジュアルな衣裳や遊び心のある衣裳で
【3】1着だが途中でジャケットのみ変えたり、小物やサスペンダーでイメージチェンジ

全身お色直しをする場合、花嫁のお色直しの色やテイストに合わせた衣裳を選ぶ場合や、新郎のセンスを活かした衣裳にする方が多いでしょう。
最近では、挙式後のパーティではリアルクローズに近いファッション性の高いカジュアルな衣裳に衣裳替えしたり、タキシードを小物やサスペンダーでこなれた着こなしにアレンジにチェンジする着こなしも注目されています。

結婚式の新郎衣装の費用相場。レンタルと 購入どちらが良い?

結婚式の新郎衣装は、ひとむかしまえはレンタルが主流でしたが、近年ではその後もフォーマルな場で使えるものをとタキシードの購入に踏み切る人も増加しつつあります。
というのも、新郎衣裳の場合、購入とレンタルの金額ではさほど差がなくなってきているという現状があるからです。

【一般的な結婚式で新郎衣装の購入・レンタルの割合】
衣裳をレンタル… 94.5%
衣裳を購入…4.5%
【リゾートウェディングで新郎衣装の購入・レンタルの割合】
衣裳をレンタル… 55.0%
衣裳を購入…31.4%

結婚式での新郎衣裳1着の費用相場

【新郎衣装の購入・レンタルの平均費用相場】
・タキシード… 13.0万円
・フロックコート… 12.8万円
・紋付袴…9.5万円

上記の金額を見てわかる通り、実は新郎衣装は新婦衣装の費用相場に比べ半額以下で、レンタル金額と購入金額にさほど差がない状況です。
近年では、挙式後のお披露目パーティなど何度か着用機会のあるリゾートウェディングや、フォト撮影も控えている方、首都圏在住の新郎を中心に、衣裳の購入率が上昇しつつあります。

新郎衣裳の購入・レンタルの割合とメリット・デメリット

衣裳購入・レンタルには、それぞれメリットとデメリットがあります。どちらが良いかは自分たちのライフスタイルにあわせ、慎重に検討しましょう。

衣裳購入のメリット・デメリット

【メリット】
・メンズの衣裳シルエットはサイズがぴったりでないと見栄えがまったく違うので、自分好みのシルエットでジャストサイズで仕立てられる
・レンタルとオーダー購入の価格帯が変わらなくなってきているため、自分のものとしてずっと持っていられる
・近年ではデイリーでも着用できるリアルクローズタイプのデザインタキシードが増加
【デメリット】
・一般的な結婚式会場やホテルは衣裳持ち込み料金(3万円~)がかかるケースが多い
・結婚式会場への持ち込みや当日メンテナンスを請け負ってくれずセルフの場合も多い
・保管には保管場所と定期的なメンテナンスが必要

衣裳レンタルのメリット・デメリット

【メリット】
・会場の提携衣裳点であれば、メンテナンスから会場搬入まですべて手配してくれるので楽
・結婚式1度きりの着用と考えると保管の手間がいらない
・生地や縫製など優れたものを定価より安い値段で着用できる
【デメリット】
・レンタルなので、サイズがジャストサイズにならないケースや自分の好みのものがラインナップでない場合もある
・レンタル料金はある程度高額だが、自分の手元には残らない

結婚式の新郎衣装の衣裳合わせ。同行するのは新婦?親?

結婚式の新郎衣装の衣裳合わせ。同行するのは新婦?親?

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結婚式の新郎衣装を決める際、新婦に同行してもらいバランスを考えて決める人も多いでしょう。しかし、自身の両親の衣裳についても同様に考え、一家でバランスをとる配慮も必要です。
事前に親と相談を行ったうえで、衣裳を決めていきましょう。また、結婚式直前に焦ることがないように、日程に余裕を持って選ぶことも大切です。

新郎衣裳は新婦だけでなく自身の親とも相談し衣裳のバランスを合わせる

新郎の衣裳は、新婦とのバランスだけでなく、自身の家の両親の衣裳のバランスも揃えておく必要があります。なぜなら、結婚式では家族が並ぶ場面や写真を撮ることもあり、衣裳が揃っていないと不恰好に映ってしまうからです。洋装・和装どちらにするのか、父親と新郎のバランスも踏まえ、事前に話し合って決めておきましょう。
可能であれば親と一緒に衣裳合わせを行うのもおすすめです。

衣裳をレンタルする場合は早めの手配を

衣裳をレンタルする場合は早めの行動を心がけることが大切です。特に人気のデザインは予約が殺到しやすく、結婚式の直前には予約が取れないこともあります。また、予約する時期によって選べる衣裳プランも異なってきます。時期によっては選べるプランの選択肢が少なくなってしまったり、高額プランしか選択できないこともあるので注意してください。

実家が遠方で親と一緒の衣裳合わせが難しい場合

実家が遠方で親と一緒の衣裳合わせが難しい場合は、どんな衣裳を選んだか、必ず画像で共有してもらい、確認しましょう。サイズが合わないこともあるので注意が必要です。親が自前でもっている衣裳を着用する場合も、長年着ていない場合は必ず事前に着用してサイズを確認してもらいましょう。体型が変化していて、衣裳が合わなくなっていることもあります。
汚れなどがついていないかも、しっかりと確認を。小物に関しても同様に、結婚式で使っても問題ない状態であるのか確認しておきましょう。

まとめ

結婚式の新郎衣裳は結婚式で重要なファッション。花嫁や家族とバランス良く選ぼう

結婚式での新郎の衣裳は、花嫁衣裳だけでなく、結婚式の雰囲気やテーマをつかさどる、重要な演出の意味合いも担っています。最近ではおしゃれな新郎や、衣裳だけでなく小物にもこだわりを持って選ぶ新郎が増加しており、単なるレンタル衣装だけの選択肢から、購入にまで枠を広げての検討も増加しています。
新郎もぜひ衣裳選びにこだわり、新婦や家族との調和を大切にしながら、一生の思い出に残る素敵な衣裳を見つけてくださいね。

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この記事のライター

結婚式準備.com編集部

結婚式準備.com編集部です。結婚式の準備で悩むプレ花嫁を応援する記事を書いていきます。

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