結婚式の意味を『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた 第5話

旦那様の山西章博さんと一緒に、お笑いコンビ『夫婦のじかん』として活動する大貫ミキエさん(@ohnuki_fufutime)。大貫さんは芸人だけでなくイラストトレーターとして一家の家計を支え、いっぽう山西さんは主夫として料理や家事を引き受ける『夫婦のかたち』を確立しています。大貫さん夫婦と境遇が似ている椿鬼奴さんとグランジ大さんの結婚式に招待されたふたり。そこで目にした披露パーティは、大貫さんの“結婚式の概念”をことごとく覆すほど、愛と、笑いと、主役おふたりがとことん楽しむアメイジング!に満ちていました。結婚を通じて気持ちが変化した大貫さんが、改めて考える『結婚式の意味』ってなんだろう?結婚式を挙げる理由に迷うあなたに読んでほしい。大貫さんが描く、働く女性の等身大の結婚への物語を全6回でお送りします。

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これまでの大貫さんと山西さんの『夫婦のかたち』のお話はこちらから
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『こんな結婚式ならしてみたい!』結婚式観が変わる披露パーティに出会った

『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた
『夫婦のじかん』の大貫さんオリジナル結婚式漫画
『夫婦のじかん』の大貫さんオリジナル結婚式漫画
『夫婦のじかん』の大貫さんオリジナル結婚式漫画
『夫婦のじかん』の大貫さんオリジナル結婚式漫画

『こんな結婚式は見たことない!』椿鬼奴さんとグランジ大さんの結婚式

こんな結婚式は見たことない

Chinnapong – stock.adobe.com

フォトウェディングで自分の結婚イベントは満足していた

いわゆる定番の『ザ・結婚式』という形式が、自分たちの生活スタイルに合わないこと。
周囲の大切なひと誰一人の心にも、影を落とすことなく式に招待したい…という思いがあること。

いろいろと考えれば考えるほど、「やはり結婚式はやらなくてもいいのではないか」という考えが私の中でまとまっていきました。
また番組で海外フォトウェディングを行ったことで、結果的に誰にも迷惑をかけず、誰にも寂しい想いもさせず、新婚旅行も兼ねて一石二鳥で結婚式ができたため、とてもコスパが良いと感じていたのです。

しかし、芸人という仕事をしていると『フォトウェディングだけでなく、お披露目パーティーなど何かしらやった方が良い』という意見もちらほらとあるのです。しかし『式』や『パーティ』には準備が付き物なので、面倒くさがりな私はなかなか重い腰が上がりません…。
「みんながみんな楽しめるようなパーティなんて、自分に準備できる自信が無い…」

椿鬼奴さんと佐藤大さんの結婚式は目からウロコの衝撃だった

そんな風に思っていたところに、先輩の椿鬼奴さんとグランジ大さんの結婚パーティーに呼んでいただく機会がありました。
鬼奴さんご夫妻とは、私たちが芸人を始めた当初からそれぞれお世話になっていました。また、我が家と同じく旦那さんが料理をしているということもあり、結婚後は特に仲良くさせていただいていたのです。そんなお二人の結婚披露パーティーということで、とても楽しみに出席したのですが…
パーティが始まった途端、度肝を抜かれました。新郎新婦が歌いながら登場したのです!

歌いながら登場した椿鬼奴さん

一気に会場のボルテージは上がりました。
芸人ならではの笑いたっぷりの余興があったり、歌手の方や一般のお友達の歌が生バンドであったり、新郎新婦自らが余興に参加しまくったり、新婦の鬼奴さんがビールをガンガン飲んでいたり…。

見たことのない新郎新婦の姿と景色に結婚式の観念が覆された

今までの結婚式やパーティーでは、すべて見たことのない景色ばかりでした。
こんなに自由でいいんだ!と、結婚式の概念を覆されました。
新郎新婦が『本当に好きなことをしている』というのが伝わってきて、ゲストのみなさんも本当に楽しんでいるのです。私自身も「ずっとパーティーが終わってほしくない!」と思ってしまう程、非常に楽しいパーティーでした。

私は今まで、結婚式をするとなったら周りの人や招待した人の気持ちばかりを気にしていました。
ですが、自分たちが好きなことを思い切り楽しむことこそが、周りの人を笑顔にすることなのではないか…と、その時気が付いたのです。
そして、こんなに自由な形の式があるのなら、私も自分が楽しめるオリジナルのものならばやってみたいかも…という気持ちにまでなっていったのでした。

『こんな結婚式なら楽しすぎる!』ハッピーな鬼奴さん&大さんの姿にホロリ

鬼奴さんと大さんの結婚式に出席した時のおめかし大貫さん&中西さん

鬼奴さんと大さんの結婚式に出席した時のおめかし大貫さん&山西さん

── 大貫さんたちがフォトウェディングを行った某番組内(※第3話参照)では、グランジ大さん(以下:大さん)が椿鬼奴さん(以下:鬼奴さん)にサプライズプロポーズをされています。実は私、プロポーズ場面もテレビで拝見していまして、大さんが手紙を読むところで感動してもらい泣きました…。おふたりの結婚式に大貫さんが出席していて、結婚式の概念が変わってしまったということに驚きました。大貫さんは、おふたりとはいつからお知り合いだったんですか?

大貫さん:大さんと鬼奴さんがお付き合いされるずっと前から、それぞれの先輩に私たち夫婦はお世話になっていました。
といっても、鬼奴さんは芸歴や年齢から言っても私から見たら大先輩。大さんとお付き合いされるまでは、大勢でごはんを一緒に食べにいく程度のお付き合いでしたが、とても尊敬している大好きな先輩でした。一方で大さんは、私が新人の頃から舞台やライブが一緒になることが多く、とても身近な先輩だったんです。

似たもの同士?大貫さん夫婦と椿鬼奴さん夫婦の楽しい関係

── 大貫さん夫婦と鬼奴さん大さんが、夫婦同士でお付き合いが始まったのはいつぐらいからだったんですか?

大貫さん:おふたりがお付き合いを始めてから、最初は他の芸人さんも交えてみんなでごはんを食べに行ったりしていました。でもいつの間にか、私と夫、鬼奴さんと大さんの4人で、我が家や鬼奴さんの家で集まって、ごはんを食べたりすることが多くなっていったんです。
というのも、鬼奴さんと大さんの関係が、我が家の夫婦関係や境遇とよく似ているんですね。お互いにそんな家庭が周囲にはなくて、話が合うなと感じているうちに、自然に仲良しになりました。

── 大貫さん夫婦と鬼奴さん夫婦は、どのような点が似ているんですか?

大貫さん:我が家は私が生活費主にを稼いで、料理が得意な夫が食事を作たり家事をする夫婦スタイルですが、鬼奴さんと大さんの関係もほぼ同じなんです。
鬼奴さんの家では、大さんのほうが家事を担当しています。だから鬼奴さんの家に私たちが遊びに行くと、大さんが手料理を用意してもてなしてくれるんですよ。

@ohnuki_fufutime / Instagram

@ohnuki_fufutime / Instagram

グランジ大さんの愛情たっぷりな料理は椿鬼奴さんのInstagram(@tsubakioniyakko)に多数掲載。『#グランジ大の主夫メシ』で検索&要チェック!

── えっ!大さんが料理担当なんですか?大さんのお笑いのネタやエピソードのイメージから大きく覆されたというか…。

大貫さん:大さんは服装まで板前さんのような恰好をして、料理を作って楽しませてくれます。すごく凝り性で本格的な料理を作ってくれるんです。とっても美味しいですよ!『夫が料理を作る』『夫の方が凝り性』という点も両家は共通しているので話が合うんです。
大さんは「たくさん食べてくれるのが嬉しい」と言って、お鍋を作ったら必ず〆(しめ)まで用意してくれたり、心配りも行き届いています。
ただ、とてもありがたく嬉しいんですけど…夜中の3時に「お腹減っただろ」と言って、突然蕎麦をゆで始めたり…とにかく大量に作り続けるんです。このまま食べ続けたら確実に太ってしまうと危機感を感じることもあります(笑)

── そういえば大貫さんのInstagramの漫画で、山西さんが大さんから『お土産に5000円分の大量のハーゲンダッツ』をもらってきたエピソードがありましたね。

大貫さん:大さんは料理だけではなく、冷凍のカニとかお菓子のおすそ分けとか、我が家にいろんなお土産をたくさん持たせてくれるんです。
ハーゲンダッツのエピソードも「飲んで帰ってくるときにお土産があったら、家で待っている側は嬉しいだろう」という、大さんの細やかな気遣いです。これだけで、飲んで帰ってくる夫を待ってイライラしている妻側の気持ちは『面白くない』から大きく変わりますよね。
ただ、ちょっと量が極端に多すぎて太ってしまうのが…本当に危険です。

@ohnuki_fufutime / Instagram

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大好きなふたりの先輩が結婚!大貫さんから見た鬼奴さんと大さん

── 大貫さんたちが大さんのことを、とても尊敬されているんだなということがお話から伝わってきます。大貫さんから見て、テレビで私たちが見ている“グランジ大さん”のイメージとは、違った部分もあるのでしょうか。

大貫さん:テレビで語られる大さんの“ヤバめ”なエピソードは、ほぼ全部実話です(笑)ただテレビが見せるイメージでは、バラエティとして面白いエピソードだけが強調されて終わってしまう。私たちから見る大さんは、人として本当に優しい『いい人』なんです。
例えば、女性の容姿について男芸人はよくネタにします。オンオフの境目なく表でも裏でもいじり倒すような芸人さんもたくさんいるし、イメージを気にして表ではあまり言わないのに楽屋に戻ると急にいじりを始めるような芸人さんもいます。
もちろん大さんも、舞台の上でおいしくなるネタなら舞台上では口にしますが、仕事でない時や楽屋では決して言いません。大さんは、自分の努力ではどうにもならないこと、人が気にしているようなことは、裏でいじったりしない。『人に対して失礼なこと』は、舞台以外では言わない。そういう人です。

── 芸人さんの世界だけでなく、人が傷つくことを『いじり』だと思って簡単に口にするいる人はたくさんいます。大さんは、とても紳士的な方なんですね。

大貫さん:芸人界隈ではみんな大さんのことが大好きです。芸人としてネタが面白いのはもちろんですが、それ以上に人間として大きく、面白く、優しく、魅力がある人だと思っています。
私がネタの面白さ以上に『人としての生き様が面白い』ほうに芸人としての魅力を感じるようになったのは、先輩・佐藤大さんに出会ったから。新人だった私は大さんの背中から、芸人としての基礎や大切なことを、たくさん学ばせてもらったんです。

── 大さんはとても素敵な先輩なんですね。また大貫さんから見て、鬼奴さんはどのような先輩なんでしょうか?

大貫さん:一言でいうと『エキセントリック』です。テレビで見るイメージのまま…普段も本当に変わっている方ですね。女性らしくてスタイルも素敵なのに『大御所演歌歌手のモノマネをする』という、まず普通なら選ばない芸の方向性から見ても、やっぱり“どうかしている”んですね。
ところが普段は、ものすごく優しくて泣き上戸な方なんですよ。いつも日常のちょっとしたことに感動したり、映画やドラマに感情移入してし涙ぐんでしまうんです。
モノマネをやっている鬼奴さんと、同一人物とは思えないほどギャップがあるんですけど、そういうところが本当に魅力的だと思っています。

── 鬼奴さん…か…可愛い…!そんなお話を聞いたら、女の私でもキュンときてしまいました。

大貫さん:以前私たちが出演した関西ローカル系のテレビ番組内で、私たち夫婦の馴れ初めをイラストストーリーにして動画で流す、という企画がありました。鬼奴さんはその番組を見てくれて、めちゃくちゃ感動して号泣してくれたそうなんです。とても嬉しかったですね。
大さんと鬼奴さん。どちらもとても優しい方で、私が大好きな方です。
だからお互いがいい人と出会って、結婚してから毎日が本当に楽しそうで…おふたりが結婚して本当に良かったな、とずっと思っています。

笑って泣いて感動して。大貫さんが体験した全員がハッピーな結婚式

── そんな大好きなおふたりの結婚式は、大貫さんが今まで出席された結婚式と、何が大きく違っていたんでしょうか?

大貫さん:『とにかく楽しかった!』の一言に尽きます。しかも楽しんでいるのは会場にいる全員…ゲストだけでなく、主役の新郎新婦である鬼奴さんと大さんが、思いっきり楽しんでいるということなんです。
今まで出席してきた他の芸人さんの結婚式も、もちろんプロ芸人らしくスピーチも余興も凝ったもので盛り上がり、楽しかったです。ただ、どの結婚式も一般的な結婚式の枠から流れははみ出すことはなく、つつがなく終わっていました。

楽しかった結婚式

Masa – stock.adobe.com

大貫さん:ところが鬼奴さんの披露パーティは、いきなり生バンドの演奏から始まったんです。そしておふたりが、さながらコンサートのオープニングのように歌いながら階段を降りてきて驚愕しました。
ふと脇を見ると、鬼奴さんと仲の良い先輩芸人の方が号泣しているんです。
「どうしたんですか?」と聞いてみると「この曲は、鬼奴さんが『もし結婚式をやるならこの曲を歌いながら入場したい』と言っていた曲なんだよ」と教えてくれました。その話を聞いて周りのみんなも「鬼奴さん、ずっと温めていた夢ががなったんだね」ともらい泣いてしまったんですね。

── すごくいいお話ですね。入場曲はグッとくるバラードだったんですか?

大貫さん:いえ、かなり激しめのロックでした。私、洋楽は全然詳しくないんですけど。盛り上がるハードビートの中、みんな号泣していました。

── パーティ冒頭から強烈に面白いですね…披露パーティ会場が一気にライブハウスと化して号泣の渦に…。

大貫さん:その後も入れ替わり立ち替わり、いろいろな人が舞台に上がって歌い、終わればすぐに誰かが上がって余興をやり…と余興のオンパレードです。鬼奴さんと大さんも、一緒に余興に参加する機会が多く、常にゲストの皆さんと共に盛り上がっていました。
この『余興コンボ』の流れが、打ち合わせ済みなのかアドリブなのかは分かりません。素人の方も芸人さんも自由に舞台に上がったり歌ったり、かなり自由度が高い進行でした。司会を鬼奴さんの同期の芸人さんが上手く仕切っているということもあり、ずっと盛り上がったまま最後まで完走したんです。

── まるで結婚式が『極上のショータイム』のようです。

大貫さん:はい。本当にショーのような結婚式でした。
鬼奴さんがとにかく一番楽しそうなのが印象的で、花嫁だけどいつものようにビールをがぶ飲みして、歌って踊って楽しい時間をゲストと一緒に満喫していました。こんな手の込んだ披露パーティを計画するには、準備は絶対に大変だったと思うんです。でも『絶対に自分がまず楽しいと思う式にしよう』という鬼奴さんの心意気が伝わってきました。

踊る大さん

大さんも、花嫁を盛り上げるために一生懸命に一緒に歌って踊って合いの手を打って…その姿から鬼奴さんへの愛が伝わってきて、ほっこりしましたね。大さん、本当は歌ったり踊ったりするのは得意ではない筈なんです。

── 参加した全員が、心から幸せになれる…鬼奴さんと大さんの人柄そのままの、素敵な結婚式だったんですね。

大貫さん:『まず自分が楽しむ結婚式にすれば周りの人も楽しめる』ことを、この結婚式で体感できたことが、結婚式への考え方が大きく変わった理由です。鬼奴さんがいつもの鬼奴さんのまま思い切り楽しんでいて、自分が考えていた花嫁像とは大きくかけ離れていることに衝撃を受けました。
今まで私が描いていた花嫁像は、食べたいものも我慢して、ゲストを気遣い、笑顔を作って“今日の主役”を一日演じ切らないといけないのではと思っていたんです。
でも鬼奴さんの花嫁姿が『結婚式はもっと自由で、もっと前向きでいいんだ』と教えてくれました。
ただ…果たして自分がここまでやりきれるのか、という部分は疑問なんですけど(笑)

── 大さんの後ろ姿で『芸人』を学び、鬼奴さんの後ろ姿で『結婚式』を学ぶ…大貫さんにとって、おふたりは本当に大切で素敵な先輩夫婦なんですね。今回もとても面白いお話をありがとうございます。次回はいよいよ最終回…大貫さんがどんな結論にたどり着くのか、楽しみにしています!

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この記事のライター

大貫ミキエ

数々の漫画賞を受賞している漫画家で、旦那様である山西章博さんとコンビ『夫婦のじかん』として活動中しているお笑い芸人として活動中!思わずクスッと笑ってしまう夫婦とお子さま3人での朗らかな日常を描く漫画が人気。

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