結婚式の意味を『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた 第3話

旦那様の山西章博さんと一緒に、お笑いコンビ『夫婦のじかん』として活動する大貫ミキエさん(@ohnuki_fufutime)。大貫さんは芸人だけでなくイラストトレーターとして一家の家計を支え、いっぽう山西さんは主夫として料理や家事を引き受ける『夫婦のかたち』を確立し、二人は結婚に踏み切りました。すると二人の元に、新婚芸人として某テレビ番組への出演依頼が!しかしその企画、結婚式はしない選択をしたはずの大貫さんにとって、非常に厳しい決断を迫られる怒涛の内容だったのです…。いったいどうなる!?そして結婚を通じて気持ちが変化した大貫さんが改めて考える『結婚式の意味』ってなんだろう?結婚式を挙げる理由に迷うあなたに読んでほしい。大貫さんが描く、働く女性の等身大の結婚への物語を全6回でお送りします。

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新婚芸人の大貫さん・山西さんにあの結婚番組から出演依頼が舞い込んだ!

結婚式の意味を『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた
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結婚式の意味を『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた

「ハワイに行くはずだったのに!」芸人人生の終わりを覚悟した一言

結婚式は挙げないはず…なのに結婚式の紹介番組からお声がかかった

芸人が結婚をすると、若手と言えども何かしら結婚に関したお仕事がきたりするものです。
私たちにも、さまざまな結婚式のかたちを紹介する某新婚向けのテレビ番組から、出演のお声がかかりました。本来なら、お声を掛けていただけるだけでありがたく、とても嬉しいことなのですが…結婚式となると話は別です。
この連載でも再三言っておりますが、私は結婚式は挙げないと決めていました。だから「この企画にもっと他にふさわしい人がいるはずだ」という思いもあり、出演を一旦はお断りしていたのです。
しかしなぜか出演の話は、あれよあれよと進んでいきました。

打合せでは、『どうして私が結婚式を挙げたくないのか』という理由や、結婚に関するイベントは新婚旅行へハワイに行くだけで終わりです、ということもきちんとお伝えしました。すると、
「ハワイか~、ハワイって実はうちの番組でもあまりやってなかったりするんですよね。じゃあ、そこに同行するだけっていうのはどうでしょう」
と、番組のスタッフさんが提案してくれたのです。「こんな若手芸人の新婚旅行に密着してくださるなんて、ありがたい話だな…」という気持ちもあり、番組への出演をお受けすることにしました。

楽しみのはずの新婚旅行が…モ、モアイのいるあの島で挙式!?

ところがいざ収録当日になると、話は全く違いました。
どういうわけでそういう流れになっていたのか、…いったい誰が企んだのか。番組の収録が進むと『私たちがイースター島へ行って結婚式を挙げる』という企画の流れになっていたのです。どうして突然イースター島だったのか。それは今でもわかりません。

普通の芸人であれば、MCである大物先輩芸人に「イースター島に行ってこい」と言われてそんな流れになってしまったら…たぶん「行かざるを得ない」と考える人がほとんどでしょう。
私自身も通常なら100%、その流れに乗るしか選択肢はなく、最初は否定していたとしても「どのタイミングで話の流れに乗ろうかな~」なんて考えていたと思います。

しかし!!
今回は「結婚式」なんです!
どうしてもやりたくないんです!(※)

「結婚式」はやりたくない…

結婚式の意味を『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた 第1話

(※)大貫さんが「結婚式をやりたくない」思いに至るまでのアツい背景と理由は、ぜひ第1話、第2話を参照のこと

結婚式の意味を『夫婦のじかん』の大貫さんが家族がいる今だから真剣に考えてみた 第1話

ほんの数十秒の間に、いろいろなことを考えました。
断ったら芸人人生が終わるかもしれない…。
視聴者の方をイライラさせてしまうかもしれない…。
若手のくせに調子に乗っていると思われるかもしれない…。
いろいろと考えた結果もう最終的にどうでも良くなってしまい、自分の心にとにかく正直なのが一番いい!と思ってしまった瞬間。
自分の口からはっきりと「嫌です」という言葉が大きめに飛び出していたのです。

しかし、旦那がうまい具合いに中立の立場を取ってサポートしてくれたお陰で、私はむしろ「バラエティー感強めにはっきりヤダヤダ言える人」というポジションをいただき、とにかくいろんな理由をつけて、全力で断りまくりました。
結局は収録後、イースター島に行くには費用が高すぎるということもあり行くのは不可能だと決まりました。でも何故かその後も、スタッフさんからいろいろと南国を勧められるのです。
実は私は、南国に苦手意識がありました。もともとの行先であったハワイも『観光地だから行きたかった』というだけで、南国に心底行きたかったわけではありません。本当は海は嫌いですし日焼けもしたくないのです。
すでに一回収録をしてしまったけれど、番組自体を断れないものか…
そう考える私の目に、あるパンフレットのフォトが飛び込んできました。

運命の決め手はクラゲ…今後の展開は予測不能のまま二人で旅立ち

水中いっぱいに群がる幻想的なクラゲの群れ。そのフォトはパラオにある『ジェリーフィッシュレイク』という場所でした。
パラオの海から切り離され独立した湖に、たくさんのクラゲがいます。外敵がいなくなったクラゲたちは毒が不要になり、人間の手でも触れるクラゲになったのです。

ジェリーフィッシュレイク

Tetsuji – stock.adobe.com

実は私は昔からクラゲに興味があり、水族館ではクラゲのコーナーが一番好きなんです。いつかあのプルプルしたものを手で触れないものかと思っていました。
透き通った不思議な見た目と、フワフワとした泳ぎ方…ライトアップされていたりすると、本当にきれいな生き物です。
そこで以前、家でクラゲを飼えないものかと調べてみたのですが、水質を整えたりするのがかなり難しく断念しました。その後いろいろと調べていて、実はジェリーフィッシュレイクの存在を知っていたのです。
そんな私の目の前に、ジェリーフィッシュレイクが載ったパラオの、フォトウェディングのパンフレットが…。

ハワイは今後行く機会があるかもしれない。でも南国に興味のない自分にとって、パラオはこんな機会がなければ行かないかもしれない。
突如そういう思いに至り、パラオなら行ってみたいかも…という気持ちになったのです。
とは言え、クラゲ以外には興味がありません。海自体も苦手です。
その上、『フォトウェディング』…不安しかないまま、私たち夫婦はパラオへと旅立ったのでした。

「新婚旅行になぜイースター島!?」衝撃企画に夫・山西さんのナイスアシスト

ハワイでリゾ婚

Kanako-Nakai – stock.adobe.com

── もともとハワイに行くはずの予定が、打合せとはまったく違ってイースター島に行かされそうになるって、あまりにも急展開すぎませんか。実は最初からドッキリ企画だったのでしょうか…?

大貫さん:なぜ『ハワイからイースター島に行先が変更』かという理由は、私にもまったく分からないんです。たぶん最初からイースター島に行かせる前提だったと思います。
この出演話は当時のマネージャーさんが持ってきてくれたのですが、新婚の若手芸人夫婦なら行ってくれるのではと思っていた節もあるのかなと…。
ただ、私は絶対に絶対に行きたくなかったんです。

イースター島で結婚式

Pedro – stock.adobe.com

── 新婚旅行でイースター島というのも、よほど知的好奇心がないと、絵面的に視聴者のウェディング的な興味が引きづらいような気もするのですが。

大貫さん:その当時(2016年)でも、日本人イースター島で結婚式を挙げた人はたった一組しかいないと聞きました。しかも、イースター島での結婚式の内容とは、本場のネイティブな形式で行うものだったんです。ほぼ半裸状態のイースター島の衣裳を着て、顔に誰か分からないほどの白い化粧を施して、モアイ像の前でオールナイトで踊り狂って儀式を行うというものです。
私も夫も無宗教なのに、突然なんの縁もない現地の宗教に則って式を挙げろと言われても…ちょっと意味が分からないですよね。

『絶対にイヤだ!』花嫁が見る番組だからこそ花嫁の立場で全力拒絶

大貫さん:しかも、イースター島の渡航とウェディングの費用は、経費ではなくすべて自腹だと言われたんですよ~。

── えっ…すべて自腹!?もともとハワイ旅行に行こうと思っていた資金は、旦那様である山西さんのご両親がくださったお金だったと漫画(※前章参照)に書かれていましたね。

大貫さん:はい。夫の両親が結納のようなことをやらなかった代わりに「新生活のために、せっかくだから新婚旅行でもなんでも使いなさい」とくださったお金なんです。ハワイに行ったとしてもできるだけ残して、今後のために家電を狩ったり貯蓄に回そうと私は考えていました。さすがに、夫の両親から頂いた大切なお金を、テレビの企画には使えません。
出演前の打合せでも「旅行費用のお金は夫の両親がくれたものだ」という話を担当者にしてあったのに、蓋をあけてみたら『予算100万円でイースター島に行け』という企画にすり替わっていたんです。

── ご両親から頂いたお金の件もそうですが、新婚旅行の機会も一生に一度の、大切な思い出になることですものね…。

大貫さん:でも、その後に周囲の若手芸人にこの話をすると、「その状況であれば自分は行くかもしれないなあ」という人が、かなりいました。私も若手芸人の立場としてならバラエティが面白くなる雰囲気を考えて、「行く」と言っていたでしょう。さんざんゴネたけど結局行きますよという流れのほうが、その場は盛り上がるかもしれない。

── 芸人としての立場なら番組の面白さを優先すべきなのか…苦しすぎる選択肢です。

大貫さん:ただ、この番組を“結婚式にあこがれている一般の方”が見ていることを考えるなら、もし私たちが嫌々イースター島に行く姿を見ても「イースター島はいいところだな」「ここで結婚式がしたいな」と思うことは、絶対にないでしょう。面白さはあっても、私たちの姿にまったく共感できないと思うんですね。
私たちはその時は若手芸人としての立場ではなく『新郎新婦の立場で出ている』。だから『断ってもいいだろう!』と腹をくくりました。
それで、完全に本音で「嫌です」と本番中に言い切ったんです。

ohnuki_fufutime / Instagram

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『夫の状況を受け止める力』だから自分たちの夫婦のかたちがある

── MC役の大先輩芸人が、ごりごりイースター島を勧めてくる中でその一言を発するのは、後の番組の空気を考えると震えるものがありますね…。お話(※前章参照)では『夫である山西さんが上手く場のバランスをとってくれた』とありましたが、山西さんはどんな対応だったのでしょうか。

大貫さん:夫は敏感に空気を読んで、ちょっと自分が損をしたり嫌な思いをすることがあっても「これで丸く収まるなら」と立ち回ってしまうタイプです。でも私は夫と逆で「はっきり言わなきゃ!」というタイプなので、このままイースター島に行かされるわけにはいないと、とことん抗う立場に立ったんです。それに夫はすぐ気がついて、『丸め込まれるキャラ』の役割に立って、バラエティとして面白くくなるように演じてくれました。
夫が「まあまあ、二人で行くならどこに行っても楽しいじゃん~」という風に言えば、私が「騙されるんじゃないよ!」と全力で反対するという風に。夫のお陰で、イースター島に行くことを全力で拒絶する花嫁としての難しい立場を、バラエティとして芸人として面白く成立させて乗り切ることができたと思います。

── 連載の第2話でも夫の山西さんのお話を伺いました。このお話も、本当に優しくて懐が深い方だなぁと感じるエピソードですね。

大貫さん:私もそう思っています。でも、その優しさのせいで、損している部分もたくさんあるんです。我が家は前回お話した通り、家事のほとんどを夫にお任せしている代わりに、私が生活費を稼いでいるため、夫は家計の心配なく暮らしています。
ただ、それを知っている他の男性から「うらやましい立場だなぁ」なんて言われたり、「お前は何やってるの?」「働いたら?」と言われてしまうことがあるようなんですね。
でもそんな言葉は、女性が主婦として家で働いていたとしたら絶対に言わないですよね。

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── 家庭と仕事に対する認識や役割はだいぶ男女差がなくなってきたと感じていますが、まだまだ面と向かって、そんなことをいう人がいるんですね。

大貫さん:私はそんな話を聞いたらものすごくイライラしてしまうのですが、夫は「そうですよねぇ、えへへ」と笑ってその場を丸く収め、「あんなことわざわざ言ってくるなんて、彼はストレスがたまっているのかなあ」とつぶやくぐらいで済ませてしまうんです。

── 柳のように強い風を爽やかに受け流す…山西さんらしいふわっとした、素敵なエピソードですね。

大貫さん:基本的に旦那は損していると私は思っているんです。でも、そんな性格だからこそ、芸人の先輩たちに可愛がられたり、主夫をしながら芸人としての道を続けていく今の環境を手に入れられているんだな、とも思うんですよ。
結果として考えると、決して損な性格ではないかもしれないですね(笑)

── パラオに行先が決まるまでのエピソードは本当にはらはらしましたが、最後に山西さんのエピソードでほっこりしました。次回はいよいよ大貫さんがパラオでフォトウェディングに…楽しみにしています!

芸人&漫画家&お母さんの3つの顔!大貫ミキエさんとは

夫婦のじかん大貫/大貫ミキエさん

芸人として旦那様である山西章博さんとコンビ『夫婦のじかん』として活動中。
また漫画家としては集英社ちびまる子ちゃんファンコミック大賞、ママリ漫画大賞、小学館漫画賞、たまひよ漫画賞等々数々の漫画賞を受賞。
大貫さんの活動や著書を、今すぐCHECK!

【お知らせ】大貫ミキエさん著書『母ハハハ!』発売中

母ハハハ!

付き合って10年で結婚、偶然が重なり夫婦でお笑いコンビを組むことに!
嫁でイラストレーター兼芸人の「夫婦のじかん 大貫さん」が、旦那の山西章博(元・トンファー)とのふたり暮らしの様子から、結婚やコンビ結成のエピソード、妊娠・出産・育児の中で日々巻き起こる、笑いと癒しと奮闘の数々をユーモアたっぷりに綴った抱腹絶倒のコミックエッセイ

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この記事のライター

大貫ミキエ

数々の漫画賞を受賞している漫画家で、旦那様である山西章博さんとコンビ『夫婦のじかん』として活動中しているお笑い芸人として活動中!思わずクスッと笑ってしまう夫婦とお子さま3人での朗らかな日常を描く漫画が人気。

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