ウェディングドレス選び、花嫁に多い悩みとは?
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ウェディングドレスは花嫁にとって最重要アイテム。結婚準備のメインともいえるほど、最も力を入れたいポイントですよね。ウェディングドレス選びをスタートした花嫁たちはどんなことに悩んでいるのでしょうか。ワタベウェディングのウェディングサロンでドレスコーディネーターとして約500人の花嫁とウェディングドレスとのマッチングを叶えてきた三浦さんに話を聞きました。
理想のドレスがわからない…でも体型カバーだけは気になる!
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── 花嫁さんがウェディングドレスを選ぶとき、どのような悩みを相談されることが多いですか?
三浦さん:花嫁さまが初めてサロンにご来店されるタイミングでは、どのようなドレスが自分に似合うのかわからない、理想をまだお持ちでない方が多く、一緒にウェディングドレスのイメージを固めていくところからスタートします。
それでも、みなさん体型のことだけは最初から気にされています。
── 『こんなドレスが着たいけど体型の悩みが…』という感じではないんですね。
三浦さん:理想のドレススタイルを描きはじめたときに『実はこんな体型の悩みがあって…』とお悩みについてお話しされるケースがほとんどです。実際にウェディングドレスを選び始めるとお肌の悩みなども出てきますが、やはり体型に関する相談は一番多いです。
── 似合うドレスがわからない理由には、体型へのコンプレックスも関係していそうですね。
三浦さん:自分はちょっと肩幅がある、二の腕が太め、など悩み自体はわかっているけど『自分の体型に合ったドレスがわからない』という感じです。例えば『ぽっこりお腹をカバーするドレスを選びたい』というような具体的な相談は少なく、体型のお悩みをお伝えいただきながら、それぞれのお悩みをカバーできるドレスを提案させていただいています。
描き始めた理想と現実とのミスマッチ
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── 理想を描き始めると『こんなドレスが着たい』と考え始める花嫁さんも多いと思いますが、着たいと思ったドレスが似合わないこともありますよね。
三浦さん:もちろんあります。ドレスを実際見ていただくと『このドレス着てみたい!』となることも多いですし、中には着たいドレスのお写真をご準備されている花嫁さまもいらっしゃいます。
ただ、理想のウェディングドレスと自分の体型に合うウェディングドレスは違う場合もある、ということを理解していないと、理想と現実のミスマッチが起こりやすくなります。ご試着されて似合わないと、やはり少なからずショックですよね。
── 理想への想いが強いと諦めきれない花嫁さまも多いのでは?
三浦さん:そう思いますよね。でも意外にもみなさん、ご試着されると納得して気持ちを切り替えられています。理想のドレスとこちらからご提案するドレスの二つを試着し見比べ、自分に似合うタイプを認識される方は多いです。
着たいと思ったドレスは心残りのないように、ご試着いただくことが一番です。
結婚式をすることが決まったらどんなドレスを着ようかワクワクしながらも、理想のスタイルを具体的に思い描く花嫁は意外にも少いようです。それでも体型カバーだけは譲れないのが女心。自分に似合うドレスと出会うためには自分の体型を客観的に把握することが近道というから、体型はやはり、ドレス選びには重要なポイントなんですね!
ウェディングドレスを美しく着こなす条件とは?
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ウェディングドレス選びのポイントとなる体型ですが、美しく着こなすためにベストな体型はあるものなのでしょうか。最近ではただほっそりと痩せている身体よりもメリハリのあるボディラインに憧れる女性が増えていますが、痩せていた方がどんなシルエットのウェディングドレスも美しく着こなせるような気がするのも確か。実際にはどうなのか、ウェディングドレスを美しく着こなすための条件、教えてください!
── ウェディングドレスを美しく着こなすベストな体型はありますか?
三浦さん:ウェディングドレスのシルエットによります。痩せていればどんなドレスも似合うと思われがちですが、そうでもないんです。例えば王道で人気のAラインのドレスは、ぽっちゃり体型の方によく似合います。ウエストラインはくびれ、スカートの適度なボリューム感でメリハリがつきやすくバランスよく着こなしていただけます。
一方で、Aラインの中でもシンプルなデザインのドレスは華奢な花嫁さまが着ると細さが際立ち貧相に見えてしまうこともあります。ボリュームのあるAラインであれば華奢さんでも素敵に着こなせます。またその細さを活かして、Iラインの美しさを魅せるエンパイアラインや、スカートにボリュームのあるプリンセスラインも華やかに見えるのでおすすめです。
お尻が大きくて悩まれていても、Aラインやプリンセスラインなら隠すこともできますし、マーメイドラインならそのお悩みを魅力として引き立てることもできます。
── 痩せていればなんでも似合う、というわけではないのですね。
三浦さん:どのような体型でも、似合うドレスと似合わないドレスがあります。スタイルがよくてもお顔立ちや雰囲気によってデザインを選ぶのと同じで、体型と花嫁さまご自身の雰囲気などをトータルして見ていけば、必ず似合うドレスと出会うことができます。
── 体型がすべてではないのですね。結婚式までにここだけは引き締めておくべき、というポイントはありますか?
三浦さん:二の腕と背中は隠しにくい部分でもあるので、気になるようでしたらエクササイズなどで引き締めていただけると、当日のドレス姿により自信を持っていただけると思います。背中のお肉はブライダルインナーで前に流して着ていただけますが、ウェディングドレスは背中が開いているデザインも多く、後ろ姿を見られる花嫁さまとしては気になるポイントのひとつです。
どのような体型であっても似合うドレスが必ずある、と思えると、体型に悩みを持っていてもウェディングドレス選びをより楽めそうですね。まずは引き締めるポイントと魅せるポイントを理解して、自分の体型に合ったシルエット選びから始めてみるとよさそうです。
お悩みポイント別、体型カバー術
ウェディングドレスのシルエットが決まったら、次に気になるのはデザインの選び方。多くの花嫁が悩みがちな体型のお悩みごとに、デザインや着こなしで叶えるカバー術を聞きました。
たくましい二の腕
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どの花嫁も必ず口にする二の腕のお悩み。肉付きのよい二の腕は隠したくなりがちですが、実は出した方がスッキリと魅せることができるので、隠さないスタイルを提案することが多いのだとか。少しでも隠そうと中途半端に袖があるデザインを選ぶと、よけいに太く目立って見えてしまうため、潔く出す選択が◎!
どうしても隠したい場合には、ロングスリーブやオフショルダータイプのデザインがおススメ。袖が取り外しできるタイプのウェディングドレスも多いので、試着しながら二の腕の見え方を見比べながら決めてもよさそうです。
手元を飾るグローブは、サイズ感と素材感で選ぶとベスト。肌にピッタリとフィットするサテングローブよりも、レース系やオーガンジータイプのグローブだとソフトにフィットして気になる腕のお悩みをカバーしてくれます。
ぽっこりお腹
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ぽっこりお腹も女性に多いお悩みのひとつ。ただ、ウェディングドレスの下にはブライダルインナーを着ることがほとんどのためウエストラインが目立つことは少なく、お腹に関しては気にしすぎる必要はないそうです。
ただし、マーメイドラインだけはブライダルインナーを着てもカバーできずにお腹が目立ってしまうことも。そんなときはAラインとマーメイドラインの中間であるフィットアンドフレアのデザインやスレンダーラインを選べば、ぽっこりお腹をカバーしつつもタイトでスタイリッシュなスタイルが叶えられます。ぜひチャレンジしてみて!
痩せ体型でガリガリ
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痩せ体型の花嫁の悩みは、ドレスの存在感に負けて貧相に見えてしまうこと。ただ、痩せてるからこそ似合うウェディングドレスもたくさんあります。
そのひとつが、憧れのエンパイアライン。ウエストにくびれがないスタイルため着る人を選んでしまうシルエットでも、ほっそりさんなら美しく着こなすことができます。スカートのボリュームがインパクト大のプリンセスラインも、痩せ体型ならミニマムなトップスとのメリハリが作れて、まさにプリンセススタイルそのもの!華やかさもアップするので存在感もしっかりアピールできます。
胸が小さい or 大きい
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バストメイクやドレスとのフィット感は、ウェディングドレスを美しく着るために欠かせないポイント。日本人の花嫁は特に胸の小ささにコンプレックスを感じているケースが多いようですが、ブライダルインナーとパッドでしっかりとバストメイクをすれば心配無用だそうです。
ボリューム感で悩むなら、胸の周りにお花やフリルなどの飾りがついているデザインや、胸元があまり開いていないタイプ、袖つきのドレスなどがおススメ。
バストサイズが大きいくてお悩みの場合も、ハートシェイプなど大きく胸元が開いているデザインは避けると無難。ただしハイネックなど首が詰まっているタイプで隠すと胸元が余計に強調されてしまう場合もあるため、デコルテを見せてスッキリ感もプラスできるオフショルダータイプなどがよさそうです。
背が低い or 背が高い
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身長が低いと高いヒールを履くこと前提のドレス選びになりがちですが、足長効果のあるハイウエストデザインなら、スカートの丈を詰めれば低いヒールのパンプスでもバランスが取りやすくなります。小柄な体型だとドレスの切り替え位置がフィットしにくいマーメイドラインも、ソフトマーメイドなら自然な着こなしが叶ううえ、高いヒールを履けば足長効果も!
身長の高い花嫁に多い悩みは、新郎との身長差。ウェディングドレスを着るときはヒール靴着用がほとんどのため、新郎とのバランスがとれるようボリュームをおさえたスレンダーラインやソフトAラインを選ぶと◎。
また、身長に悩むすべての花嫁におススメしたいのが、体型に合わせてカスタムできるセミオーダーのウェディングドレス。レンタルのウェディングドレスは総丈167cmで作られていることが多いため、低身長の花嫁は厚底で高いヒールを避けられなかったり、高身長の花嫁は新郎の身長を超えてしまうことも。
セミオーダーのウェディングドレスなら総丈だけでなく体型に合わせてカスタムできるので、スカート丈を好みの長さに調整できるのはもちろん、憧れのスタイルも自分の体型に合わせて叶えることができます。
がっちり見えるいかり肩
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いかり肩だと肩幅が広く見え、がっちりとした印象になることを懸念しがちですが、ドレスのデザインを選べば凛とした美しい花嫁スタイルを演出することができます。
肩が気になる場合も二の腕と同じく、隠さずに見せるビスチェタイプがおススメ。潔く出すことでスッキリと着こなすことができます。肩は気になるけど出したくない花嫁は、華奢な印象をプラスする繊細なレース系のボレロを。デコラティブな装飾やファーなどのボレロはボリュームが出てしまうので避けると無難です。
お尻が大きい or 小さい
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ウェディングドレスではお尻が目立つことは少なく気にする必要がない場合がほとんどですが、マーメイドラインだけはお尻が目立つシルエット。メリハリがあることで美しく着こなせるマーメイドラインは、お尻が大きいと悩む花嫁こそ似合うドレスです。ヒールを合わせてさらなるスタイルアップを叶えましょう。
お尻は小さいけどマーメイドラインが着たいときは、ヒップパッドなどでお尻にボリュームをプラスすることも。理想の花嫁スタイルを美しく着こなすための補正アイテム、ぜひ活用してみて!
背中のお肉・脇のお肉(副乳)
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多くの花嫁が悩む、背中のお肉と脇からはみ出る副乳問題。ウェディングドレスのほとんどは背中が見えるデザインが多く、二の腕や胸の悩みを解決してくれるビスチェタイプは副乳が気になりやすいもの。
まず背中のお肉については、ブライダルインナーを着るときにお肉を前に流すようにすると効果的。より美しく魅せられるように、背中の産毛やニキビはブライダルエステでしっかりお手入れをしておきましょう。
花嫁のほとんどが悩む副乳は、ウェディングドレスのブライダルインナーとウェディングドレスのバストサイズ調整がカギ。カップサイズの少し大きいブライダルインナーにバスト周りのお肉をまとめて高い位置でドレスをセットしたら、ズレないようアンダーバストをきつめに締めます。編み上げタイプのドレスだと締め付け具合を調整しやすくおススメ。気にならない程度まで副乳問題を解決できますが、副乳がまったくないと逆に貧相に見えてしまうことも。女性らしさの象徴ととらえれば、気にしすぎることもなくなりそうです。
お肌の色が黒い
真っ白なウェディングドレスを着るなら肌も白くないと!と思いがちですが、肌の色が黒いとウェディングドレスの白色を引き立て、美しいコントラストがうまれます。ダークカラーは全体をスマートに見せてくれる視覚的効果もあるため、結婚式に向けて健康的な小麦色に調整する花嫁もいるほど。アイボリー系のウェディングドレスなら黒い肌にも美しく馴染むので、気になる場合は白の色味にこだわってみましょう。
ただし、黒いお肌は似合う色を選んでしまうため、カラードレスを着たい場合は肌を焼くのは控えたほうが無難です。
理想と現実のギャップを埋める、オーダードレス
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自分の体型に合っていて、なおかつ気になるポイントもカバーしてくれいても、思い描いていたデザインや雰囲気と違うドレスでは『運命の一着!』とは思えないもの。そんな花嫁におススメなのが、『オーダーまたはセミオーダーのマイドレス』。少し敷居が高い印象ですが、どのようなメリットがあるのでしょうか。
── オーダードレスやセミオーダードレスなら、体型カバーと理想のデザインの両方を叶えることができるものですか?
三浦さん:オーダードレスは体型をカバーするように作るのではなく、花嫁さま一人ひとりの体型に合わせて作ります。もちろん気になるポイントもヒアリングし、お悩み箇所も美しく魅せれるよう、ブライダルインナーを身に着けたベストなスタイルに合わせて仕立てていきます。
身長、バスト、アンダーバスト、ヒップ、ウエストなどすべて採寸して作るので、すべてのポイントにおいてご自身の身体にピッタリのサイズ感で着ていただけます。
── レンタルドレスだと、調整してもサイズがどうしても合わない場合もあるものですか?
三浦さん:あります。オーダーのウェディングドレスはバスト位置、ウエスト位置、ヒップ位置などすべてが花嫁の体型に合わせて作られているので、緩い、余る、足りていないということが起こらず、美しく着こなしていただくことができます。
総丈167cmにヒールを合わせること前提のドレスよりも、ご自身の身長に合わせたた丈のウェディングドレスの方が綺麗なのはもちろんですし、ご新郎さまとバランスも取りやすくなります。
セミオーダーでも袖のデザインやトレーンの長さ、コサージュやビジューの装飾追加などは好みに合わせて調整できるため、デザインにおいても理想のスタイルを叶えやすいのもオーダードレスのメリット。気になる予算も、ドレスによるところはあるものの、レンタルドレスを大きくオーバーするほど高額になるケースは少なく、特に海外ウェディング&帰国後パーティを考えているカップルは費用をおさえられる場合も!
まとめ
体型カバー術を活用して”自分らしい美しさ”が映えるドレスを見つけよう
体型にコンプレックスを持っていると似合うウェディングドレスを想像できず、ドレス選びが楽しくないと感じてしまう場合もあるかもしれません。そんな時は一人で悩まず、まずはドレスサロンの扉をたたいてみましょう。
三浦さん:体型コンプレックスをお持ちの花嫁さまは、ご試着にご来店されるときにネガティブなイメージを持っていらっしゃる方が多いんです。でも、さまざまなタイプのドレスがありますし、ドレスコーディネーターが花嫁さまの雰囲気や体型に合ったドレスを提案するので、みなさんには『私、着れた!』とハッピーになって帰っていただけています。コンプレックスがあるから着れない、似合うドレスがないと思わずに、楽しみに思いながらご試着に来ていただければと思います。
実際に体型コンプレックスを持っている花嫁から『試着に来るのがすごく嫌だったけど、すごく楽しく選べた』と嬉しい声をいただくことも多いとか。綺麗に着なきゃ、恥ずかしくないよう隠さなきゃと考えすぎずに、自分の美しさや個性を活かし気になる部分をカバーできる一着との出会いを心待ちにしながら、一生に一度のウェディングドレス選びを楽しんでくださいね。
お話をしてくれたひと
ワタベウェディング 三浦さん
ワタベウェディング ウェディングサロンにドレスコーディネーターとして2年半勤務。約500人の花嫁とウェディングドレスとのマッチングを叶える。現在は同社の広報担当として仕事に従事。