相手の両親への挨拶の前にやること
自分の両親に結婚の意思を伝える
結婚が決まったらまず、自分の両親に自分の口から直接報告しましょう。できれば直接伝えられる方が理想的ですが、親元から遠く離れている場合には、電話で報告をしておきましょう。大切な報告ですから、LINEやメールでの報告は避けましょう。また、相手の両親宅に訪問した時に自分の両親への報告がまだだった場合に、相手の両親が不安になってしまいますので、相手の両親宅に挨拶に行くまでには、2人とも自分の両親には結婚の報告を必ず済ませておきましょう。
両親と相談して訪問の日時を決める
結婚の報告をしたら、次は自分の両親と相談して訪問する日時を決めましょう。親にも2人を迎えるための準備がありますので、自分達の都合で決めずに余裕を持ってお互いの準備ができる日時にしましょう。また、自宅ではなくレストランなどで顔合わせをする場合には、事前にしっかりと予約をしましょう。この際に勝手に決めずに、親と相談して決めるようにしましょう。
両家への訪問の順番
親への挨拶は、先に男性が女性の家に出向いて挨拶をするのが一般的です。これは昔、男性が女性と結婚したいと思ったら、まず女性の親に申し入れにいったという習慣があったことの名残です。現代では、そんな習慣はありませんので、相手の家が遠いなどの都合により女性が男性の家に先に出向く場合もあります。
結婚相手の情報を両親に、両親の情報を結婚相手に伝えておく
顔合わせの前には、結婚相手の情報を自分の親に、自分の親の情報を結婚相手にしっかりと伝えておきましょう。
【伝えておきたい相手の情報】
■名前
■年齢
■出身地
■家族構成
■学歴
■職業
■趣味
■性格
■持病の有無
■好きな食べ物
■嫌いな食べ物
■得意なこと
■苦手なこと
など
相手の親に聞かれそうな質問とその回答を考えておく
二人の将来設計、今後の住む場所、同居について、共働きするのかなど、相手の両親に質問されそうな話題については2人であらかじめ何て答えるかを準備しておきましょう。答えられなかったり2人の考えていることが違っていたりすると親は不安になってしまいます。
【親に聞かれそうな質問】
■相手の親は結婚に賛成しているか
■将来設計をどう考えているのか
■同居する気持ちはあるか
■どこに住むのか
■共働きをするのか
■将来的に双方の両親は誰がみるのか
結婚の承諾を求める言葉を考えておく
訪問する日時が決まったら、男性は結婚の申し込みの言葉を考えておきましょう。訪問することの最大の目的は「結婚の申し込み」をすることです。
「必ず幸せにしますので、○○さんとの結婚をお許しください」など誠意のある言葉で伝えましょう。
【申し込みの言葉のNG例】
■あだ名:結婚相手の名前をあだ名で呼ぶのはNG、相手の名前に「さん」を付けましょう。
■お嬢さんをください:女性はモノではありません。時代錯誤です。
■結婚することになりました:相手の親の承諾を得ましょう。自分勝手な印象を与えます。
手土産を用意する
手土産の金額は3000円~5000円が適切
訪問するたびに持参する必要はありませんが、初めての訪問の際は、必ず手土産を用意しましょう。金額は3000円~5000円が適切です。あまり高価すぎるものは、かえって相手に負担をかけてしまうので注意しましょう。
手土産にふさわしいものは、季節の果物やお菓子などが無難ですが、お酒や名産品など、相手の好みが事前に分かっていれば、それに沿ったものを準備するとよいでしょう。相手の好みのものを渡す際は、「つまらないものですが」ではなく、「これがお好きだとうかがいましたので」と伝えるようにしましょう。相手の好きな物を「つまらないものですが」と渡すのは失礼になる可能性があるので注意しましょう。
手土産の渡し方
原則的には部屋に通されてから渡します。
(1)部屋に通されたら正式に挨拶をする
(2)手土産を「お好きだとお伺いしましたので」などと言って渡します。
(3)紙袋に入れている場合は取り出して、風呂敷に包んでいる場合はほどいて、正面を相手に向けて両手で差し出します。(持ちにくいものであれば、袋のまま渡しても問題ありません。)
手土産の注意点
改まったところに品物を持参するときなど、正式な渡し方としては、風呂敷に包んでいくのがマナーです。しかし、親への挨拶の場合は手土産ですから、そこまで気を使う必要はありません。紙袋で渡しても十分ですが、むき出しはマナー違反になるので注意しましょう。
風呂敷の包み方
(1)風呂敷の裏面中央に品物を置いて、手前から上に折ります。端の部分は品物に巻き込まないで折り返します。
(2)先に左側を中央にむかって折ります。
(3)次に右側を中央にむかって折ります。
(4)最後に奥から上にかぶせて端の部分を内側に入れ込みます。
(5)完成です。
手土産に利用されるもの
(1)手土産は圧倒的に食べるものが多いです。
(2)生ものよりは日持ちのよいものが喜ばれます。
【喜ばれる手土産の例】
■老舗や人気のある和菓子や洋菓子
■出身地の名産品
■季節の果物
■酒類(相手がお酒好きの場合)
手土産のポイント
手土産はあらかじめ用意しておきましょう。当日に途中で購入しようとすると、予定していた品物が買えなかったり、選ぶのに時間がかかってしまったりと、思わぬトラブルが起きてしまうこともあります。また、相手の家の近くで購入するのだけは絶対に避けましょう。
訪問時の身だしなみ
親への挨拶は正式な場面なので、ヨレヨレのジーンズやTシャツなどで訪問してはいけません。男性はスーツ、女性も上品なスーツやワンピースなどが無難です。清潔感を大切にして、男性はきちんとヒゲを剃って、髪も整えておきましょう。女性は控えめなナチュラルなメイクにしましょう。髪の色も、良識の範囲内なら構いませんが、金髪や極端な茶髪は避けます。
男性
【髪型】
清潔感のあるヘアスタイル。極端な茶髪や長髪はさける。
【顔】
ヒゲをきちんと剃っておく。
【服装】
プレスされたスーツとアイロンのかかったワイシャツ。
【足もと】
新品の靴下と、磨いてあるプレーンな革靴。
女性
【髪型】
明るい印象のヘアスタイル。前髪が目にかからないようにする。
【顔】
口紅やアイシャドウの色は控えめに、ナチュラルメイクで。
【服装】
清楚なスーツやワンピース。短すぎるスカートや胸元が大きく開いた服は避ける。
【小物】
アクセサリーは控えめに。また男性からもらった指輪は、親に結婚を許してもらったわけではないので、左手の薬指以外につける。バッグは大きすぎないものでキズや汚れのないもの。
【足もと】
清潔感のあるストッキングや靴下。雨が降ってきた時や伝線したときに備えて替えを準備しておく。靴はカジュアルすぎないもので、きちんと磨いておく。
当日のマナー
訪問から退出までの流れ
(1)約束の時間に到着到着の時間は予定どおり、もしくは5分遅れくらいがベターです。
(2)玄関前で身なりを再度整えるチャイムを押す前にもう一度身なりを整えます。コート類は脱いでおくのがマナーです。
(3)チャイムを押して玄関で簡単に挨拶挨拶をしたら上がり、靴を揃えます。
(4)部屋に通されたら再度挨拶座る前に名前を名乗り、時間をいただいたお礼を言います。
(5)手土産を渡す手土産を出し、相手に正面を向けて渡します。
(6)席に着く挨拶が済んだら勧められた席に座ります。
(7)自己紹介相手の両親となごやかに話しながら自己紹介をします。
(8)本題自己紹介が終わったら、結婚の承諾を得ます。
(9)退出を切り出す話が一段落したら「そろそろ失礼します」と伝えます。
(10)退出する退出する際はあらためて本日のお礼を伝えます。
時間を守る
挨拶当日は時間厳守を心がけましょう。時間にルーズでだらしないという第一印象を与えてしまいます。ただし、時間に早すぎても印象が悪くなる可能性があります。迎える側にも準備があります。時間ぴったりか5分遅れぐらいがベターです。早めに到着をして約束の時間まで家の近くで時間をつぶして待ちましょう。
長居は禁物
相手の親に、お茶やお菓子をすすめられたら、変に遠慮しないで素直にいただきましょう。
ひと通り話が終わったら、「本日はどうもありがとうございました。そろそろ失礼します」と言って、帰り支度をします。最初から長居をしてはいけません。頃合いを見計らって、帰りの挨拶を切り出しましょう。
この際に「お食事でも」と言って引き止められることがあると思いますが、辞退するのがマナーです。いったん引き止めることが相手のマナーだったりします。それでも、なおすすめられた場合やすでに用意されている場合には、遠慮しないでご馳走になります。
挨拶のあとの座る位置
(1)ここにと指示されたとき一礼をしてすすめられた席に座ります。
(2)指示されなかったとき下座に座ります。間違っても床の間を背にして座らないこと。
(3)上座をすすめられたとき素直に従い、すすめられた席に座ります。
(4)和室で座布団が置いてあるとき勝手に座らない。「どうぞ」と言われてからに座ります。その際は、「失礼します」とひと声添え、座布団に座ります。
訪問時のマナーポイント
チャイムは1回だけ
すぐに応答がないからといって、立て続けに押したり、乱暴にノックしたりしないようにしましょう。応答があったら「こんにちは。〇〇です」とはっきりとした口調で名乗ります。
玄関のドアは半身になって閉める
相手にお尻を向けないように、斜めに構えます。ドアを閉めたら、きちんと正面を向いて「初めまして。〇〇です。今日はお時間を割いていただいてありがとうございます」と挨拶をします。
正面を向いたまま靴を脱ぐ
「失礼します」と言って上がる。靴を脱いだら、半身の状態でひざをつき、脱いだ靴をそろえて隅に置きます。
部屋に通されたら正式に挨拶をする
一同がそろうのを見計らい、相手の目を見ながら「〇〇と申します。今日はお忙しいところをうかがいまして申し訳ありません。よろしくお願いいたします」と挨拶をします。
お手伝いを申し出る
女性が訪問したときは、「何かお手伝いすることはないでしょうか?」と彼のお母さんにたずね、手伝ってほしいと言われたら、指示に従って動きます。辞退されたら「どうぞ遠慮なさらずにおっしゃってください」と再度声をかけます。それでも辞退されたら手伝う必要はありません。
退出のときもきちんと挨拶をする
退出する際には、洋室の場合は立ち上がり、和室の場合は座布団を外して挨拶をします。「今日は本当にありがとうございました。これからもよろくお願いいたします」と述べます。
コートは外に出てから着る
玄関先では着てはいけません。ただし、相手が着るようにすすめてくれた場合には、靴を履いてから着用しましょう。
相手の両親の呼び方と会話の内容
相手の両親の呼び方
相手の両親をどのように呼ぶかは、意外と難しい問題です。「お父さん、お母さん」では、早すぎると反感を買いそうですし、できるだけ呼ばないように「あのー」で対応しようとしても限界があります。
男性と女性の場合では印象は異なりますが、結婚するまでは「〇〇さんのお父さん、〇〇さんのお母さん」というように、パートナーの相手の名前を入れて呼ぶのが無難です。
お互いの呼び方にも注意する
相手の親の呼び方だけではなく、お互いの呼び方にも注意しましょう。普段はニックネームや愛称で呼びあっていても、親の前では「〇〇さん」とさん付けにするなど、失敗のないようにあらかじめ二人で確認しておきましょう。
相手の両親との会話
呼び方の次に問題になるのが、相手の両親と何を話せばよいかということです。初めての訪問の場合には自己紹介から始めるのが無難です。年齢や出身地、職業、家族、趣味など無理せず話せる内容で会話を進めながら緊張をほぐしていきましょう。余裕が出てきたら自分の話だけでなく、相手の親の趣味や最近興味のあることなどに関する話をふってみましょう。相手が話だしたら熱心に耳を傾けるようにします。
会話の話題になるもの
■季節や今日の天候について
■自分や自分の家族について
■相手の子ども時代について
■自分の趣味や仕事について
■相手の両親の趣味について
■飼っているペットについて
■好きな食べ物について
相手の両親との会話でのNG
■下品な話
■下手なギャグ
■宗教に関する話
■政治的な話
■自慢話
■見え透いたお世辞
訪問後のふるまい
両家の親を訪問したあとのマナーも大切にしましょう。当日、帰宅したらまずお礼の電話をかけましょう。食事をごちそうになった場合はそのお礼も忘れずに伝えましょう。ただし、帰宅が深夜になってしまった場合は、翌日の午前中に電話をするようにしましょう。携帯電話ではなく、自宅の電話にかけるようにしましょう。
また、後日ハガキや手紙でお礼状を出すと、より礼儀正しい印象になります。3日以内であればハガキで大丈夫ですが、それ以上になったら封書の手紙を送ります。封書の場合でも1週間以内には出すようにしましょう。簡単な文章でよいので、時間をいただいたことへのお礼と、結婚を許してもらったことへの感謝の気持ちをしたためます。
電話で礼を述べる
電話でお礼を述べる場合には、その日のうちにかけます。「今帰りました。今日はどうもありがとうございました」などと切り出し、結婚を許してくれたことへのお礼を述べます。
手紙やハガキで礼を述べる
礼儀正しい印象を与えられます。できるだけ早く出すのがポイントです。
礼状の文例
○○様
先日はお忙しいところ、お時間を割いていただき、ありがとうございました。お二人の温かいお人柄にふれ、楽しいひとときを過ごすことができました。また、私たちの結婚を認めていただき、お二人への感謝の気持ちと幸せで胸がいっぱいです。これからは結婚式や新生活の準備などで何かとご相談させていただくことが多くなるかと思います。未熟者ですので、いろいろとご指導いただければうれしく存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
まずは取り急ぎお礼まで。
△△△△
相手の親と仲良くなる方法
相手の親とはこうして仲良くなろう!
■機会があるごとに会い、話をして溶け込むようにする
■挙式準備の状況を報告するなど、まめに相談する
■父の日や母の日、誕生日、記念日などにプレゼントをする
■相手の親の家を訪ねた時は、積極的にお手伝いをする
結婚に反対されたら
相手の親に結婚を許してもらうことができなかったら、慌てずに冷静に対処しましょう。感情的になったり、その場で理由を問い詰めたりすると、話はいっそうにややこしくなります。いったん「本日はこれで失礼します。またお目にかかれる機会をつくっていただきたく存じます。○○さんとの結婚の意思に変わりはありません」などと言って退出します。
後日、相手を通じて反対の理由を確認して、相手の親の気持ちを考えながら時間をかけてじっくりと説得するようにしましょう。
まとめ
最初の挨拶で、相手への第一印象が決まってしまいます。最初に悪い印象を持たれてしまうと、それを取り返すのはなかなか大変です。決してぶっつけ本番にならないように、あらかじめ2人で対策と準備をして臨みましょう。