グラハム子さんとトシさんの、これまでのお話はこちらから
【第1話】【第2話】【第3話】
だから、私たちは『1.5次会』を行うことに決めました
こうして私たちは『1.5次会』を行うことに決めました。
1.5次会というと海外挙式後など、一度別の場所で挙式をした後にお披露目として行うイメージがありますが、私たちは挙式無しで最初から1.5次会だけを行いました。
本音を言えば挙式が出来ないのは残念ではありましたが、『結婚に関わる儀式は一切やりたくない』派の夫(詳しくは第2話、第3話参照)が、ここまで『絶対に結婚イベントはやりたい』派の私に歩み寄ってくれていると思うと、私も夫に歩み寄ろう、と自然に思えました。
この頃になると、『自分の理想通りの結婚式がしたい』というより『2人共が納得できる結婚にしたい』という考え方になっていました。
ただ、夫はあいかわらず結婚イベントにはまるで興味なし。準備も一切したくない!を貫き通していました。
よく【新郎が結婚式の準備に協力的じゃない】のが不満という声もききますが、私たちの場合はもうそれが当たり前だったので特別不満もありませんでした。
私たちは結婚式に限らずイベントはやりたい方が手配する、という感じ。それが不満ではなく、むしろ独断で何でも決められるので私的にはありがたかったり。
(でも友人達にこの話をすると信じられないと言われます 笑)
結婚パーティーも私が1人で勝手に会場を決め、1人で着々と打ち合わせに向かう日々が続きました。
決まりのない『自由なかたち』が私たちの理想を叶えてくれました
最初は(挙式無しかぁ…)と少し残念に思っていた1.5次会ですが、準備を進めていくうちに1.5次会のメリットが見えてきました。
私が感じたメリットは、とにかく決まりが無く、自由であること。
ヴェールは神聖なものなので儀式でしか使用しないという考え方のところもあるようなのですが、ここはそういった決まりもなく、とにかく自由な構成が出来ました。
ゲストの人数も、席の決まっていない1.5次会だからこそ、お互いの希望をそのまま実現できました。
私達にはこのやり方が向いていたのかもな、と思えてきました。
『やるときはやるひと』と理解していたから結婚式当日も安心でした
当日の朝まで全くやる気が感じられない夫でしたが、パーティー中はノリノリでやってくれました。
でも私はこうなることは、心のどこかでわかっていました。
だから準備に非協力的でも、面倒くさそうな態度をとられても、【この人はやる時はやってくるから大丈夫】と安心していられたし、イライラしないでいられたんだと思います。
でもまさか、小道具まで仕込んでくれているとは思わなかったので、ちょっぴり感激でした。
友人達に祝福してもらえるのはやっぱりすごく嬉しかったです。
当初の理想のカタチではなかったけれど、やってよかったな、と心から思えました。
理由は上手く説明できないけど、ずっと大切な画像があります
自分でも理由は上手く説明できないのですが、いまだにたま~に結婚パーティーの時の写真を見たくなります。
それは私も旦那もまだ若くて可愛かったカッコよかった、というのもあるし、
皆に祝福され幸せだったなぁ…とその日を思い出してホクホクできるというのもあるし…。
色々な理由を全部合わせて、私の中であの日が『大切な思い出』であるからだと思います。
たまに見返しては、暖かい気持ちになれるのでございます。
『私たち何があっても大丈夫』という根拠のない自信に繋がりました
私が自身の結婚を通して学んだことは、結婚は式などのイベントも大切ですが、そこにいたるまでのプロセスも大切なのだということ。
【喧嘩しつつも2人で作り上げることができた】
【意見の違い価値観の違いを乗り越え、意見をひとつにすりあわせることができた】
これは、私達夫婦はこれから何があっても大丈夫だろう、という根拠のない自信に繋がりました。
結婚は『好きな人とずっと一緒にいられる』スタートを切る瞬間です。
どんなカタチであろうとも、きっと大切な思い出になります。
皆さまの結婚が、素敵なものになりますように!
『理想通りじゃなくても最高の結婚になる』グラハム子さんのここだけの話
── いよいよ国内で結婚式をひらく時が来ました。おふたりの出会いからここまでのお話をつぶさに聞いてきたので、なんだか私までグラハム子さんの結婚パーティに参加しているような気分です。おめでとうございます!
グラハム子さん:(笑)ありがとうございます。
── グラハム子さんが結婚式を行った7年前、1.5次会という形式はまだ馴染みが薄い結婚式だったとおもいます。初めて内容の提案を聞いたとき、戸惑いはありませんでしたか?
グラハム子さん:ブライダルカウンターの方から1.5次会のお話を提案されるまで、そういった形式があることを私も詳しくは知りませんでした。今まで参加してきた結婚式はすべて『挙式・披露宴・二次会』3部構成でしたから。それらをひとつにまとめる形式の『1.5次会』に、正直戸惑いはありました。
「ゲストを招待するのにカジュアル過ぎないかな」とか「チャペルのような場所で挙式ができないのは寂しいかな」とか、不安や物足りなさもありました。
グラハム子さんとトシさんが選んだ『1.5次会結婚式』とは?
── 初めて聞くパーティスタイルを決定するのに、どのような部分が決め手になったんでしょうか。
グラハム子さん:1.5次会といっても、通常の結婚式の形式に近い1.2次会のような形式から、よりカジュアルで二次会に近い1.8次まであって、それをひっくるめて1.5次会と呼んでいるということがわかったんです。
つまり、自分たちでフォーマル寄りにするかカジュアル寄りにするか、その加減も選ぶことができるんですね。
── グラハム子さんとトシさんは、どんな形式の1.5次会にしようと考えたんですか?
グラハム子さん:私たちは通常の結婚式の形式に近い、カジュアルすぎない『1.2次会』ぐらいのスタイルで行うことにしました。司会や音響スタッフさんをプロにお願いして、食事や装花もほぼ通常の披露宴と同じようなスタイルにしています。
ただ席次をなくして、ゲストの方たちが自由に席を選べるようにしました。席次をなくしたのは、二人とも会社関係や親族は呼ばず、親しい友人中心で立場や関係性がフラットな方たちしか招待しなかったからです。
それから、1.5次会結婚式にしたもうひとつの理由は、ご祝儀制ではなく会費制であることも大きな決め手でした。
── 会費制とは、ゲストから結婚のお祝い(ご祝儀)はいただかずに、自分の飲食代のみを会費として負担してもらうという考え方ですね。
グラハム子さん:トシさんが結婚式を行うことを拒んでいた理由に、ご祝儀として1人3万円も出してもらうことに抵抗があったんです。彼は、時間を割いて自分たちのお祝いに集まってもらう方々から、高いお祝い金を貰うのは申し訳ないという考えでした。
「1人1万円ぐらいを出し合ってちょっといいごはんを食べながら座席も自由に行き来して、みんなとの時間を楽しみたい」というトシさんの希望が、1.5次会のパーティスタイルなら叶えられることが分かったんです。
── なるほど…グラハム子さんの夢とトシさんの希望の折り合いがつく部分が、ちょうど1.5次会スタイルなら実現できたんですね。
グラハム子さん:はい。それ以外にも、自分で詳しく調べていくうちに、1.5次会に対して最初のイメージどおりの部分とイメージとは違って良かった部分がでてきました。情報と知識が集まることで不安はなくなりましたね。
1.5次会という枠の与えられたものの中で「自分のやりたい結婚式を実現していこう」と、どんどん前向きになることができました。
マタニティ中でも、たった1人でも、不安のなかった結婚式準備
── 1.5次会はゲスト側もまだ馴染みがなく、初めてこういった形式の結婚式に出席されるという方も多かったと思います。招待の際はどのように1.5次会の形式を伝えたのですか?招待状制作など苦労されませんでしたか?
グラハム子さん:実は、結婚式準備であんまり大変だった記憶がなくて、楽しかった思い出ばかりなんです。
例えば招待状は紙の招待状ではなく、会場側が用意してくれたオンラインサイトのWEB招待状で、ラインやメールを利用してお知らせすることができました。
会場の様子の紹介や地図、ゲストの出欠確認、お祝いメッセージを書き込む欄など、簡単に管理することができるようになっているんです。タイトルも、結婚式や結婚披露宴という名目ではなく『結婚パーティ』として行いました。
── WEB招待状を利用してゲストの方に招待サイトへアクセスしてもらえば、どのような結婚式であるかひと目で分かりやすいですね。
グラハム子さん:会場の席は自由なので、席次表の話し合いや準備も必要なく、手間もそこまでかかりません。
友人たちもリングピローやウェルカムボードを作ってくれたりと手伝ってくれました。私も髪飾りを自分で手作りして…そんな風に準備は順調に進んでいきました。
── 結婚式準備はグラハム子さんひとりで行ったと聞いて、少しびっくりしました。たった1人で結婚パーティの準備を進めることに、不安や不満はなかったのでしょうか?
グラハム子さん:トシさんは「自分は準備はやらない」と最初から明言していたんです(※漫画&第2話参照)。
もしトシさんが自ら結婚式をやりたいという立ち位置なら、怒りも湧くでしょう。でも『結婚式を絶対にやりたくない』ポジションから『結婚式やりたいハム子の気持ちを優先する』立ち位置まで長い話し合いでやっと昇格したという経緯があります。
だから、準備の99%は私が全部やろうと最初から思っていたんです。トシさんは当日来てくれればいいよ、というスタンスでした。むしろ自分1人でどんどん決めて進められるので、準備はとてもスムーズでしたね。
お互いの価値観の違いを『理解し信頼する』ことから生まれる安心
(※)漫画に登場する『綾〇』の実際の乾杯シーン
── お話から察するにグラハム子さんとトシさんの関係は、お互い自立した関係性なんですね。
グラハム子さん:この夫婦のかたちは、現在に至るまで私たち夫婦のスタンスでもあります。
例えば、トシさんは釣りが好きなのですが、私はさほど興味がありません。でも子どもたちは釣りが大好きなので、連れて行くには1人では面倒を見切れないので私も同行します。
その際はトシさんが計画から準備、用具を揃えるまでほぼすべて担当しています。私は「ただその場にいてくれればいい」というスタンスで見守っています。
要するに、結婚式はその逆だったんですね。
── なるほど。『自分のやりたいことに相手を誘ったら自分が準備を受け持つ』ということをお互いが認識しているんですね。例えるなら、会社や仕事の役割分担のように。
グラハム子さん:そうですね。夫婦関係って、仕事と似ているかもしれません。仕事も「やりたい」と言った人を信頼して任せますよね。
結婚式の準備で私は相談もせず、トシさんも手伝いはしませんでしたが、彼の性格を信頼していたので「本番での役割はきちんとこなしてくれるだろう」と信じることができました。
信じているからこそ、価値観や意見が違っていても「この部分はきっちりやってくれるだろう」と待っていられたのかなと思います。
── グラハム子さんにとって、トシさんへの深い信頼感や理解は、結婚を決める前に深まった部分が大きいのでしょうか。
グラハム子さん:もちろん、結婚前に分かったことや理解が深まった部分もあります。でも結婚後の生活を通じてトシさんについて知ることのほうが多かったですね。そしてトシさんへの理解や信頼が一層深まったのも結婚後でした。
信頼関係って『夫婦でも他人なんだ』と理解することから始まるんじゃないかなと思っているんです。とても冷たい言い方に聞こえてしまうのですが、言い換えれば『夫婦でも価値観が違って当たり前』ということを理解して尊重することが、信頼につながっていくと実感しています。
『理想通りじゃなくても“好き”があれば大丈夫』グラハム子さんからプレ花嫁さんたちへ
── 結婚前にお互いのすべてを理解することは難しいですよね。結婚前にものすごく時間をかけて、お互いの情報や性格をどんなに確認しあって長く付き合ったとしても、結婚がうまくいくとも限りません。以前、某有名野球選手が言った「結婚はギャンブルだ」という言葉が、なんだか身に沁みます。
グラハム子さん:すべての考えがぴったり合う人なんて、この世の中で探すのは難しいでしょう。
だから結婚は、すごく好きな部分より「ダメなところもあるけど、そんなところも許せるし好きだな」と思えるかどうかなんじゃないかと思っています。
トシさんは結婚前は貯金もほとんどなかったし、突然外で鳩を捕まえて家に持ち帰ってくるような人でした(※第1話参照)。人によっては「貯金がないような男の人なんて絶対に嫌だ」と考える人もいるでしょう。でも私には「まあそんなところも、オッケ~!」と思えることだったので、全然嫌ではなかったんです。
── 好きな部分も、嫌だと思う部分も、人によって感じ方が違うということですね。
グラハム子さん:はい。だから世の中にはトシさんよりいい人はいっぱいいるだろうけど「私の人生で出会える中で最大級にイイオトコだ」と、ずっと思っています。『ラブラブ夫婦』とは違ったかたちの『仲良しの夫婦』になりました。
トシさんに何をされても自分は嫌いにならないだろうなと思っているし、人として酷いことは絶対にしないということも分かっている。とても信頼しています。
その信頼は、お付き合い、結婚式、そして結婚後の積み重ねを通して得てきたもの。
結婚しなければ得られなかったんだなあと、出会いから結婚式までを振り返って感じることができました。
── グラハム子さんたちの夫婦のかたち、とても素敵ですね。そしてすべての夫婦が、他とは違ったそれぞれの信頼のかたちを築けばいいんだなと思うことができました。グラハム子さんの『ここだけの話』は今回で終了ですが、いろいろな方々の『ここだけの話』も、もっと聞きたくなりますね。グラハム子さん、楽しいお話を本当にありがとうございました。
もっと知りたい!グラハム子さんとは
グラハム子さんは現在、恥ずかしがり屋な息子さん、破天荒な娘さん、クレイジーな夫のトシさんとの4人家族。グラハム子家にはそのほかにも、猫と亀、ハムスター、ウーパールーパーという楽しい相棒がいます。楽しい日常備忘録を育児漫画やエッセイ漫画として、InstagramやさまざまなWEBサイトで連載中です。グラハム子さんの活動をぜひチェックしてみてくださいね。
【お知らせ】グラハム子さん著書『美淑女戦隊 オバサンジャー 困った姑・夫を浄化する!?』発売中
敵は孫催促婆にモラハラ男――!? 正義の味方は三人のおばさん?
五十嵐みどりは、好きなアニメのフィギュアを集めるのが趣味な、ごく普通の兼業主婦。
ある日、みどりが仕事を終えて家に帰ると、姑が連絡もなく、家に遊びに来ていた。
そのうえ、姑は子どものいないみどりに孫の催促をして、「子産め婆」と化していた。
そんな強敵から、みどりを助けるために現われたのは、美淑女戦隊オバサンジャ――。
オバパープルとオバピンクに導かれ、みどりはオバグリーンに覚醒して、自身の姑である「子産め婆」や「アレルギーは気のせい婆」など、次々と現われる強敵に立ち向かう。
SNSでバズり、主婦に共感された話題作がついに書籍化。3人のババアが頑張る社会派(?)ハートフル・コメディー!!
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