結婚式の基本的な席次ルールとは?
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結婚式準備でも、手間がかかり、ふたりとウェディングプランナーの話し合いが必要で、時間も手間もかかるのが席次決めです。配席を間違えると、おもてなしの気持ちが伝わらないだけでなく、ゲストに不快な思いをさせたり、今後のお付き合いのトラブルの原因になってしまう場合も。
ただ、まずは基本的な結婚式の席次ルールを確認したうえで、急増している家族のみ、親族のみの少人数結婚式での席次をどのように考えたら良いか、傾向を掴みましょう。
ルール1.新郎新婦に向かって左が新郎側、右が新婦側
高砂席に向かって左が新郎側、右が新婦側です。
そして、ゲストが座る向きにもルールがあります。新郎新婦が座る高砂席に向かって、左が新郎側、右が新婦側のゲストです。
新郎が婿入りする場合は、左右を逆にするのがしきたりです。ただし慣習通り新郎新婦の位置を逆にするかは、両家の考えによるので、新郎新婦だけで決めずに両親に相談をしておきましょう。
ルール2.上座と下座
一般的な席次には「上座」と「下座」があります。
新郎新婦に一番近い席が上座、一番遠い席が下座です。通常、新郎新婦が座る高砂席は会場内で最も格の高い、入り口から遠い場所に置かれます。
また、ゲスト側の席次は新郎新婦との関係性で決まります。
上座=年上の人、目上のゲストが座る場所。新郎新婦に近い席
下座=年下の人、もてなす側の人が座る場所。新郎新婦から遠い席
上座から下座に向かって「主賓→職場関係者→友人→親族→家族」となり、親が下座(母が末席)です。
両親は新郎新婦と関係性が深いものの、一緒にゲストをもてなすホスト側なので、下座となる場所(末席)に座ってもらうのが一般的です。
家族と親族の席次は上座から「関係の遠い親戚→関係の近い親戚→祖父母→兄弟姉妹→両親」となります。
ルール3.一卓の中にも上座・下座がある
ひとつの卓の中にも上座、下座があります。
職場関係は役職が高い人が上座で、上司→先輩→同僚→後輩の順です。
親族は血縁のある者の親等によって違い、3親等のおじ・おばが上座です。
次に2親等の祖父母や兄弟姉妹。
おじ・おばや兄弟姉妹は年齢順が基本ですが、本家と分家にこだわる場合は本家を上座に、結婚して名字が変わった人はゲストとして上座にすることもあります。
夫婦で出席の場合、夫が上座、妻が下座です。
家族のみ、親族のみの少人数結婚式の席次マナーや考え方は?
家族のみ、親族のみの少人数結婚式が急増している近年では、このルールを「しっかり守らなければ」より「決め方の参考にする」と、緩やかなルールで捉える傾向が強まっています。
家族のみ、親族のみの少人数結婚式の席次の考え方
席順は、一般の披露宴では新郎新婦との関係の近さによって決められます。新郎新婦に近いのが「上座」一番遠い「下座」にあたるのが親族の席になります。
家族のみ、親族のみの少人数結婚式の席次では、本来は上座となる主賓や上司は招待していないケースがほとんど。そのため「上座」に誰に座ってもらうべきか悩む場合も多いでしょう。家族のみの場合か、親族がいるかどうかで席次は変わり、上座となる新郎新婦に近い席は、伯父伯母(叔父叔母)をはじめとした、血縁の遠い親族に座ってもらいます。新郎新婦の両親が、下座であり新郎新婦から最も遠い席次となります。
話しやすさ打ち解けやすさを重視して席次を考えるカップルも増加
細かい上下関係や年功序列より、同じテーブルになることで『話しやすいか、盛り上がりやすいか、打ち解けやすいか』を重視して、ゲスト同士がアットホームで会話が弾む席次を柔軟に決めるカップルが増加しているようです。
職場の人を招待する場合はを新郎新婦が座るメイン卓の近くにして主賓を上座にするのが一般的な席次マナーですが、ゲスト数が少ない結婚式では、親や兄弟姉妹のテーブルを新郎新婦と同様、もてなす側としてメイン卓の左右に設けることも多く見られます。
ただ、親族間のしきたりや家族の考え方もあるため、状況をしっかりと伝えたうえで、トレンドの結婚式をよく知っているウェディングプランナーからの客観的なアドバイスをもとに席次は決めるのをおすすめします。
家族のみ、親族のみの少人数結婚式で高砂は必要?
結婚式はテーブルの配置や席次の決め方でも雰囲気が変わります。
家族のみ、親族のみの少人数結婚式は通常の披露宴とは違い、ゲストも少人数なので席のレイアウトがしやすいのが特徴です。高砂を用意してもよいですし、ゲストと一緒の席にして距離感をぐっと近くする席次も多く採用されています。
メインテーブルをなしにして新郎新婦がみんなの席に回れるよう、各テーブルに席を用意しておくアイデアもあります。
一般的な結婚式でよく選ばれるテーブルレイアウト例
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最近はコンセプトウエディングの流行でテーブルレイアウトの種類も増えてきました。テーブルをどのように配置するかによって結婚式の雰囲気も変わってきます。
さまざまな種類のテーブルレイアウトがある中で、披露宴会場でよく見かける一般的なものとして三種類があげられます。
・円卓テーブルを使ったちらし型
・長テーブルを使ったくし型
・メインテーブルを設けないオーバル型
一般的な結婚式では円卓テーブルを使ったちらし型を採用するパターンが多く、会場の広さとゲストの人数によっては、固定のテーブルレイアウトしかできない場合もあります。
また、この3種類を組み合わせ、少し変わったテーブルレイアウトを考えるアイデアもあります。
円卓テーブルちらし型
披露宴で定番の円卓テーブルを均等に並べる「ちらし型」は、同じテーブル同士会話を楽しむことができ、ゲストも動きやすいのが特徴です。テーブルフォトやキャンドルサービスもしやすいため、演出を取り入れたいという方におすすめです。席によっては新郎妊婦に背を向けたスタイルになり、見にくいということもあるようです。背を向けたスタイルにならないよう席の配置に気をつけましょう。
長テーブルくし型
長テーブルを使った「くし型」は、格式高く落ち着いた雰囲気でおこないたい方におすすめです。新郎新婦やゲスト同士も顔がよく見えるので、みんなで会話を楽しむことができます。たくさん座れるからといって席を詰め込みすぎてしまうとゲストが窮屈に感じてしまうことがあるで、適度なスペースを空けれるようにテーブルの数も考えましょう。
オーバル型
オーバル型は、メインテーブルを設けずに新郎新婦のまわりにゲストが座るスタイルになります。新郎新婦もいっしょに座るのでゲストとの会話を楽しむことができるのが特徴です。和気あいあいとした雰囲気でおこなえるため、アットホームな披露宴にしたい方におすすめ。ゲストの人数が多い場合、テーブルも大きくなり新郎新婦からゲストが遠くなってしまい会話をできないこともあるため、少人数の披露宴に適しています。
オーバル形のテーブルは所持している会場が少ないなど、会場によって使えるテーブルが異なるので確認を。
家族のみ、ゲスト数が2人から10人程度の結婚式の席次例とテーブルレイアウト
家族婚は少人数のため会場も小さく、テーブルの数も少ないので席次表は必要なく、自由に座ってもらうという考え方もあります。しかし、席が決まっていないとゲストがどこに座ってよいのかわからず、微妙な空気になるケースも。
家族のみの結婚式は少人数でのウエディングスタイルに慣れていない年配の方(祖父母など)への配慮もふくめて、席を決めておく配慮もおすすめです。
家族婚の席次は、家族がどのようにしたら楽しんでもらえるのかを考えながら準備を進めていきましょう。
円卓、オーバル
ゲストが10名以下の場合、一つのテーブルを囲むのもおすすめです。みんなの顔を見ながら話すことができるので、より家族との親睦が深まるでしょう。
円卓、オーバルの席次例
オーバル型は長細いひとつの円卓に10人まで座ることができるため、10人程度の家族のみの結婚式に向いています。
オーバル型のテーブルでは、新郎新婦は中央に座り、席次のルールに従う場合は新郎新婦の向かい側、かつ一番外側の場所が末席となり、両親が座る席順になります。上座となる新郎新婦に近い席は、伯父伯母(叔父叔母)をはじめとした、血縁の遠い親族に座ってもらいます。
近年では、感謝の気持ちを伝えるために、新郎新婦の隣に両親が座る考え方も増加しています。
長テーブル
長テーブルを使い、お誕生日席、または中央に新郎新婦の席を設置するレイアウトです。メインテーブルを設置しなくても主役のふたりの顔がゲストから見やすくなります。
長テーブルの席次例
1本の長テーブルを使った席次は、お誕生日席は一般的に、新郎新婦が座って高砂席のような配席にします。新郎新婦に近いほど上座、遠いほど下座になります。
ふたりが長テーブルの中央に座る場合は上で紹介した、オーバルテーブルの場合と同じです。
家族や親族のみ、10人以上20人程度の結婚式の席次例とテーブルレイアウト
ゲスト数が20名前後の場合は、円卓ちらし型、2本流しがおすすめです。
また、コロナ禍の感染対策として、通常のテーブルに座れる人数を減らしてゲスト同士の間隔をあけ、テーブル数を増やすケースも増加しているため、ウェディングプランナーにゲスト数に合わせたバンケットの広さやテーブル数を確認しましょう。
丸テーブルちらし型
高砂(メインテーブル)ありの場合
高砂(メインテーブル)を設置することで、どの席からも新郎新婦が見え、ふたりからもゲストの全員の顔が見やすくなります。披露宴に近いスタイルにしたい方におすすめです。
高砂(メインテーブル)なしの場合
高砂(メインテーブル)をなくし、新郎新婦が各テーブルを順番に周るスタイルになります。テーブルごとゆっくり話しをしたいカップルにはおすすめです。
長テーブルくし型の場合
20名ほどゲストがいる場合は、一つの長テーブルだと全員の顔が見づらくなってしまいます。その場合2本の流しテーブルを使い、メインテーブルを設置することでゲストの顔が見えやすく交流もしやすくなります。
家族、親族、親しい人のみ、20人以上30人程度の結婚式の席次例とテーブルレイアウト
ゲスト数が20人以上30人程度になる席次では、ほぼ通常の披露宴同様、定番の円卓テーブルちらし型か長テーブルくし型が採用されます。また、家族や親族だけではなく、非常に親しい友達や同僚を招待するケースも出てきます。
家族のみ、親族のみの結婚式に友達や仕事関係のひとを呼ぶなら席次は?
友達や仕事関係のゲストは、身内である親戚より遠い関係性のゲストになるので、上座に配席するのが基本的な考え方です。家族・親族のみの結婚式に新郎新婦の友達を招待するなら、席次は新郎新婦に一番近いところにします。
また、新郎新婦に近い席の方が、親族に囲まれた席よりも友達も仕事関係のゲストも安心ですし、周囲の親族と打ち解けやすくなり、気まずい思いをさせません。
ちらし型なら、新郎新婦の友人、仕事関係者だけで、ひとつのテーブルを作るのもいいでしょう。
コの字型
定番の円卓テーブルちらし型か長テーブルくし型だけでなく、コの字のレイアウトも20人~30人程度の結婚式向きです。
縦の短い部分に新郎新婦が座ることで全員の顔を見渡すことができます。ゲストも新郎新婦に背を向けることもありません。
中心となる縦の部分には、新郎新婦ふたりだけが座る高砂的な席次も可能です。
また、ふたりの横に両親が座って、感謝の気持ちが伝えやすい席次にするのもおすすめです。同じ長テーブルのくし型よりもゲストとの距離が近くなります。
家族のみ、親族のみの少人数結婚式の席次でよくある悩みの解決策
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家族のみ、親族のみの少人数結婚式の席次でよくある悩みと、その対応についてまとめました。席次を考える際に、必ずゲストの顔ぶれと併せて確認しましょう。
両家のゲスト数に差があっても大丈夫?
新郎側、新婦側のゲスト数に差があっても、問題はありません。ゲスト数の差でテーブルレイアウトに差がでないよう、人数多めの側のゲストを少ないほうに混ぜたり、新郎側・新婦側ゲスト混合のテーブルを作る、テーブルの大きさを変えて目立たなくするなど、さまざまな方法があります。
ウェディングプランナーに相談して、より良い席次のアイデアを提案してもらうことも可能です。
夫婦や家族で出席するゲストの席次は?
夫婦で出席するゲストは、隣同士に配席するのがマナー。二人の席は夫が上座、妻を下座にするのが一般的です。
子供がいる場合は、面倒が見やすいよう夫婦の間に席を用意します。中学生や高校生くらいの子供なら、夫婦の隣席にしても楽しく過ごしてくれるでしょう。
子供連れや車椅子のゲストの席次の配慮は?
子供連れや車椅子のゲストは、出入りしやすいドア近くに配席するのがベターです。
車椅子ゲストがいる場合は、通路幅にも注意が必要。ウェディングプランナーに事情を話して、移動に支障がないテーブルレイアウトにしましょう。
席次表は必要?
少人数の結婚式なら、席次表を作らないケースも多いでしょう。しかし何も用意しないと、ゲストはどこに座ればいいか分からず困惑してしまうため、席札は必ず用意します。
海外ウェディングで人気のゲストの名前とテーブルナンバーが書かれた「エスコートカード」、ウェルカムボード兼席次表の「シーティングチャート」なを用意して、ゲストが自分の席を楽しんで確認できるようにするアイデアもおすすめです。
親族のみの結婚式の席次は両家親に確認を
家族のみでなく、親族を多く招待する場合の結婚式の席次は、必ず両家の親に席次表の相談、確認をおこないましょう。
親戚同士の人間関係については、両親の方が詳しいことがほとんどであり、新郎新婦が知らない情報を持っている場合も多いからです。
まとめ
家族のみ、親族のみの少人数結婚式だらこそ席次は臨機応変に決めよう
少人数の結婚式といっても、家族のみなのか、親族のみなのか、親しい友人や職場の人も交えた親族中心の結婚式か、ゲストの顔ぶれや、家族親族間の考え方によって、守ったほうがよい席次のマナーも変わってくるでしょう。
ただ、少人数ならではの自由度や、ふたりが大切にしたいおもてなしに合わせた席次にするといった臨機応変な対応も可能です。
ゲスト全員が楽しい時間を共有できるよう、一人ひとりに合わせたおもてなしと席次を楽しんで考えてくださいね。