結納には『正式』と『略式』のふたつにわけられる
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正式結納と略式結納の違い
正式結納
正式結納は、仲人が両家を仲立ちする形式です。男性側の家から結納品や受書などを預かり、女性側の家に届けるというやり取りを仲人が行います。このとき両家は一切顔を合わせません。
仲人への負担などもあり近年は正式結納を選択するカップルが減りましたが、格式の高い結納形式です。
略式結納
略式結納は、料亭やホテルに両家が顔を合わせる形式です。結納品などの受け渡し手順は正式結納と変わりがありません。略式結納にも仲人のあり・なしと、ふたつパターンがあります。仲人を立てない場合、男性側の父親が進行役になるケースが多いです。
関東や関西など地域によっても異なる
結納形式は関東や関西など地域によっても異なります。関東は男女を同格と見なし、結納品をそれぞれ取り交すスタイルが取られることもあります。一方、関西では結納品を男性側から女性側に送り、女性側は結納品を用意しません。
また、結納品の品目なども違いが出るので、住んでいる地域で確認しましょう。
正式結納で必要なもの
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結納品
結納品は一般的に男性側(嫁をもらう側)が用意するものです。9品や7品など奇数で揃えるのが一般的です。関東式と関西式で品目が少し異なります。
関東式
1. 目録
結納品の一覧を書いたもの。
2. 熨斗(のし)
アワビを叩いて伸ばしたもの。貴重な海産物を贈ることで、よいおもてなしをしたいという意味。
3. 帯料(結納金)
結納金のことで現金を包む。女性側には帯料、男性側(花婿)には袴料として贈る。
4. 勝男節(かつおぶし)
鰹節のこと。古来より武士の家の保存食であり、出陣のときに携帯して武運長久を祈ったことがはじまり。
5. 寿留女(するめ)
するめのこと。長期保存でき永久不変の意味から、結婚生活が永遠に幸福であるように願って贈る。
6. 子生婦(こんぶ)
昆布の意味。繁殖力の強い植物なので、子孫繁栄を願って贈る。
7. 友白髪(ともしらが)
さらして白くした麻糸を束ねたもの。麻糸のように強い絆で結ばれ、白髪が生えるまで仲良く生きることを願って贈る。
8. 末広(すえひろ)
扇子のことで、末広がりを表しおめでたい席に相応しいもの。心をお互いが開き、家を繁栄させるようにという気持ちを込める。
9. 家内喜多留(やなぎだる)
柳樽の意味で酒肴料のこと。しなやかな柳の葉のように、家内円満を願って贈る。
関西式
松・竹・梅
松竹梅を模した飾り。松の緑のように末永く栄えるように長寿祈願。竹は節度や潔白、真っ直ぐに発展するよう祈願。梅は春に先駆けて一番早く花を咲かせ実を結ぶことを祈願。
ほかの結納品は、松竹梅それぞれのグループにわけて並べます。
松の並び
1. 結納金
2. 亀
亀のように、ともに急がす休まず一歩ずつ幸せを築くという意味。
3. 寿留女(するめ)
竹の並び
4. 酒料
お酒代として。家内喜多留料、松魚料などとも呼ばれる。
5. 御高砂人形(たかさご)
尉(じょう)と姥(うば)という白髪の老夫婦人形のこと。ともに白髪が生えるまで仲良く生きることを願って贈る。
6. 優美和(ゆびわ)
婚約指輪のこと。水引飾りで飾り、ケースを開いた状態で見せる。
梅の並び
7. 肴料
食事代として用意する。
8. 鶴
鶴のようにたとえ一羽が亡くなっても、ほかの鳥と一緒にならないことから、お互い節操を保つ夫婦を願う。
9. 子生婦(こんぶ)
※関西式では目録を結納品として数えません。
手土産・引き出物
女性側の家で正式結納を行う場合、お伺いする礼儀として男性側は手土産を用意したほうがよいです。清酒や菓子折りなどが該当しますが、羊羹など切って食べるものは避けてください。
引き出物は季節の果物(ぶどうやメロンなど)や地域のお菓子などを女性側が用意し、男性側や仲人に渡します。
掛け軸
女性側の家で、床の間に飾ります。高砂、鶴亀、赤富士など縁起がよい図柄を用意します。
祝膳
女性側が用意します。正式結納が終わったあとに食べるお祝いの食事です。
桜茶・梅昆布茶・茶菓子
正式結納が一通り終わったあと、女性側がもてなす意味を込めて用意するものです。
婚約記念品
一般的に高価な宝飾品を用意します。女性側には指輪、男性側には腕時計などです。結納品に入っていたり、すでに婚約指輪を送っていたりする場合は、目録に書くだけでも問題ありません。
受書(うけしょ)
結納品を受け取ったことを証明するものです。結納品の内容がわからないと用意できないため、一般的に結納品を贈る側が用意するケースが多いです。
家族書・親族書
家族書は同居する家族の氏名を住所、続柄とともに書いたものです。年齢が高い順で並べます。親族書は家族書に記載しない三親等までの親族の氏名を住所、続柄とともに書きます。
家族書・親族書は両家がそれぞれ用意するものです。
結納金
結納品に含まれているもので、男性側(嫁をもらう側)が用意します。50万円や100万円などキリがよい金額を包むことが多いです。結婚式費用の負担を多くする代わりに結納金を減らすなど、両家の事情や地域によって結納金の金額は異なります。
結納返し
いただいた結納品などに対するお礼で、一般的に女性側が用意します。「こちらこそ、どうぞよろしくお願い致します。」という意味を込めて、現金や記念品を贈ります。地域によって『返しのし』『土産のし』と呼ばれています。
現金の場合、関東では結納金の半額、関西では1割または1/3、結納返し自体がないという地域もあります。
仲人への謝礼
両家を取り持つ役目の仲人に対するお礼です。
- ご祝儀
両家を往復した場合は、結納金の1~2割。両家一同揃った場合は結納金の1割が目安。両家それぞれが結びきりののし袋に入れて用意する。結納終了後の一両日中に、両家揃って仲人宅に出向いて渡す。 - お車代
仲人の自宅から女性側の家または会場までのタクシー往復料金。(キリがよい数字を用意する)両家が片道ずつ負担し、結びきりののし袋に入れ、手土産とともに渡す。 - 酒肴料(しゅこうりょう)
仲人夫妻ふたり分の食事代相当額。昼食時間が近い場合は折詰を用意しても問題ない。女性側が結びきりののし袋に入れて用意し、手土産とともに渡す。 - 手土産
女性側が用意。男性側にも渡す引き出物と同じでよい。季節の果物や地域のお菓子など。
略式結納で必要なもの
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結納品
男性側(嫁をもらう側)が用意するものです。正式結納と同じく9品を用意したり、7品や5品、3品など品目を減らしたりしても問題ありません。最近は、結納品を用意しない略式結納を選択する人も多いですが、次の3品を用意すると略式結納でも華やかになります。
- 熨斗(のし)
- 帯料または結納金
- 末広(すえひろ)
品目がわかるように目録を用意するケースもあります。また、関西式の略式結納では、松竹梅を1つにした『1本松竹梅』の水引がよく使われます。
婚約記念品
女性側への婚約指輪や男性側への腕時計など高価な宝飾品です。腕時計以外にもスーツやスーツ小物などが該当し、婚約指輪と腕時計などを飾る台も結納品として合わせて用意しておきましょう。
結納品に入っている場合は、目録も用意して記載しておきます。
受書(うけしょ)
何を受け取ったかわかるように品目が書かれた受取証明書です。目録とともに結納品を贈る側が用意しておきましょう。
家族書・親族書
家族書や親族書は略式結納では省かれることも多いですが、両家それぞれが用意するものです。贈る場合は両家で家族書だけにするのか、親族書もつけるのかなど打ち合わせしておきましょう。
結納金
男性側(嫁をもらう側)が用意する、嫁ぐための準備金です。正式結納と変わらず50万円や100万円などキリがよい金額を包むことが多いです。
結納返し
女性側が結納に対するお礼として贈る、現金や記念品のことです。関東では結納金の半額、関西では1割または1/3、結納返し自体がないという地域もあります。
最近は結納を執り行う日に、結納品と同時交換で済ませるケースが多いです。
仲人への謝礼
略式結納でも仲人を用意する場合、正式結納で紹介した内容を参考にして、お礼を用意しましょう。
まとめ
正式と略式に合わせて必要なものを用意する
結納は正式結納と略式結納のふたつのパターンがあり、それぞれ用意するアイテムが異なります。また、仲人をあり・なしや地域によっても用意するものが違います。まずは、正式・略式どちらで行うかを両家で話し合い、結納に必要なアイテムや内容を一つずつ確認しましょう。