【結婚と新居1】憧れの家を買うために『押さえるべきテッパンの基礎知識』
家を買うならいつ?『オリンピック後か今か』住宅ローン開始のタイミング
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── よく、ニュースや話題で『住宅ローンは超低金利』という言葉を耳にします。「家を買うなら今!」とせかされているようにも感じて、焦っている方も多いのではないでしょうか。
丸尾さん:住宅を購入する人のほとんどは住宅ローンを利用するだけに、住宅ローン金利の動向は住宅取得に大きく影響してきます。現在、住宅ローンはかつてないほどの超低金利で下げ止まりしていますが、この金利がいつまでも続くとは言えません。住宅取得のチャンスのときであるのは間違いないでしょう。
── 超低金利であることによって、丸尾さんには住居に関するどのような相談内容が多いのでしょうか?
丸尾さん:個人の相談内容として多いのは、やはり住宅購入相談とローン借換えです。既に家を購入してローンを支払っているのであれば、低金利を活かしたローンの見直しをしたほうが良いでしょう。ご相談された場合には、月に1万円ほど支払額が下がる方が多くいます。
── 家の購入のタイミングとしてはどうなのでしょうか?「オリンピック後の様子を見てから家の購入を検討したい」「待ったほうがいい」という意見も耳にします。
丸尾さん:オリンピック後は不動産価格の変動は二極化するのでは?と見ている方が多いのではないでしょうか。都心の一等地や、郊外でも主要駅に近い不動産は下がることはなく、むしろ上昇するのではと見ている方も多くいます。しかし地方では空き家が増えており、利便性の悪いエリアや郊外エリアは下がる可能性があるでしょう。
株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング代表 丸尾 健さん
── みんなが住みたいと考える人気エリアや便利な都市部のエリアでは、現状維持かまたはさらに上がるといった見通しが大きいんですね。
丸尾さん:そうですね。また今の低金利が継続するかは、誰にもわかりません。オリンピック後に上がる可能性も十分考えられます。だから「家を買いたい」と考えた段階から、すぐにでも真剣に考え、準備と情報収集だけでも始めたほうがいいでしょう。
もちろん『家が欲しい』と思っている人の中には、今すぐではなく、頭金を貯めていつか買いたいと思っている人もいるでしょう。ずっと賃貸でもいいと考えている人もいます。
ただ、さまざまな方のご相談を伺っていると、賃貸のままでいいという人があるきっかけを境に、急に気持ちや考えが変わってくることも、大いにあり得るんです。
ローンは審査によって、75歳から80歳が完済時期の上限、支払い期間は最長35年という制限があります。気持ちが変わって購入に本気になったとき、無理をしない返済計画でローンを組むには時すでに遅し、という場合もあるのです。
まずは、家を買うためにほとんどの人が利用する住宅ローンについての知識を、事前にしっかり深めておきましょう。
家を買うなら年齢と返済期間に注意! ローン返済の目安は『65歳』
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── まずはローンを組む際に年齢で注意したいことを詳しくお聞きしたいです。晩婚化が進み、40代で初婚、そこから家を購入したいという方も増えていると思います。
丸尾さん:住宅ローンは一般的に、最長35年のローンが組めます。
- 25歳でローンを組めば60歳で終了
- 30歳でローンを組めば65歳で終了
- 40歳でローンを組めば75歳で終了
丸尾さん:再雇用制度もあるため、働く年齢は一昔前より長くなりつつあります。しかし現実的に見たら、75歳までローン返済に追われるのは苦しいでしょう。再雇用が終了し年金支給が開始する65歳の時点で、実質無借金の状態が理想です。
40歳以上でローンを組むならどんな準備が必要か?
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丸尾さん:例えば45歳で開始した場合、65歳までに返済するとすれば20年間しかありません。実際にローンを返すのは80歳までかかっても良いとおもうのですが、65歳までに実質的な返済が完了する(ローン残高と同じ貯蓄がある状態)、それが無理のない金額であるかどうかを確認したほうがよいでしょう。
── どの年齢からローンを開始したとしても、65歳で返済することがひとつの大きな目安なんですね。
丸尾さん:ローン開始が遅ければ遅いほど、65歳までに返すことを念頭にローンを組むことが絶対条件です。この20年間で『ローン残高が1000万円なら、貯蓄も1000万円』という状態になる返済計画をたて、住宅購入金額とローンの借入金額を設定すれば、老後に向け安心感あるプランになるでしょう。
またプランを立てる際には、自分たちの世帯年収だけでなく、退職金や年金、親からの相続の想定なども含めた「未来に使える資産」も視野に入れ、より自分たちが使えるお金を正確に把握することが必要です。親からの相続の想定は必ずあるわけではないので、過信は禁物ですが…。
長期間、低金利ゆえのローン破綻に注意せよ
丸尾さん:私は以前ハウスメーカーで営業職をしており、その当時(2005年頃)のローンを組む目安金額は、年収の5倍と言われていました。ところが金利が下がった今では、年収の7~9倍の金額が組むことも可能なんです。しかし計算上可能だからと言って平然と組んでしまうと、年収やライフステージに見合わない場合は、大変重たいローンになるでしょう。
金利が高い時代は、なるべく少ない金額を借りて、短期間で返そうと、平均18年ぐらいで返済していました。繰り上げ返済で金利が圧縮される率も大きかったのです。しかし、現在はもともと金利が低いので、繰り上げ返済をしても金利が圧縮される効果が低いんです。しかしボリュームの大きいローン元本は変わりません。
また変動金利型でローンを組んでいる場合には、長い返済期間金融情勢の変化に伴い金利が逆転する可能性も考えられ、ローン破綻の危険性を孕(はら)んでいるのです。
住宅ローンはいくら借りられる?家を買う夢を無理なくかなえるために
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丸尾さん:住宅ローンを組む際の金額目安として押さえておきたいのは『1年間の支払い金額が世帯年収の20~25%におさまるように組む』ことです。「借りれる金額」と「返せる金額」はまったく異なる話しです。
まず、借りれる金額を把握して、その後にきちんと返せる金額はどの位か?という2段構えで考えてみることをおすすめします。また、どのくらい借りれるか?というのも金融機関により、基準がことなります。住宅購入の相談に精通しているFPに相談すれば、アドバイスがもらえると思います。住宅ローンがいくら借りられるのか不安のある方は、早めに相談されたほうが良いと思います。
── 会社員の場合、住宅ローンを利用する際に注意すべきことはあるでしょうか?
丸尾さん:会社員の方は所得が明確なため、事前にどのくらい借入できるかが分かりやすいでしょう。また、フリーランスの方に比べれば住宅ローン審査は比較的通りやすいと言えます。
注意点としては、例えば転勤の多い会社にお勤めの方の場合、会社での住居費の補助が手厚いため、比較的住宅購入が遅くなるケースが多いと感じています。また当面の住居費が安いので生活費も高くなりがちなんです。
将来的に住居の購入を検討されているなら、生活費の一部は住宅頭金のために貯めておくことも必要だと思います。年齢がある程度上がってからの住居購入は返済期間も短くなるので住宅ローン負担はなるべく少なくなるほうが理想的です。
フリーランスや非正規雇用はローンが組めない?家を買うための審査対策
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── フリーランスや非正規雇用では、安定収入の保障を証明するのが難しく、新規のクレジットカード申請と同様、ローン契約を組みにくい傾向にあると聞きます。フリーランスや自営業、非正規雇用の方で家が買えるのか心配している方も多いでしょう。どのような点で配慮すべきでしょうか?
丸尾さん:フリーランスの方でも、ローンを組むことは可能なんです。
ただフリーランスの方の場合、ある程度の経費のコントロールができるため、税金対策で所得を過少に申告している方が多々いらっしゃいます。もちろん適正な範囲内でしたら法的には問題ないかと思いますが、住宅ローンを組む際に深刻な問題となることが多いんです。借りたいと想定していた金額が借りられないこともあります。特に民間銀行の審査では、非常に厳しい判断になることも多いです。。
そこで、フラット35(※)という、住宅金融支援機構より提供されているローンがあります。雇用形態に広く対応しており、職業により審査の部分の間口が広いために借入が行いやすいので、こちらの利用をおすすめします。フラット35の審査は所得などの数値によって、基準が定められており、審査や借入金額の可否の判断が明確なので、事前に予定した金額の見通しが立てやすいです。
民間銀行では、お勤め先・勤続年数・転職履歴などがお客様のご状況により個別に審査されます。
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丸尾さん:フリーランスの方は住宅ローンお申込み前には、希望のローン金額の借入のためにどのぐらいの所得が必要なのかを確認しておくことをおすすめします。
フリーランス(個人事業主)の方は、銀行の審査のうち、収入面の審査は確定申告の所得額で審査されます。住宅購入する年の前年、前々年より申告所得の額が影響する可能性があるからです。経費のコントロールをされている方は、ご希望のローン金額を借入するならどの位の所得申告が必要なのかを抑えておくことも検討してください。
事前に対策すれば、フリーランスや非正規雇用の方でも、ご希望の借入が可能な状態になります。
(※)フラット35とは
フラット35とは、民間金融機関の融資した住宅ローンを住宅金融支援機構が譲り受け、そのローンを裏付けとして資金調達を行うという手法を用いた住宅ローン商品のこと。最長35年の全期間固定金利住宅ローンで、返済する全期間が固定金利となっており、毎月の返済額が確定していて、返済中に金利が上昇したとしても返済額は増加しない。
中古物件をリノベーションして購入。ローンを組む前に注意することは?
── 現在では高騰する不動産価格により、新築ではなく中古物件をリノベーションして購入することを検討している人も多いと思うのですが、ローンの組み方で費用が変わってくると聞きます。どのような注意点があるでしょうか?
丸尾さん:中古物件をリノベーションして購入する場合に注意したいことは、物件を購入するローンとリノベーションするための費用のローンが、違うローンになってしまうことです。
住宅ローンは金利が低いのですが、リフォームのローンは金利が高くなります。本当は両方一緒に一本で組めれば良いのですが、できるケースとできないケースがあります。これは金融機関や銀行によって違います。
── 住宅ローンとリフォームローンを一本化することは、どのようなメリットがあるのでしょうか?
丸尾さん:一本化できる銀行ではリフォームローンという形ではなく、住宅ローンの中にリフォーム費用を含めることができます。通常のリフォームローンですと、返済の期間が15年など短いケースがありますが、住宅ローンは最長35年になりますので、毎月の支払金額を低く抑えることが可能になります。一般的にリフォームローンより住宅ローンのほうが金利も低いので、メリットがあります。
しかしこのような情報は、最初から知っていないとできないケースが多いんです。引き渡しまで時間がないと事前にお得なローン情報を収集することが出来ず、将来にわたって影響があります。購入はまだ先と思っていても、事前準備をしておくことにより、最適な選択肢を選ぶことができるのではないでしょうか
家を買うときが保険の見直しどき!住宅ローンと保険の密接な関係性
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丸尾さん:実は住宅ローンを組む前にぜひ行ってほしいのが、ご自身が加入されている保険の見直しです。家と保険はものすごく密接に関係しているんです。
── ええっ。住宅ローンと生命保険や医療保険が、どのように関係してくるのでしょうか?
丸尾さん:住宅ローンを組む際には、ある一部のローンを除いて団体信用生命保険という保険に加入必須であることがほとんどです。この団体信用生命保険(以下、団信)とは、ローンを借りているかたが万が一お亡くなりになってしまった場合、ローンの残額分の保険がおりてきて、残されたご家族は保険金でローンをすべて返すことができるという仕組みになっています。
その団信の特約がこの数年ですごく進化しています。自分が働けなくなると世帯収入が大幅に落ち、ローンが返せなくなったり貯蓄を取り崩すことになる可能性があります。団信の特約でどのようなタイプが自分にあっているのか、検討したほうがいいでしょう
まず、団信の特約で主に保障される種類を挙げてみましょう。
- 通常はローン契約者が「死亡・高度障害状態」になったときローン完済となる
- 病気、けがで就労不能になった場合には働けない期間の月々の返済が免除される
- 三大疾病(がん、急性心筋梗塞など心疾患、脳卒中)で一定の状態になると働けない期間の月々の返済が免除される
- 八大疾病で一定の状態になると働けない期間の月々の返済が免除される
── 団信の特約の種類によっては、かなり広範囲のリスクまで保障されるんですね。驚きました。
丸尾さん:進化した団信の特約は、現在ご自身が加入している生命保険・医療保険の保障と重複している場合もあるため、見直しや削減が可能になります。
金融会社によって特約が違うため、何が合っているのか情報収集してご自身の気にされる保障、現在ご加入の保険を点検したほうが合理的になります。
私のお客様でも、相談の中で保険を見直す方はたくさんいらっしゃいます。見直すと月々3000円ほど下がる方が多く、知らず無駄遣いになっていることもあるのです。月々3000円と言っても、35年で考えれば126万円ですから。
保険は手元に持っている金融資産(貯蓄や投資しているもの)とも密接に関係しているので、トータル的にも見直してみることが重要ですね。
家を買う際に頭金は必要?ローンを組む前に家計で見直しておきたいこと
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── 今までのお話から、家を買いたいと考えたらできるだけ早い段階で家を買うために真剣に検討すべきだということはよく分かりました。ただ、頭金をためてマンション買うか、頭金なしでもすぐ買うべきかというのも、悩ましい問題です。
丸尾さん:家を買うとき、手元のお金を切り崩すのはある程度仕方がないことです。
しかし、家を購入するための頭金を支払うとき、手元のお金をすべて支払ってしまうことは不安も大きいし、何かあった場合には厳しい状態になることが想像できます。そのため、手元には万が一のアクシデントがあったとしても何とか乗り越えられる、必要最低限のお金を残しておく必要はあるでしょう。
頭金を支払った後に自己資金が回復するまでの保障は万全か
── 貯金があまりないために思い切って頭金なしの選択をするのも『アリ』なのでしょうか?
丸尾さん:家計がカツカツなのに、大きなローンを組むことは、将来的な危険がたくさんあります。
頭金なしでローンを組めば当然月々の返済負担も大きくなるし、頭金を支払いすぎると手元の現金がカツカツになってしまいます。自己資金(貯金)が長期間回復せず、ピンチがずっと続く状況になってしまったら、心も身体もまいってしまうでしょう。
そのため、ローンを支払いながら、不測の事態に対応できるような貯蓄額に回復できるまで、どの程度かかるのかの見通しが大切なんです。
また、自己資金が回復するまでの期間はリスクがあるので、何かしらの保障を持つ必要があります。その保障は保険や融資だけでなく親や親類からの援助など、まずはあらゆる可能性を全部含めて検討したほうが良いでしょう。
頭金なしで家を買ったほうが得って本当?『住宅ローン減税』とは
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── 頭金がなくても買った方が得、という考え方を最近はよく耳にします。これはいったい、どういう考え方なのでしょうか?
丸尾さん:『頭金ゼロで大きなローンを借りて購入したほうが得になる』という話は、住宅ローン減税(※)という制度に基づいています。これは簡単に説明すると、住宅ローンを借りるとローンの年末残高に対して1%が支払った所得税(住民税)から控除されるという減税制度です。
新築で3000万円の住宅ローンを借りた場合は30万円が所得税の額から控除され帰ってくるという制度です。(払っている所得税以上は戻りません)
住宅ローンには固定金利と変動金利がありますが、現在の変動金利では1%以下という超低金利が当たり前にあるんです。
つまり、1%以下の安いローンを借りた場合、税金のほうが多く戻ってきます。もし手元に一括購入できる3000万持っていたとしても、頭金を払わずに3000万ローンを組んだほうがお得なんていうことも起こります。
不動産や住宅販売の営業マンのセールストークでは多く使われるため、聞いている方も多いでしょう。
── 確かに、この税制を上手に利用すれば頭金なしで家もーを買うことができ、将来的にもとてもお得に思えてきますが。
丸尾さん:しかし、まったく貯金がないカツカツな状態で、変動金利を利用して頭金なしでローンを組んだ場合、将来的には大きなリスクを背負うことになることもあるんです。変動金利がこの先、上昇して、固定金利以上に金利が上がってしまう可能性もあります。
また、頭金なしでローンを組めば当然月々の返済負担も大きくなる。負担の大きいローンを支払いながら貯蓄することがが難しくなるリスクも高まります。
『大きくローンを借りたほうが有利』という話に該当する方は、次のような方です。
・自己資金はもっと多く出してもいいと思っているが、それは出さずに手元に置いておける。
・金利上昇したらそのお金はいつでも繰上返済に回せる。
・収入が高く、所得税が高い。
実際に自身に当てはまるかどうかは、住宅相談に精通してるFPにご相談してみることをお勧めいたします。
(※)住宅ローン減税とは
住宅ローン減税制度は、住宅ローンを借入れて住宅を取得する場合に、取得者の金利負担の軽減を図るための制度。毎年末の住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%が10年間に渡り所得税の額から控除される(住宅の取得対価の計算においてはすまい給付金の額は控除される)。また、所得税からは控除しきれない場合には、住民税からも一部控除される。加えて、消費税率10%が適用される住宅の取得をして、令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に入居した場合には、控除期間が3年間延長されることになった。
参考出展:住宅ローン減税制度の概要/国土交通省
『お金の健康診断』で健全さを保つ!ファイナンシャルプランナーに相談するには
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── 今まで家を買うために、必要な知識についておうかがいしてきました。お金の知識が豊富にないと、これだけの情報を自分たちだけで情報収集して何か適正か判断するには、とても時間がかかりそうです。
丸尾さん:FPの資格自体は、金融や不動産関連の仕事をしている方で取得されている方は多いでしょう。弊社にご相談にくるお客様の中にも、ご自身がFP資格を持っているという方もいらっしゃるんです。
ただ、お金の知識や資格があったとしても、実際のご相談ではお金に関するかなり広い分野を俯瞰(ふかん)的にみることが重要なケースが多々あります。
── 確かに、今回の取材は家を買うためのお金や住宅ローンについて聞いていたはずなのですが、ほぼ人生すべてのお金の使い道について棚卸をしているように感じました。
丸尾さん:いわば、『お金の健康診断』ですね。
たとえば弊社では、個人のお客様の大半は住宅購入を検討されるタイミング、もしくは住宅ローンの借換や今後の資産形成についてのご相談で初めてお会いする機会が多いです。そして、かなりの方がその後2〜3年に1回繰り返し、ご相談に来られます。人生の進路は変わってくるので、健康同様に岐路に合わせて定期的なメンテナンスや進路変更が必要になってくるからです。
信頼できるファイナンシャルプランナーにめぐりあうために
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── お金の知識が豊富で信頼のおけるFP(ファイナンシャルプランナー)の方を探すには、コツなどあるでしょうか。
丸尾さん:日本FP協会のHPや、最近ではFPを紹介するサイトなどもあるので、インターネットで検索することが可能です。
FPに有料で相談する場合の料金体系は、FPがそれぞれ独自に設定していますので、どの相談までいくらで請け負ってくれるのかの料金体系は必ず確認しましょう。初回面談は無料で設定しているFPも多いと思いますので、まずは会って話してみて、信頼をおける方なのか確認することが重要だと思います。お客様とFPの相性はとても大事なポイントですから。
また、見極めるポイントとして、FPとしての得意分野や実務経験を確認しましょう。お客様への提案内容を大きく左右する可能性があります。
── まずは相談内容を明確にして、その得意分野で実績がある人を探すことが大切なんですね。
丸尾さん:現状の分析・不動産(住宅)・資産形成、資産運用・保障や保険・リタイアメントプラン・税金関連・相続など、幅広い分野を包括的に捉えて、お客様の置かれた状況によって適切にアドバイスできるFP(ファイナンシャルプランナー)であることが理想的です。
しかし万能選手は少ないように、特殊な相談内容の場合にはFP1人では解決できない場合も考えられます。そういった場合に同業のFPや税理士・司法書士・弁護士など士業の方とも連携して解決できるネットワークを持っているか、なども、できれば事前に確認できるといいですね。
一人から二人になったから『幸せになるお金の使い道』を見直すチャンス
── すばり、丸尾さんが考える『お金の健康診断』のベストタイミングとは?
丸尾さん:健康診断は早いほうが良いので、結婚をするタイミングでFPに相談するのは、本当は一番よいタイミングではないかと思っています。
というのも、独身時代は自由にお金を使っていた方が多く、結婚後もお子さまが生まれる前までお互い家計は自由にされている方も多い。だからFPに相談することで『そのお金のつかい方は、本当に自分にとって幸せなつかい方をしているか?』ということを、お二人で考えみる機会を持って頂ければと思うんです。実際、弊社に来て初めて「そんなこと考えていたんだ!」とお互いの意見にびっくりするご夫婦がいらっしゃる。
人生は一度きり。お金はその人生を潤すものです。
自分たちの幸せのために無駄なもの、お金をかけるべきところにメリハリをつけ、明確に区別するための手段として、FPをもっと気軽に積極的に利用していただければと思います。
お話をしてくれたひと
株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング代表 丸尾 健さん
丸尾 健(まるお けん)さん(AFP)
株式会社N&Bファイナンシャル・コンサルティング代表
https://www.fp-soudan.com/
ファイナンシャルプランナー経験は13年目。主に住宅購入希望者や住宅ローン借換え希望者のライフプランニング相談を中心に実務家FPとして活動。年間新規面談件数は120~150組、相談累計件数1300組の経験を持つ。
大学卒業後、建築関連の仕事を経て株式会社エヴァ―ソンマッコイホームズに入社。在籍期間中に世田谷区を中心とする営業として、平均4500万円の注文住宅の引き渡し80棟、MVP賞3回。お客様と接するうちに住宅購入時の資金計画とその後のリタイアメントまで見据えたライフプランニングの重要性を認識し、在籍中にAFP資格を取得した。
2010年より独立し、大手住宅購入窓口サービスのFP相談員として参加。
また住宅ローン比較サイトの立ち上げサポート、FP相談サービスの責任者として相談員のトレーニングなども担当する。
主に依頼されてのセミナー講師の実績も豊富に経験。講座ジャンルは住宅購入者やローン借り換えなど顧客に向けたセミナーから、新入社員や営業マン向けの育成セミナー、建築家とコラボした注文住宅建築セミナーやママ友向けのアットホームなセミナーなど幅広い。ありきたりの情報提供ではなく、実際に起こる事例を交えながらのバラエティに飛んだ内容と営業マン仕込みの明朗快活な語り口調で、受講者から好評を博している。