結納用のご祝儀袋はどのように用意する?
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結納では結納金という大きな金額のお金を準備します。結納金とは迎え入れる側から嫁ぐ側へ贈る結婚準備金のこと。この結納金を贈る際、お金を包むのが結納用のご祝儀袋です。豪華絢爛な印象の結納用のご祝儀袋はどこでどのように用意することができるでしょうか。
百貨店や結納用品専門店で購入する
結納金を包むご祝儀袋は、百貨店や結納用品専門店、インターネット通販でも購入することができます。ご祝儀袋単品で購入することも可能ですが、結納品がすべて揃っている結納品セットやパックなら自分たちでひとつづつ揃える必要がなく、とても便利。表書きと中袋への記入を代筆してくれる筆耕サービスを併せて依頼できる場合も多く、筆文字に自信のない方は要チェックです。
結婚式場やホテルの結納プランを利用する
結婚式場やホテル、料亭などで結納を行う場合に利用したいのが、会場が用意している結納プラン。近年では略式結納が一般的で、両家が遠い場合などは特に会場を予約して結納を行うスタイルが多くみられます。
結納プランに含まれる内容は会場によってさまざまですが、希望すればご祝儀袋を含めた結納品や受書、風呂敷など結納に必要なアイテムを手配してくれる会場も多くあります。その際、書き入れるもの以外がレンタルなのか購入なのかは会場によって異なるため、確認しておくと安心です。
結納プランには、結納後に食事会を行うケースが多いことから料理や飲み物、席料、装花、写真撮影などのほか、新郎新婦の衣裳や着付け代、ヘアメイク料まで含まれていることも。結納の進行をサポートしてくれる介添え人が付いてくれる場合もあり、至れり尽くせりなのが嬉しいですね。
自分たちで行うより費用はかかりますが、準備などに時間をとられないため忙しいカップルには特におススメです。
結納金に適したご祝儀袋の選び方
自分たちで結納金を包むご祝儀袋を準備する場合、どのようなものを選べばよいのでしょうか。婿養子の場合や結納金が100万円を超えるとき、手渡しする場合についても併せて解説します。
淡路結びの水引のかかった2枚重ねの結納金封
結納金を包むご祝儀袋には、通常のご祝儀袋よりも豪華で華やかな水引が目を引く「結納金封」を選びましょう。
結納金封には「結び切り」を変形させた「淡路結び」の水引がかけられており、「淡路結び」は一度結ぶと解くのが難しく両端を引っ張るとさらに強く結ばれることから「末永いお付き合いを」「一生に一度」という意味を含んでおり、結納や結婚など一度きりのお祝いに適しているとされています。
水引のデザインは松竹梅や鶴亀が定番ですが、最近では桜や紫陽花など季節の花をモチーフとした華やかなものからハートや和装のふたりを模った可愛らしい水引まで、さまざまなタイプのものがあります。結納の時期やふたりの雰囲気に合わせて選ぶのも楽しそうですね。
なお、ご祝儀袋は「重なると良い」という意味を込めて、必ず2枚以上の紙を重ねて作られているものを選びましょう。
嫁入りの場合は「赤」、婿養子の場合は「青や緑」
結納用のアイテムは基本、赤と白の「紅白」を基調に作られていますが、これは女性が男性側へ嫁ぐ際に男性側より贈られる場合に限ります。男性が女性側へ婿養子として嫁ぐ場合、青や緑と白を基調とした結納飾りが一般的なため、結納用のご祝儀袋も「青白」「緑白」を基調としたものを選びます。
ただし、関東地域は婿養子の場合でもすべて「紅白」で揃えるケースもあり、地域の風習や家族のしきたりによってさまざま。自分たちはどのパターンに当てはまるのか、両家の親の意向なども確認しながら決めましょう。
桐箱や切手盆を使用してお渡しする場合も
結納用のご祝儀袋は、包む金額によって形態が変わります。結納金が100万円以内の場合は袋を、100万円以上の場合は袋の形が膨れ上がり不格好となるため桐箱を使用するのが一般的です。
略式結納などで結納飾りを省略し、結納金のみを贈る場合もあります。このとき、結納金はご祝儀袋に入れ風呂敷やふくさに入れて持参し、相手方に渡す際にはへぎ台や切手盆にのせてお渡しましょう。
結納金を包むご祝儀袋の書き方
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結納金封など結納金を包むご祝儀袋の表書きは、濃い墨を使用した毛筆で書くのが正式な書き方。袋に直に書いても、ご祝儀袋にセットされている札紙に書いてもOKです。筆書きが苦手な場合は代筆してくれる筆耕サービスを利用してもよいでしょう。
表書きの書き方
上段
結納袋の表書きは、昔は花嫁衣裳を贈っていた由来から男性側から女性側へ贈る場合は、関東では「御帯料
」、関西では「小袖料」、京都では「帯地料」、九州や四国では「結納料」と書くのが一般的です。
婿養子で女性側から男性側へ贈るときは「御袴料」「御袴地料」と書きます。
読み方
御帯料(おんおびりょう)
小袖料(こそでりょう)
帯地料(おびぢりょう)
結納料(ゆいのうりょう)
御袴料(おんはかまりょう)
御袴地料(おんはかまじりょう)
なお、略式結納で目録がない場合などは表書きを「寿」とする場合もあります。最近では結納を行わず両家の顔合わせは食事会のみというスタイルも増えており、食事会で結納金の代わりに「支度金」を贈るカップルもいます。この場合も結納の時と同じく結納金封を用意し、表書きは「寿」「支度金」「御支度金」と書きましょう。
下段
結納品を示した目録がある場合は「いつ、誰から誰に贈られたものか」が目録にすべて書かれているため、表書きの下段に苗字など名前を書く必要はないとされています。ただ、名前を書いたからといって失礼にあたることはなく、地域によっても考え方は異なるため迷ったときは両親に相談し決めると良いでしょう。
なお、目録がない場合や結納金のみ贈る場合は、贈る側の苗字のみを書くのがスマートです。
中包みの書き方
1. 中包みには右肩に表書きに書き入れた名称と同じ名称を書き入れます。
2. 結納金の金額のはじめは箇条書きのように「一(いち)」とします。(省いてもOK!)
3. 結納金の金額を書き入れます。金額は旧字体の漢数字で書くのが正式とされています。
4. 中包みの裏は「寿」または「封」と書き入れます。
結納金封などの中包みによく使われる旧字体の漢数字を確認しておきましょう。
1 | 2 | 3 | 5 | 7 | 8 | 10 | 100 | 万円 |
壱 | 弐 | 参 | 伍 | 七 | 八 | 壱拾 | 壱百 | 萬圓 |
結納金だけじゃない!結納で贈るその他のお金とその書き方
結納品として贈るお金には、結納金だけでなく酒料や肴料などもあります。それぞれの表書き、中包みの書き方は基本的に結納金を包むご祝儀袋と同じです。表書きの名称は地域などによって異なるため、それぞれの呼び名についてみていきましょう。
なお、結納金を包む中包みの金額のはじめに「一(いち)」を入れる場合は酒料や肴料などの中包みも同じように書き入れ、省く場合は酒料や肴料などの中包みも「一(いち)」を省きます。
酒料を入れる熨斗袋
祝酒の料金を包みます。
昔は男性側が結納の際にお酒を持参し、両家が親戚となることを祝い飲み交わしていた由来から、現在では酒料として持参するようになりました。表書きは「柳樽料(やなぎたるりょう)」や「家内喜多留料(やなぎだるりょう)」が一般的。「清酒料」「太留料」などの呼び名もあります。
肴料を入れる熨斗袋
魚を持参する代わりの料金を包みます。
酒料と同じく、昔は男性側が結納の際に酒の肴として魚を持参し、女性側が料理をしておもてなしをした由来から、現在では肴料としてお金を贈るようになりました。表書きは「松魚料」が一般的。「栄名料」「御鯛料」「家慶鯛」などの呼び名もあります。
なお、関東より東の地域では結納品に「かつおぶし」が入るため、肴料は包まないことが多いようです。
酒肴料を入れる熨斗袋
酒料と肴料を合わせた料金を包みます。
結納品は割り切れない奇数の品数に揃えるため、結納品が偶数になる場合に酒料と肴料を一緒にまとめて贈ります。表書きは「酒肴料」と書くのが一般的です。
結納返しを入れる熨斗袋
いただいた結納品に対するお返しとして贈るお金を包みます。
昔は結納の際に男性側から贈られる着物や帯のお返しとして女性側から袴を贈っていた由来から、表書きは「御袴料」や「御袴地料」と書きます。婿養子の場合は「御帯料」「小袖料」「帯地料」などとなります。
なお、結納返しは現金以外にも、時計やバッグなどの記念品を贈るケースも増えています。その際にも記念品には熨斗と淡路結びの水引をかけ、表書きは「御時計」や「寿」とするのが一般的です。
まとめ
自分たちの結婚&結納スタイルと結納金額に適したご祝儀袋を準備しよう
結納は日本古来から伝わる婚礼儀式のひとつですが、時代の流れとともにその形態も変化し、着物や酒・肴などの実物は現金や記念品へと変わり、結納スタイルも略式結納が主流となりました。
それでもせっかく結納をするのなら、守るべきしきたりは守り、美しい日本の文化を作法に則って行いたいもの。大きな金額を包む結納金封は普段手にするご祝儀袋とは異なり購入場所が限られ、表書きも地域や結婚の形態によって異なるなど細かなマナーがありますが、一つひとつ確認をすれば決して難しくはありません。毛筆は苦手な場合にも、代筆してくれる筆耕サービスがあるので心配ご無用!
どうしてもわからない場合には両親や結納金封を購入したお店に相談しながら、ふたりの結婚&結納スタイルと結納金額に適したご祝儀袋を準備して、結納の日を迎えましょう。