結婚前に行う結納と顔合わせ食事会の意図
「結納」と「顔合わせ食事会」のどちらにも共通して言えることは、婚約の約束を交わした二人の新郎側・新婦側の家族が集まり、全員で婚約を確認し、両家の親睦を深めるためのものです。
しかし「結納」と「顔合わせ」では、婚約を確認し両家の絆を深めるという意味は一緒でも、婚約を家のつながりを「儀式」とするか、両家が親睦交流を深める「機会の場」とするか、そもそものコンセプトが大きく違ってくるのです。
結納とは
フォーマルな「婚約を両家立会いのもとで家のつながりを結ぶ伝統的な儀式」
結納は、婚約の伝統的な儀式としての準備・作法手順の確認・儀式としての両家の格を釣り合わせる…など、さまざまな段取りと両家のすり合わせがあります。準備に時間をかけたぶん、互いの家についてよく知ることとなり、両家の結びつきは深くなります。
顔合わせ食事会とは
カジュアルな「両家の親睦を深めるために設ける食事の席」
両家が親睦を深めるために、婚約を決めた二人とお互いの両親(場合によっては親族)も集まり、ともに食事をし、語り合う機会の場です。
特にこれ、といった正式な手順や決まりごとはなく、準備もお互いの両親のスケジュールのすり合わせが決まれば、さほど手間はかかりません。
結納と顔合わせ食事会の違い
結納 | 顔合わせ食事会 | |
---|---|---|
目的 | 両家で婚約と絆を結ぶ | 両家の親睦を深める |
開催する会場 | ホテル・料亭・結婚式場・女性側の自宅 | ホテル・料亭・レストラン・どちらかの自宅 |
結納品、結納金の交換 | 行う | 行う場合もある。自由 |
結婚記念品のお披露目 | 行う | 行う場合もある。自由 |
平均的な費用 | 17.9万円 | 5.9万円 |
開催するひとの割合 | 13.9% | 91.4% |
結納と顔合わせの費用の違い
結納 | 17.9万円 その他結納品、結納金、返礼品など |
顔合わせ食事会 | 5.9万円 その他婚約記念品など |
結納は儀式として整えるため「費用がかかる」こと、新郎側の家族に「結納品・結納金の負担」がかかります。現在は仲人を立てて行う正式の結納はほとんど行われておらず、両家が同日に一カ所に顔を合わせる略式結納が主になっています。
顔合わせでは、食事代が主な費用になっていて、「結納に比べて費用はかからない(個人差あり)」といえるでしょう。
結納と顔合わせ食事会にかかる全国の平均費用の相場をまとめてみました。
データ出展:ゼクシィ 結婚トレンド調査2018調べ
結納に必要な費用の概要
会場と食事の費用
食事・会場費 17.9万円
新郎側にかかる費用
結納金 91.8万円
結納品 18.3万円
新婦側にかかる費用
結納返し(現金の場合) 38.2万円
結納返し(品物の場合) 23.2万円
顔合わせ食事会に必要な費用の概要
会場と食事の費用
食事・会場費 5.9万円
新郎側にかかる費用
婚約指輪 36.5万円
新婦側にかかる費用
婚約返礼品 15.0万円
結納と顔合わせの場所の開催する場所の違い
結納 | ホテル・結婚式場・料亭・女性側の自宅 |
顔合わせ食事会 | ホテル・料亭・レストラン・どちらかの自宅 |
結納を行う会場
一昔前の結納は、新郎家が新婦宅に訪問する形が多かったのですが、現在では結納の場を整えてくれるサービスやプランが充実している「料亭」「ホテル」「式場」が多く選ばれます。結納を行う際の格式やサービスの充実を重視しており、結納プランなどが整っているお店がおおくなっているようです。
顔合わせ食事会を行う会場
両親の和食か洋食かの好みで会場を選ぶため、和食を選ぶことが多い傾向です。また、気兼ねなくやりたいということで、レストランを選ぶケースや、結婚式場の下見を兼ねての顔合わせ食事会にする、という選び方があります。また、両家が集まりやすい中間点で場所を選ぶことも多く、選択方法はそれぞれの家庭によってさまざまです。
結納と顔合わせの準備の違い
結納と顔合わせ食事会の大きな違いは、準備の複雑さと両家で話し合うことの多さ。結納の儀式の作法や順番にはすべて意味があり、地域差や家によって大きく違うため、どの手順と作法で統一するかの話し合い・すり合わせが必要です。その過程で両家がお互いの家について理解を深めるという側面があります。
一方食事会の準備は、基本すべて自由に決めることができるため、両家のスケジュール調整や参加者の確認といった部分が主で、手がかかるようなことはあまりありません。その分、お互いの親の食の好みをリサーチしたり、ちょっと招待状や進行表を作成して当日を楽しみにしてもらったり…と心配りをする余裕も生まれます。当日の食事費用をだれがどのうに支払うかを先に決めておこないと当日もめるケースがあるので、確認しましょう。
結納の準備の段取り
(1)日時、場所、仲人を立てるかどうかを両家で調整する
(2)地域によっての両家のしきたり・格式を確認し、違う場合はどちらの作法と格式で行うか決める
(3)結納品・受書・家族書の用意と、結納金の金額を決める
(4)婚約記念品(指輪などの交換または目録)、結納返しの返し方(お金か品物)を決める
顔合わせ食事会の準備の段取り
(1)日時、場所を両家両親とすり合わせ調整。参加者(祖父母・兄弟)の確認
(2)当日会食費の費用分担をどうするか両家と二人で確認
(3)婚約記念品の交換をするかしないか決める
(4)アレルギーや好き嫌いの確認、当日のコースを決定
結納と顔合わせの両家の服装の違い
結納 | フォーマル~セミフォーマル |
顔合わせ食事会 | インフォーマル~スマートカジュアル |
結納はフォーマルな儀式のため、服装はセミフォーマル以上とドレスコードが決まっています。また、「両家の格をそろえる」ことが儀式の目的でもあるため、服装についても両家で打ち合わせをします。
一方で、食事会はこれといった決まりはありませんが、食事会として選んだ場所の格式や雰囲気に合わせる・両家両親がちぐはぐにならないように、足並みをそろえるようお互いの家庭で話し合う、といった配慮が必要です。
結納の服装マナー
結納の服装はセミフォーマル以上と決まっているため、和装の正装または洋装のセミフォーマルなスーツ、ワンピースが多いようです。両家で和装と洋装の違いがないように合わせる必要があります。独身最後だからと、振袖を選ぶ女性も多いようです。
顔合わせ食事会の服装マナー
基本は自由ですが、会場として選んだ場所のマナーと雰囲気に沿った服装を選びましょう。
両家の両親が違いすぎることがないよう、事前にどんなものを着ていくのか、それぞれの両親に確認とすり合わせをすることが大切です。
◆結納と顔合わせの流れや進行役の違い
結納 | 新郎側の父親 |
顔合わせ食事会 | 新郎、または二人、または新郎側の父親 |
結納の流れと進行役
結納の進行役
仲人を立てている場合は仲人が進行役を務めますが、現在では仲人を立てずに行うことがほとんどのため、その場合は代わりに新郎側の父親が務める形です。現在では、ホテルや料亭に結納プランを申し込んだ際に、担当プランナーが司会進行を代行してくれるサービスがある場合もあります。
結納の流れ
結納には仲人(なこうど)が両家を行き来して行う「正式結納」と、両家が女性の自宅や会場に集まって行う「略式結納」があります。
略式結納は仲人がいる場合といない場合がありますが、今回は近年、一般的な「仲人がいない場合の略式結納の流れ」を見てみましょう。
1 結納品の飾り付け、両家が着席
2 はじまりの挨拶
3 男性側から結納品を納める
4 女性側が「受書」を渡す
5 女性側から結納品を納める
6 男性側が「受書」を渡す
7 婚約記念品の披露
8 締めの挨拶
顔合わせの流れと進行役
顔合わせ食事会の進行役
和やかな歓談中心のため、特に特別なことは必要ないのですが、食事会の主催が新郎新婦なのか、両親なのかで、進行する人を決めるのが一般的です。食事会の間には両家の紹介や記念品贈呈などのプログラムがあれば、進行役はあったほうがいいでしょう。
カジュアルでアットホームな食事会では、新郎が進行役を務めることが多いようです。
顔合わせ食事会の流れ
1 はじまりの挨拶
2 両家の紹介
3 婚約記念品のお披露目
4 記念撮影
5 乾杯の挨拶
6 会食と歓談
7 結びの挨拶とお礼
まとめ
結納と顔合わせの違いを知って、両家両親に確認を
結納と顔合わせ食事会は、フォーマルな「婚約を両家立会いのもとで家のつながりを結ぶ伝統的な儀式」、カジュアルな「両家の親睦を深めるために設ける食事の席」という違いがあります。それぞれに意味合いと良さがあり、どちらを選ぶのかは本人と両親で話し合う必要があります。