結婚式披露宴のしめくくりのスピーチ「新郎謝辞」とは
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新郎謝辞とは、結婚披露宴の終盤、多くの場合は締めに行う、新郎からのお礼のスピーチです。以前は両家を代表して新郎側の父から挨拶するケースが多かったのですが、現在の結婚式披露宴では新郎、または新郎新婦ふたりで、ゲストへの感謝の言葉を述べて披露宴を締めくくるケースが多くなっています。
謝辞の内容としては、参列してくれたゲストへ感謝の言葉や、ふたりで新しい生活を築いていく豊富など、当日の気持ちを交えながらの構成になっています。
ゲストに感謝とこれからの決意を伝える見せ場として、余裕をもって話せるよう事前準備が大切になります。
ことができるように、ベースを考えておくのがよいでしょう。
新郎謝辞の目的と内容は?
「謝辞」の意味は、感謝の気持ちを言葉で表す挨拶です。
新郎謝辞は、ゲストや親へ次のようなことへの感謝の気持ちを伝えるために時間を設けています。結婚式披露宴やパーティでは、新郎が挨拶を行うタイミングは主にパーティの最初と最後の2回。謝辞は最後に行います。
【新郎が謝辞を読む主旨】
・来てくれたゲスト全員に、お礼や感謝の気持ちを伝える
・親に今までの感謝の想いを伝える
・新婦に、またゲストにいまの気持ちを率直に伝える
・新生活への抱負を皆に宣誓する
謝辞は誰がおこなう?謝辞のタイミングは?
結婚式の謝辞は「新婦の手紙」「花束・記念品贈呈」に続いて、披露宴の締めに行います。以前は新郎の父親が述べることの多かったりですが、現在では両家を代表して新郎が謝辞を述べるケースも増えています。また、新郎の後に新郎父親が挨拶をしたり、新郎父親が亡くなっているため新郎母親が挨拶したり、新郎新婦二人で挨拶するケースも。
基本的には大きな決まりはありませんが、結婚式の主旨、ゲストの顔ぶれや結婚式会場の格式によっては、謝辞が誰がおこなうかが決まってくる場合も多く、進行に関してはウェディングプランナーや両家の親に相談しておこなうとよいでしょう。
結婚式で両家親族代表の挨拶(謝辞)とは。新郎父親が行う?例文と構成・スピーチ時間・マナーを解説
新郎謝辞を話す長さは?
スピーチに必要な時間ですが、人が1分間に話す文字数は、およそ300字前後が目安です。
3分間スピーチの場合の文字数は900文字前後、5分間スピーチの文字数なら1500文字前後が目安になります。ひとが飽きずにスピーチを聞けるのは5分が限界と言われており、また5分の話は、聴衆からは意外に長く感じられます。基本的には3分以内が適切と言われています。また、その後に親族代表の謝辞が続く場合には、よほど話し慣れている人でもないかぎり、挨拶は2分以内にまとめた方が良いでしょう。
与えられた時間を考慮し、それよりもスピーチが長くなるようなら、削れるところはどんどん削っていき、シンプルにまとめましょう。
結婚式披露宴での新郎謝辞を全文例文をもとに、構成と内容を解説
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新郎謝辞の基本構成は、大きく3つの内容で構成されています。
【謝辞の基本構成】
・導入…あいさつやゲストへのお例
・本題…夫婦のエピソードや抱負など
・結び…結婚式のしめくくりの言葉
今回は一般的な結婚式披露宴向けの例文で解説しますが、結婚式の規模やパーティ内容、ゲストの顔ぶれによっては、もっと率直な内容や言葉遣いのほうがゲストの心に率直に届くケースも。結婚式のスタイルに合わせる場合は、構成は変えずに、テイスト・中身・ボリュームだけアレンジしましょう。
アットホームな結婚式の新郎挨拶やスピーチの文例。家族親族のみ少人数結婚式、カジュアルなウェディングパーティ、二次会での「おもしろさ、親しみ、感動的」重視
【例文付き】結婚式披露宴の新郎謝辞の基本的な構成と内容
結婚式披露宴での新郎謝辞の構成・内容と文章の流れを見てみましょう。
【全文例】
本日は 私たちのためにお集まりくださり 誠にありがとうございました
このように盛大な披露宴ができたのも ひとえに皆さまのおかげと 心より感謝申し上げます
また スピーチや余興をしてくださった方々 会場スタッフの皆さま方にも あらためてお礼を申し上げます
これからの道のりで さまざまな壁にぶつかることもあるかもしれませんが
いつも明るく笑顔の絶えない家庭を築き 必ず〇〇さんを幸せにすることをこの場をお借りして誓います
お互いに支え合い、共に人生を歩んでいきたいと思います
これからも私たちふたりをどうぞよろしくお願いいたします
今日の感動と 皆さまへの感謝の気持ちを忘れず 御恩返しできるよう 成長してまいります
最後になりましたが ご列席の皆さま方のご健康とご多幸をお祈りしまして 私たちふたりのあいさつに代えさせていただきます
本日は誠にありがとうございました
導入:あいさつやゲストへのお礼
披露宴を締めくくる大事なあいさつなので、まずは丁寧にゲストへのお礼を伝えます。
内容としては出席してくれたことへのお礼を伝え、当日の祝辞や温かい言葉に対してあらためて感謝を述べましょう。ゲストだけではなく、花嫁や両家の親、当日お世話になった人たちへの感謝の想いも、謝辞の冒頭で伝えられるよう、言葉を選びます。
【例文】
本日は 私たちのためにお集まりくださり 誠にありがとうございました
このように盛大な披露宴ができたのも ひとえに皆さまのおかげと 心より感謝申し上げます
また スピーチや余興をしてくださった方々 会場スタッフの皆さま方にも あらためてお礼を申し上げます
本題:夫婦のエピソードや抱負など
結婚式と披露宴を無事に終えたいま、自分が思うことや感じていること、結婚生活への抱負などを盛り込みましょう。
本題のポイントは「今日一日を振り返って、何を思い、何を感じたのか」。事前に原稿を用意していても、この部分だけは当日の率直な思いや出来事を盛り込んで話すと、自然とゲストの心を打つスピーチになります。またこれからふたりがどんな夫婦になりたいのか、抱負も伝えましょう。
【例文】
これからの道のりで さまざまな壁にぶつかることもあるかもしれませんが
いつも明るく笑顔の絶えない家庭を築き 必ず〇〇さんを幸せにすることをこの場をお借りして誓います
お互いに支え合い、共に人生を歩んでいきたいと思います
これからも私たちふたりをどうぞよろしくお願いいたします
結び:結婚式のしめくくりの言葉
ゲストの幸せや健康を願い、感謝の言葉で締めくくりますが、結びの言葉はほぼ定型通りの言葉を選ぶのがおすすめです。
結びの言葉は定番の結びの言葉の文例が幾つかあるので、その中からゲストの顔ぶれに併せて選びましょう。「皆さまのご健康とご多幸をお祈りして」というゲストを気遣う言葉や、「これからも変わらずお付き合いください」「ご指導ご鞭撻のほどを」というような、決まり文句の組み合わせがよく選ばれています。
【例文】
今日の感動と 皆さまへの感謝の気持ちを忘れず 御恩返しできるよう 成長してまいります
最後になりましたが ご列席の皆さま方のご健康とご多幸をお祈りしまして 私たちふたりのあいさつに代えさせていただきます
本日は誠にありがとうございました
コロナ禍や悪天候でも結婚式や披露宴に駆け付けたゲストへの謝辞例文
コロナ禍や台風などの悪天候といった結婚式が中止になるか迷う状況にも関わらず、当日駆け付けてくれたゲストに対し、結婚式や披露宴の挨拶や謝辞で、「ゲストに向け手厚いお礼を伝えたい」と考えている方も多いでしょう。
コロナ禍や台風などの悪天候といった状況で結婚式に駆けつけてくれたゲストへ、感謝を伝えるメッセージの文例をいくつかご紹介します。
難しい世情・天候でも足を運んでくれたことに感謝する例文
まずは「コロナ禍にも関わらず来てくれてありがとう」「台風なのに来てくれてありがとう」という気持ちを、親族の代表である父親などの口からストレートに伝えることで、ゲストにしっかりと伝わります。
【例文】
「本日はご多用のなか、私たちのためにお集まりくださり、誠にありがとうございます。また、このような悪天候(コロナ禍の場合は「世の中がこのような状況」)にも関わらず、こうしてお集まりいただいたことに、心から感謝いたします」
残念ながら出席できなかった人へのフォローの例文
ゲストのなかには、コロナや天候を配慮してやむを得ず欠席の判断をせざるを得なかった人もいるでしょう。そういったゲストへの配慮の言葉も入れましょう。
【例文】
「本日はご多用のなか…(以下略)。また、残念ながらここにお越しになれなかった方も、私たちにとってのかけがえのない大切な存在です。私たちの新たな旅立ちの日に、たくさんの祝福のメッセージや電報をいただき、心より感謝しています」
構成別、ウェディングスタイル別、の新郎謝辞の例文パータンについて詳しくはこちら
結婚式披露宴での新郎謝辞の例文を知りたい!スピーチの導入・本題・締めの定番の例文やウェディングスタイルに合わせた文例を紹介
結婚式披露宴で新郎謝辞の際に注意したい言葉遣いや内容
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結婚式などお祝いの場で、避けた方が良いとされる「重ね言葉」と「忌み言葉」。
謝辞ではゲストに新郎から、またはふたりからの感謝の気持ちがスムーズに、気持ちよく伝わるよう、スピーチや手紙などを準備する際は必ず確認しておきましょう。
また、お祝いの場のスピーチで避けた方がいい話題についても確認しておきましょう。
文章を作る際に忌み言葉、重ね言葉、区切り言葉はできるだけ避ける
忌み言葉とは、慶事や弔事で使うのを避けたほうが良いとされる言葉です。言葉の読み方や捉え方によって、縁起が悪いと思わせたり、悪い意味を連想させる言葉などがそれにあたります。 特に年配の方が多く集まる結婚式では、気にされる方も多くなるので気をつけなければいけません。せっかくのお祝いの場で気分を害する人がいないように、忌み言葉を使わずに上手に言い換えて最適なスピーチをおこないましょう。
また、重ね言葉は同じ言葉、または同じ意味の言葉を重ねて使うことです。再婚や悲しい出来事の再来を連想されるような重ね言葉などは、結婚は1回きりが望ましいという縁起を担ぐ意味で、使わないことが良いとされています。最近はあまり気にしない方も多くなっていますが、スピーチなどでは、できれば避けた方が無難です。
忌み言葉:不吉なこと(別れ、死)を連想させる言葉
重ね言葉:繰り返しの表現。離婚を連想するため不吉な言葉
句読点:「区切る」「終止符」は不吉とされスピーチでは使わない
言葉の種類 | 連想する意味 | 言葉の例 |
---|---|---|
区切り言葉 | 別れ・再婚を連想させる言葉 | 最後に、去る、失う、去る、終わる、離れる、別れる、切れる、嫌う、飽きる、疎遠になる、冷える、繰り返し、再び、何度も |
忌み言葉 | 不幸を連想させる言葉 | 亡くなる、苦しい、朽ちる、病気、倒れる、壊れる、泣く、崩れる、滅びる、流れる痛ましい、衰える、倒れる |
重ね言葉 | 繰り返しの表現。離婚を連想するため不吉な言葉 | 時々、いよいよ、重ね重ね、わざわざ、たまたま、いろいろ、たびたび、どんどん、だんだん、しばしば、みるみる、日々、 相次いで |
結婚式のスピーチの時に避けたい「忌み言葉」「重ね言葉」まとめと言い換え例
謝辞や感動やユーモアの要素を入れるには?
謝辞や挨拶で感動やユーモアの要素を入れたいと考えている方も多いでしょう。
親だけが知っているプライベートなエピソードや、感情を率直に伝える言葉はそれだけで感動やユーモアを呼ぶ大きな要素ですが、アットホームな結婚式や、ゲストとの関係性が深い場合に大きな効果を発揮するため、関係性が薄い、または社会的な繋がりを重視した結婚式では内輪ネタだと受け取られてしまうケースも。
その際は結婚式や披露宴のテイストや格式、招待ゲストの顔ぶれを見極めたうえで、内容を精査する必要があります。
その他気を付けたい、避けたい話題
結婚式だから盛り上げようと暴露話や過去の恋愛についての話題は絶対に避けるべきです。
特に両家の家族や親族が集まる場で、過去の恋愛話は避けましょう。笑いを誘おうと暴露系もお祝いの場にふさわしくないので気を付けてください。
自慢話、下ネタ、政治や宗教の話も避ける
スピーチや謝辞で大事なのはゲストへの感謝。自慢話は別の機会に。また、お開き間近になると飲みすぎて酔っぱらいモードの新郎がうっかり下ネタを語ってしまうケースもあります
政治や宗教、思想について言及するのも披露宴の席ではタブー。さまざまな考えを持つゲストがいるので、内容に気を付けましょう。
結婚式披露宴で新郎謝辞を成功させるポイント
結婚式や披露宴での新郎の挨拶(謝辞)は、スピーチの基本的なマナーを守って話せるように整えましょう。また、できれば書き上げた挨拶を事前に何度かリハーサルして、話す長さ、スピード、活舌、表情をチェックしておくのをおすすめします。
必ず声を出して練習を
結婚式は自分が主役。たとえ人前で話すことに慣れていたとしても、多くの人が緊張する。声が上ずったりかんでしまうと、余計に緊張が増すので、事前の練習は必須。普段よりも大きな声で、ゆっくりと話す練習をしよう。
カンペやメモは用意して見ても問題ない
スピーチ原稿としてカンペやメモを用意し、本番で読んでもマナー上は問題はありません。しかし、ゲストのほうを見ずにずっと下を向いたまま、原稿を丸読みするのは印象が良くないため、できるだけ内容を事前に頭に入れ、メモを見つつもゲストの方を向いて話せるよう事前に練習するのをおすすめします。
前を向いて堂々とした姿が、親や親族に安心感を与えます。目線を一人一人と合わせるのが気恥ずかしいなら、会場の奥の方からジグザグに目線を動かす方法もあります。
活舌よく、聞きやすいトーンとスピードで話す
スピーチをする人は落ち着いて、滑舌よく話すことを心掛けましょう。緊張しているとどうしても早口になり、声が上ずってしまうケースが多いため、意した原稿を棒読みしたりしないよう肩の力を抜いて、ゆっくりと落ち着いて話せるよう何度かリハーサルがおすすめです。できれば鏡の前で表情や姿勢をチェックする、一度録音して聞いてみるなどのセルフチェックを忘れずに。
まとめ
結婚式披露宴での謝辞は内容に当日の気持ちや感動を率直に盛り込もう
結婚式での新郎の挨拶は、ただ準備した謝辞の内容を読み上げるだけでなく、当日に感じた率直な感謝の気持ち・感動をゲストに伝えるのも成功のポイントです。
また、結婚式のような改まった場でのスピーチに慣れていない方は、声に出して練習する、スピーチをおこなう姿を動画で撮って確認するなど、事前リハーサルも重要です。
基本的な構成から、自分らしい言葉で気持ちがしっかりと伝えられるよう、準備していきましょう。