グラハム子さんとトシさんの、これまでのお話はこちらから
【第1話】【第2話】
よろこびのお知らせは突然に。海外挙式の楽しみが2倍になった日
入籍して半年が経ったころ妊娠がわかりました。
新婚間もなかったのでまだ積極的に作っていたわけではありませんが、自然にできたら良いね、という感じでした。
2人きりの挙式で他人の目も気にしなくていいので、式の時点でお腹に赤ちゃんがいることも気になりませんでした。赤ちゃんと3人で式ができることが嬉しかったです。
妊娠中に海外に行くには特別な手続きなどが必要あるかな?と思いましたが、担当さんに聞いたらそれは特に無いとの事で安心しました。
マタニティの旅行用パンフレットを読んで、旅行中のプランを一部穏やかなものへと変更したり、準備を進めていきました。
誰もが通る道だけど不安は倍増に。どうなる海外挙式!?
私はつわりが重いタイプでした。
一日中気持ち悪くてほとんど何も食べられないし、なのに吐き気はひどくて、よだれや胃液のようなものまで吐いていました。
このままの状態では海外など行けないのは明白でした。
でも2か月後にはつわりは治まっているかもしれない…そう思うとキャンセルもしたくない。でも直前まで悩んだ挙句に治まらなかったら、キャンセル料はどんどん高くなってしまう。
式をやりたい。もうドレスだって購入済み。
今までの準備を無駄にしたくない。しかしもし旅行中にお腹の赤ちゃんに何かあったら、悔やんでも悔やみきれない…。
そんな考えが脳内で渦を巻き、悶々としていました。
トシさんの思いやりで方向転換に。海外挙式をキャンセルした理由
夫は『もしつわりが治まったら国内で挙式』という代替案を出してくれました。
まさか夫がそんなことを考えてくれているなんて思いませんでした。なぜなら夫は元々結婚式自体やりたくなくて、二人きりで海外挙式ならなんとかOKという人だったのです。(第2話参照)
なので、「国内という選択肢はもう無いものだ」「この海外挙式を逃したらもう結婚式はできないんだ」と私は勝手に思い込んでいました。
元々は式自体やりたくないはずの夫が、こんなに私の気持ちに歩み寄ってくれたのが嬉しかったです。
海外挙式はできなくなってしまったけれど、この人と結婚できるならどんな形でもいいのかもしれないな、と思えました。夫が歩み寄ってくれたから、私も夫の考えに歩み寄れた気がします。
今まで、何が何でも式は絶対やりたい!と譲らなかった私ですが、式にこだわらなくても、結婚の記念に何か思い出に残ることができればいいのかな~と、柔らかな考えになりました。
一方が優しく歩み寄ると、もう一方も優しさでお返しができる。夫婦ってそんな感じで、思いやりが肝心なのだと気づけました。
『次に何かあったときは私から寄り添っていきたい』グラハム子さんのここだけの話
── おめでとうございます!と思わず漫画の中のグラハム子さんに声をかけたくなるような、ハッピーなおめでた報告でした。グラハム子さんのInstagramの漫画では、トシさんのほほえましい子煩悩エピソードを拝見しています。おめでたが分かった時は、トシさんはすごく喜んでいたのでは?
グラハム子さん:妊娠報告をとても喜んでくれました。さすがにドラマや漫画みたいに飛び跳ねるほどではなかったですけど(笑)
子どもの性別が分かる前にトシさんは先走って、男の子女の子のどちらが生まれてもいいように、両方の名前を早々と考えていましたね。
── トシさん、気が早い!もしやその名前が、現在のお子さまのお名前ですか?
グラハム子さん:いえ。結局採用はしておらず、別の名前になりました(笑)
── (笑)
@gura_hamuco / Instagram
ものすごく楽しみにしていたけど…海外挙式キャンセルに未練がなかった理由
── 第2話で、おふたりがものすごく話し合って結婚式への結論を出したことを知っているだけに、つわりがひどく、海外挙式までキャンセルになるというエピソードを見て、胸がしめつけられるような思いになりました。
グラハム子さん:つわりは本当に苦しかったですね…朝起きた瞬間から、まだ何も食べていないのに気持ち悪くて、食べても吐いてしまっていました。でも食べないと、それはそれで気持ち悪いので、アイスやゼリーのようなのど越しの良いものばかり食べていました。
つわりの間、わたしがまったく動けなかったので、トシさんが毎日ごはんを買ってきてくれていたんです。妊娠中に猫を飼うのはよくない(※)というウワサもあったので、飼い猫のトイレの世話やごはんの世話なども一手に引き受けてくれました。
@gura_hamuco / Instagram
(※)猫に寄生する寄生虫が人間に感染することで生ずるトキソプラズマ感染症は、通常の健康状態であれば無症状のままだが、妊娠中など免疫力が弱まっている場合に感染すると、本当にまれに重篤な症状を引き起こすことがあるため『妊娠中は猫を飼ってはいけない』とうウワサの元になっている。
グラハム子さん:つわりが始まった当初は「つわりがいつおさまるか分からないけど、おさまるまでは延期して、おさまったらハワイに行こう」と、海外挙式を延期する方向で話を進めていました。
ところが、海外挙式の予定日まであと3カ月というタイミングで、突然お腹がひどく痛むという出来事があったんです。慌てて病院に行ったところ、原因は子宮が大きくなる時の痛みで特に問題はないということで、一旦はホッとしました。
でも、今後がすごく不安になったんです。今回は特に問題はなかったけれど「万が一こんなことが旅行中に起こったらどうしよう…」「延期じゃなくてキャンセルのほうがいいのでは」と考えることになったきっかけでした。
── キャンセルのお話は、グラハム子さんから切り出したのですか?
グラハム子さん:はい。私が「海外挙式、キャンセルしたほうがいいかな?」と切り出したら、夫も「そうだね。僕もそのほうがいいかなと思っていた」と打ち明けてくれました。お互いに同じことを考えていたんですね。
── 海外挙式キャンセル後の、国内での挙式については、トシさんから提案してくださったんですよね。前回(※第2話参照)、トシさんはさまざまな理由から「国内での挙式は嫌だ」とかなり固い決意があったようですが、何がきっかけでトシさんの考え方も変わっていたのでしょうか。
グラハム子さん:やはり私がつわりで弱っているのを見て、かわいそうだという思いがあったんだと思います。
それに、会社の同僚にも「結婚式は女性のやりたいようにやらせてあげないと、一生言われ続けるぞ」と諭されたらしく(笑)、彼の中でも結婚式はやったほうがいいのかなと認識が変わったところがあったようですね。
でも、どんな理由であれ、トシさんの側から歩み寄ってきてくれたのが、本当に嬉しかったです。
『結婚式がなくなってラッキー』のような態度は一切なく、以前はあんなに否定していた国内挙式を提案してくれたのは、私の中でも気持ちが大きく変化するきっかけになりました。
── 漫画の中でのトシさんの「一番優先しなくちゃいけないのはハムちゃんとお腹の子」という言葉にグッときました。妊娠して体調や環境が変わって行く中で、グラハム子さんはいろいろ不安なことがたくさんあった時期だと思うんです。
グラハム子さん:私も気持ちが不安定な部分があったと思います。でも、相手が歩み寄ってくれたから、自分もその意見に自然に寄り添えたんです。
きっかけをトシさんの側から作ってくれたのは本当に嬉しかったし、「次に夫婦の間で何かあったら私から寄り添っていこう」と思えるようになりました。
── そういえば、第2話では「自分の結婚式に招待することで他の人に時間を割かせるのは申し訳ない」とトシさんは言っていましたが、国内挙式を計画する際にそのあたりはクリアになったのでしょうか?
グラハム子さん:招待客についてトシさんは「ハムちゃんはいくらでも好きな人を招待してもいいけど、自分は5人ぐらいしか招待しないよ」と言って、本当に仲の良い友人5人ぐらいしか声をかけていなかったと思います。なので、私との招待客の比率は60:5ぐらいになりました。
── 男性側の招待客が少ないというのは、結婚式のスタイルがかなり自由になった今でもかなり珍しい構図です。トシさんの考え方は一貫していたけど、国内挙式をグラハム子さんに提案したのは、本当にグラハム子さんのためを思ってのことだったんだなぁと、しみじみ伝わってきますね。
憧れの初海外に…グラハム子家の約束が果たされるのはいつ?
── 海外挙式をキャンセルした後の気持ちは、すんなり切り替えることができたのですか?
グラハム子さん:キャンセルの際には「せっかくなので延期したらどうですか?」と担当プランナーの方にも何度か引き留められたのですが、トシさんとの話し合いのおかけで、気持ちはしっかり固まっていました。
海外挙式ができなかったことはショックでしたが、『子どもができた』という嬉しい結果でのキャンセルでもあったので、そこまで落ち込むこともなかったです。
実はキャンセルする時に「子どもが大きくなって落ち着いたら、絶対に海外旅行に行く」という約束を、トシさんに取り付けていたんです。子どもが2歳になったら絶対いく!と。
…その時にお腹にいた子供は、今年小学校に入学したものの、まだハワイには行けていないのですが(笑)
── 上のお子さんは幼稚園を卒園されて、いよいよ小学校に入学されましたね。緊急事態宣言も解除されて、ようやく学校も再開しました。
グラハム子さん:はい。ようやく小学校に行けるようになり、いまは楽しそうに小学校へ通っています。
実は、いよいよ今年、家族全員で初の海外旅行に行こう!と計画を立てていたのですが、感染症の騒動で流れてしまって。約束は未だに果たされないままなんですよ…。
── 早くこの状態がおさまって、家族全員でその約束が果たされる日がくることを、心から願っています。次はいよいよグラハム子さんの『ここだけの話』の最終回になりますね。いろいろなことがあって、夫婦としても成長していったおふたりの結婚式のエピソード、とても楽しみにしています!
もっと知りたい!グラハム子さんとは
グラハム子さんは現在、恥ずかしがり屋な息子さん、破天荒な娘さん、クレイジーな夫のトシさんとの4人家族。グラハム子家にはそのほかにも、猫と亀、ハムスター、ウーパールーパーという楽しい相棒がいます。楽しい日常備忘録を育児漫画やエッセイ漫画として、InstagramやさまざまなWEBサイトで連載中です。グラハム子さんの活動をぜひチェックしてみてくださいね。
【お知らせ】グラハム子さん著書『美淑女戦隊 オバサンジャー 困った姑・夫を浄化する!?』発売中
敵は孫催促婆にモラハラ男――!? 正義の味方は三人のおばさん?
五十嵐みどりは、好きなアニメのフィギュアを集めるのが趣味な、ごく普通の兼業主婦。
ある日、みどりが仕事を終えて家に帰ると、姑が連絡もなく、家に遊びに来ていた。
そのうえ、姑は子どものいないみどりに孫の催促をして、「子産め婆」と化していた。
そんな強敵から、みどりを助けるために現われたのは、美淑女戦隊オバサンジャ――。
オバパープルとオバピンクに導かれ、みどりはオバグリーンに覚醒して、自身の姑である「子産め婆」や「アレルギーは気のせい婆」など、次々と現われる強敵に立ち向かう。
SNSでバズり、主婦に共感された話題作がついに書籍化。3人のババアが頑張る社会派(?)ハートフル・コメディー!!
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公式HP(グラハム子|漫画家・イラストレーター)
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