ナシ婚とは。ナシ婚が増加する理由
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ナシ婚は新しい結婚のかたちであり、ナシ婚を選んで実際のところはどうだったのかという情報や体験例はまだまだ少なく、インターネットで調べても一般例や一般論と言えるほどの情報が少ないのが現状です。「ナシ婚」と一口に言っても意味する範囲はさまざまです。
本当に入籍のみ行うカップルもいますが、フォトウェディングといって婚礼衣装を着て記念写真を撮影するイベントや、大勢のゲストを招待するような挙式は行わないが二人きりの挙式や家族だけの食事会のような「結婚を記念するイベント」を行うカップルも多くいます。
ナシ婚を選ぶカップルの割合は今や約半数
2019年に発表されたリクルート社の調査によると、披露宴のある一般的な結婚式を選んだカップルの割合は51.1%で、残りの48.9%はそれ以外の「ナシ婚」を選択しています。今やナシ婚の割合は約半分ぐらいといったところです。
【結婚式、結婚イベントの実施割合】
・披露宴、披露パーティを行った…51.1%
・親族中心の食事会…21.6%
・挙式、または挙式と写真撮影のみ…2.7%
・フォトウェディング…5.0%
・その他パーティ…0.3%
・入籍のみ…19.3 %
データ出展:ブライダル総研 結婚総合意識調査2019
ナシ婚でも結婚式以外の結婚イベントを選ぶカップルが多い
ナシ婚と言っても、本当に入籍のみのカップルと、結婚の記念や思い出になるようなイベントを行った人の割合を比べると、約60%のカップルは食事会やフォトウェディングのような結婚イベントを行っており、本当に何もしないことを選択する人の割合は少なくなっているようです。
ナシ婚でよかったことは?結婚式と比較した場合のメリット
一般的な結婚式をしない「ナシ婚」を選択することでよかったと感じる点はどのような点が考えられるでしょうか。
ナシ婚でよかったことは?結婚式なしのメリット
ナシ婚を選択した場合、結婚式を挙げるための費用、準備時間、ストレスなどが一切かからない、または非常に軽減されることが最も大きなメリットと言えるでしょう。
合理的に、また実務的に考えるのであれば、結婚式を挙げないメリットは大きいと言えるでしょう。
結婚式の費用を二人の新居や家電など身の回りの物を充実させることに使える
結婚式の費用はゲストから頂くご祝儀である程度賄うことができますが、それでも結婚式での費用総額からご祝儀を抜いた平均的な新郎新婦の自己負担は149.5万円になります。一方で結婚記念の写真のみを撮影するフォトウェディングの費用相場は15万~20万円ほど、新婚旅行の平均費用は旅行とショッピング代を含めても70万円ほどと、結婚式で消費する費用に比べるとかなり少なくなっています。もし二人の貯金が少なくても結婚イベントなら十分計画することができますし、浮いたお金で二人の新生活を充実させることができるでしょう。
結婚式の準備時間を他の結婚準備のための時間にじっくり使える
結婚式の平均的な準備期間は式場決定から結婚式8.2カ月かかります。式場を探すところから考えると10カ月が平均的な準備期間です。
しかし、食事会やフォトウェディングの準備期間は、通常であれば2~3カ月程度で十分準備が可能です。共働きで仕事が忙しいカップルや、二人の関係性を深めることや趣味などに時間を費やしたい場合には、準備期間が少ないほうが魅力的に感じるカップルも多いでしょう。
結婚式準備のストレスやゲストへの気遣いから解放され二人の関係性に配慮が行き届く
結婚式は基本的にはゲストからお祝いをいただくことを前提に成り立っているイベントのため、ゲストに対する配慮やマナーを常に考えながら計画するイベントです。また、準備の量やタスクも膨大で、二人で話し合い決定することは山積みであるため、夫婦間で常に情報交換を行う必要があります。ナシ婚の場合結婚式の準備のストレスすらはほぼ解放されるため、入籍まで通常通りの二人の生活を送ることができるでしょう。
ナシ婚で後悔することは?結婚式と比較した場合のデメリット
ナシ婚のメリットを見ると、現代のかたちにあった結婚スタイルのように思われますが、「ナシ婚は離婚率が高い」「ナシ婚で後悔している人が多い」という話もよく聞きます。どうしてそのようなことが話題になるのでしょうか。
ナシ婚で後悔することは?結婚式なしのデメリット
結婚式をしない「ナシ婚」を選択して後悔する主な理由として、インターネットの体験談などを見てみると、大きな3つの理由が挙げられます。
結婚式に憧れがあったのに現在の状況で諦めざるを得なかった
2019年度のナシ婚に関するアンケート調査で、ナシ婚を選択した人の21.8%は「経済的事情、資金不足」からと答えており、7.3%の人が「結婚式以外でお金を使いたい」と答えています。裏を返すと、お金があれば30%の人は結婚式をやりたかったとも考えられるでしょう。また、授かり婚や再婚、家庭の諸事情、パートナーとの格差など状況のの問題で結婚式を選択できなかった人の割合は40%近くもあります。
実に70%のカップルが、金銭面や二人の置かれた状況によって結婚式を挙げることができないと考えられます。結婚式に憧れが強い人であれば、後悔してしまうことも考えられるでしょう。
データ出展:みんなのウェディング「ナシ婚」に関する調査2019/プレスリリースより
結婚式の晴れ姿を両親に見せられなかった
披露宴を行う一般的な「結婚式」をほとんどの人が選択していた時代の親世代や年配の方にとっては、口には出さずとも子どもの晴れ姿を見るのを楽しみにしていた、という人が未だにとても多いようです。「晴れ姿を見たかった」と後から言われたり、「晴れ姿を見せられなかった」ということが後悔につながっている人も少なくないようです。
ゲストを招待できないため大切な人と一同に会う機会を逃してしまった
結婚式は結婚を披露する場であると同時に、二人の今までの人生で出会った大切な人たちを一同に招待できる唯一の機会の場でもあります。こんな機会でもなければなかなか会えないような環境になってしまった人とも、もう一度連絡を取り合うこともできます。そのため、「大切な人たちと会いたかった」「みんなにお祝いしてほしかった」という思いが後悔につながることもあるでしょう。
ナシ婚を選択したことで離婚率が高くなると言われる理由
「ナシ婚を選択したカップルは離婚率が高くなる」という調査結果もありますが、その背景として以下のような4つの要因が考えられます。
結婚式を挙げる経済的な基盤や余裕がないため二人の生活が安定しない
金銭的な事情で結婚式を諦めたカップルの多くはもともと貯金がない場合があり、新生活の準備や開始時に経済状況がカツカツであることが考えられます。経済状況の不安定さは、心理的な不安につながることも多く、二人の関係性に影響していることが予想できます。
二人の経済観念や価値観のすり合わせが出来ていない
結婚式準備での決定事項や、ゲストに関して話し合うことは、二人の価値観や人生観、経済観のすり合わせにつながることが多くあります。ゲストの選択や席次決め、結婚式のマナーに沿ってさまざまなことを相談するうちに世の中のマナーやルールを学んだり、高額な結婚式費用の使い道を話し合うことでお互いの経済観を確認しあうことができます。そのすり合わせが出来ていないまま入籍した場合、問題が生じることも考えられます。
お互いの大切な人や親族などを紹介する機会がなく家族になった意識が薄い
結婚式はお互いの親族、お世話になった人、友人など、二人にとって大切な人たちが一同に集まり、お互いに紹介しあう場でもあります。二人がどんな人生を歩んできたかを振り返ることができ、お互いの家族や親族同士の交流も深まることで、ひとつの家族となった意識も大いに高まるという効果があります。家族として理解しあい、意識する機会がないと、結婚してもお互いを理解しあうのは難しい部分もあるでしょう。
簡単に入籍が済んでしまうため離婚へのハードルが低い
結婚式には大きな費用がかかり、準備や話し合いにも時間がかかり、ケンカになることもあってストレスもありますが、二人で協力して結婚式を計画して成し遂げることで、入籍前に経済観念や価値観のすり合わせができ、あんなに苦労したのだから簡単に離婚できない…という思いも生じるようです。入籍自体は成人であれば比較的簡単にできる手続きであり、二人の仲が険悪になった際に思いとどまるための共通の思い出がない、ということも少なからず起因していることがあるようです。
ナシ婚の選択で後悔しないための準備と対策
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ナシ婚を選択したことで後悔しないためには、入籍前にパートナーや両家の親と、次のような点をよく話し合って確認しておく必要があります。
結婚式に対する考えを夫婦でとことん話し合う
二人とも結婚式に対して同じ価値観であれば問題はないのですが、どちらか片方が結婚式に憧れや思いがあるなら、できるだけ入籍前にじっくり話し合ったほうが良いでしょう。結婚式をすべて行わなくても、現在は結婚の思い出として楽しめるイベントの選択肢が非常にたくさんあります。二人の結婚式に対するポイントを紙に書きだしてみたり、どうしてもやりたいことについてじっくり話し合いましょう。
両親や身近な人には結婚式を行わない理由をきちんと説明する
結婚式を行わないで後悔してしまう理由に「晴れ姿が見たかったな」と大切な人たちがら言われてしまうことが挙げられます。結婚式を挙げない理由を両親や親しい人には話しておき、きちんと理解してもらうことは重要です。現在ではフォトウェディングに両親も一緒に参加するケースが増加しており、結婚式はしなくても低予算で晴れ姿を見せることも可能です。
大切な人同士をお互い紹介する機会を設ける
自分の大切な人たちに、パートナーとなる人を紹介できないことは大きな後悔になるようです。結婚式は行わずとも、できれば食事会などを催して、本当に自分の大切な人にパートナーをお披露目することや、お互いの身内同士が親睦を深めあうことで、家族としての意識を高めたり、家と家との絆を感じることができるでしょう。
ナシ婚でも後悔しない!結婚の記念となる結婚イベント
結婚式は行わないものの、家族やごく少人数の親しい人のみで結婚式以外の結婚に順ずるイベントや、結婚の記念となる写真撮影、楽しい思い出を残せる新婚旅行は行うというカップルも非常に多いようです。結婚式をしないナシ婚の方たちも行う主な結婚イベントの内容や平均費用、準備期間をまとめましたので、計画する際の参考にしてくださいね。
フォトウェディング
フォトウェディングとは、結婚式は行わないものの、婚礼衣裳を着て結婚の記念となる写真撮影を行うことです。現在ではフォトウェディングに両親やゲストも参加したり、ごく身内のみのシンプルな挙式をしたり、リゾート地で撮影したり、撮影後に食事会を行うなど、その内容はニーズに合わせバリエーションが非常に豊かになっています。
フォトウェディングにはカメラスタジオ内で行うスタジオ撮影とスタジオ外の屋外や雰囲気のある建物で行うロケーション撮影を選んで行います。結婚式会場を平日に貸し切り、本物の結婚式さながらの写真を獲ることも可能です。また、新婚旅行を兼ねての国内海外リゾート地でフォトウェディングを行うカップルも多くいます。
家族や身内のみの食事会
家族や身内を招待して、結婚を祝い両家の親睦を深め、門出の記念となる食事会を行うことも多いようです。
食事会を行う場所は結婚式を行う会場やホテル、レストラン、料亭などの小宴会場や個室で行うことが多いようです。ゲストで招待するのは家族と親しい親族や身内のみで、4名~30名程度と招待数はカップルによりさまざまです。新郎新婦は婚礼衣装を着て、簡単な挙式や出席した家族やゲストと一緒に記念撮影を行うフォトウェディングと一緒になったプランなどもあります。
新婚旅行
結婚式は行わないものの、結婚の思い出となり思い切りバカンスを楽しむ新婚旅行を企画する人が多いようです。
新婚旅行の人気の行先としては、ハワイが圧倒的な人気であり、次いでヨーロッパ、沖縄が多くなっています。また、フォトウェディングや家族旅行も兼ねて親孝行で両親を招待するなどのプランを立てるカップルも多くいます。二人きりや身内のみのシンプルな挙式を計画するカップルもいます。
まとめ
ナシ婚のメリット、デメリットをよく考えて結婚とは何かを理解しよう
ナシ婚を選択するカップルは現在半数ほどですが、ナシ婚を選択したその中でも結婚の思い出を残そうと結婚イベントを行うカップルは60%ほどはいます。結婚式の準備や結婚式で培う夫婦の価値観のすり合わせや家族の絆を深める準備を、結婚式以外の方法で見つけることがナシ婚でも人生で後悔しない対策であると言えそうです。