結婚式なしの「ナシ婚」が増加する理由とは?現在のナシ婚の割合やナシ婚でよかったことや、後悔しない対策について

「ナシ婚」とは一般的な結婚式を行わない、または入籍のみの新しい結婚スタイルのひとつであり、現在では約半分のカップルが選んでいます。ただ、ナシ婚を選択した場合によかった面もありますが、後悔してしまうこともあるようです。現在増加しているナシ婚を選択する前に、ナシ婚の増加している理由や、ナシ婚を選択するメリット、デメリットを理解したうえで、パートナーと結婚式に対してしっかり話しあってみてはいかがでしょうか。

この記事のINDEX

    ナシ婚とは

    ナシ婚とは

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    「ナシ婚」という言葉をよく耳にするようになりましたが、具体的にはどのような結婚を意味するのでしょうか。

    ナシ婚の意味や定義

    「ナシ婚」とは、21世紀になり一般的に認識されていたゲストを大勢招待して挙式と披露宴からなる結婚式を行わずに、入籍のみで結婚することを選んだり、記念写真のみのフォトウェディングを選ぶカップルの結婚形態を意味します。
    結婚式とは歴史的に見ると人生の通過儀礼のひとつであり、家と家をの結びつきを社会的にお披露目するための儀式ですが、それらを行わないある意味新しい結婚形態と言えます。
    「ナシ婚」と一口に言っても意味する範囲はさまざまで、本当に入籍のみ行うカップルもいますが、フォトウェディングといって婚礼衣装を着て記念写真を撮影するイベントや、大勢のゲストを招待するような挙式は行わないが二人きりの挙式や家族だけの食事会のような「結婚を記念するイベント」を行うカップルも多くいます。
    二人が「通常の結婚式のようなものは行わない」という認識で「ナシ婚」という意味を使用していることも多い傾向です。

    ナシ婚を選択するカップルの割合

    2019年に発表されたリクルート社の調査によると、2018年度の結婚式や結婚イベントを行ったカップル内訳は次のようになりました。これを見ると、一般的に認識されている「結婚式」を行ったカップルはほぼ半数で、残りの半数のカップルは入籍のみ、食事会や挙式のみ、写真のみなど、自分たちに必要な結婚の形式を選んでいることがわかります。また、年齢が高くなるほど披露宴の実施は低くなる傾向です。晩婚化が進んでいる現在の状況からも今後ナシ婚を選ぶ人は増加していくと考えられます。

    【結婚式、結婚イベントの実施割合】
    ・披露宴、披露パーティを行った…51.1%
    ・親族中心の食事会…21.6%
    ・挙式、または挙式と写真撮影のみ…2.7%
    ・フォトウェディング…5.0%
    ・その他パーティ…0.3%
    ・入籍のみ…19.3 %

    【20代、30代、40代の披露宴・披露パーティの実施割合】
    ・20代…披露宴実施 54.8%
    ・30代…披露宴実施 49.6%
    ・40代…披露宴実施 34.0%

    データ出展:ゼクシィ 結婚総合意識調査2019

    なぜナシ婚が増加しているのか?

    ナシ婚を選んだカップルの理由

    2019年度に「みんなのウェディング」が行った調査によると、一般的な結婚式を行わなかった「ナシ婚」を選んだ理由として、次のような回答が多く挙げられました。

    【ナシ婚の理由(回答はひとつのみ)】
    ・1位「経済的事情、資金不足」 21.8%
    ・2位「セレモニー的行為が嫌、苦手」 18.0%
    ・3位「授かり婚、おめでた」 16.5%
    ・4位「再婚」 10.4%
    ・5位「結婚式準備が面倒」 8.9%
    ・6位「結婚式以外でお金を使いたい」 7.3%

    データ出展:みんなのウェディング「ナシ婚」に関する調査2019/プレスリリースより

    ナシ婚が増加する理由と背景

    この結果を見ると、ナシ婚が増加する理由として、大きく3つの要因が見えてきます。

    ・平均350万円程の費用がかかる「結婚式」が現代の経済状況では価値観と合致しない
    ・セレモニーの儀式や内容が現代の価値観とズレてきている
    ・晩婚化、共働き化が進み、膨大な手間と時間を費やす結婚式準備が難しい

    それ以外にも、

    ・披露宴ではカバー仕切れないニーズを満たすための結婚イベントが多様化していること
    ・費用を抑え堅苦しくない、結婚を祝い楽しい思い出が作れるプランが増加していること

    以上の理由から、ナシ婚を選ぶ人が増加している要因のひとつと言えるでしょう。

    【披露宴、披露パーティ以外の結婚イベント例】
    ・食事会
    ・フォトウェディング
    ・海外挙式や国内リゾート挙式
    ・新婚旅行、家族旅行
    ・カジュアルパーティ など

    ナシ婚でも後悔しない?よかったことと後悔しないための対策

    ナシ婚でも後悔しない?よかったことと後悔しないための対策

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    ナシ婚は新しい結婚のかたちであり、ナシ婚を選んで実際のところはどうだったのかという情報や体験例はまだまだ少なく、インターネットで調べても一般例や一般論と言えるほどの情報が少ないのが現状です。

    ナシ婚でよかったことは?結婚式なしのメリット

    ナシ婚を選択した場合のメリットとしては、どのような部分が挙げられるでしょうか。
    ナシ婚を選択した場合、結婚式を挙げる場合のデメリットとして考えられていた費用、準備時間、ストレスなどが一切かからないことが挙げられます。
    合理的に、また実務的に考えるのであれば、結婚式を挙げないメリットは大きいと言えるでしょう。

    ・結婚式の費用を二人の新居や家電など身の回りの物を充実させることに使える
    ・結婚式の準備時間を他の結婚準備のための時間にじっくり使える
    ・結婚式準備のストレスやゲストへの気遣いから解放され二人の関係性に配慮が行き届く

    ナシ婚で後悔することは?離婚率が多いって本当?

    ナシ婚を選択したことで後悔している割合の方が多いというアンケート結果もありますが、既にナシ婚を選ぶ人が半数近い現状では、結婚式に対する憧れや認識が変化していくことが予想されます。

    ナシ婚で後悔する理由

    結婚式をしない「ナシ婚」を選択して後悔する主な理由として、インターネットの体験談からは次の3つが挙げられます。これらを見ると、経済的や時間的な事情から結婚式を諦めた場合や、親から後で「結婚式での晴れ姿が見たかった」と言われることで、やはりやれば良かったと考えてしまうことがあるようです。

    【結婚式なし、ナシ婚で後悔する主な理由や体験談例】
    ・結婚式に憧れがあったのに諦めざるを得なかった
    ・結婚式の晴れ姿を両親に見せてられず後から言われた
    ・ゲストを招待できないため大切な人と一同に会う機会を逃してしまった

    ナシ婚は離婚率が高くなる理由

    ナシ婚を選択したカップルは離婚率が高くなる、という調査結果もありますが、その背景として以下のことが考えられます。

    【ナシ婚を選択したカップルの離婚率が高い理由】
    ・結婚式を挙げる経済的な基盤や余裕がない場合は二人の生活が安定しない
    ・結婚式準備や話し合いで行うことが多い経済観念や価値観のすり合わせが行われないまま入籍してしまった
    ・お互いの大切な人や親族などを紹介する機会がなく家族になった意識が薄い
    ・簡単に入籍が済んでしまうため離婚へのハードルが低い

    結婚式には大きな費用がかかり、準備や話し合いにも時間がかかり、ケンカになることもあってストレスもありますが、二人で協力して結婚式を計画して成し遂げることで、入籍前に経済観念や価値観のすり合わせができ、あんなに苦労したのだから簡単に離婚できない…という思いも生じるようです。

    ナシ婚を選ぶ前に後悔しないための準備と対策

    以上の理由や分析から、ナシ婚を選択したことで後悔しないためには、入籍前にパートナーや両家の親と、次のような点をよく話し合って確認しておく必要があります。

    結婚式に対する考えを夫婦でとことん話し合う

    二人とも結婚式に対して同じ価値観であれば問題はないのですが、どちらか片方が結婚式に憧れや思いがあるなら、できるだけ入籍前にじっくり話し合ったほうが良いでしょう。結婚式をすべて行わなくても、現在は結婚の思い出として楽しめるイベントの選択肢が非常にたくさんあります。二人の結婚式に対するポイントを紙に書きだしてみたり、どうしてもやりたいことについてじっくり話し合いましょう。

    両親や身近な人には結婚式を行わない理由をきちんと説明する

    結婚式を行わないで後悔してしまう理由に「晴れ姿が見たかったな」と大切な人たちがら言われてしまうことが挙げられます。結婚式を挙げない理由を両親や親しい人には話しておき、きちんと理解してもらうことは重要です。現在ではフォトウェディングに両親も一緒に参加するケースが増加しており、結婚式はしなくても低予算で晴れ姿を見せることも可能です。

    大切な人同士をお互い紹介する機会を設ける

    自分の大切な人たちに、パートナーとなる人を紹介できないことは大きな後悔になるようです。結婚式は行わずとも、できれば食事会などを催して、本当に自分の大切な人にパートナーをお披露目することや、お互いの身内同士が親睦を深めあうことで、家族としての意識を高めたり、家と家との絆を感じることができるでしょう。

    ナシ婚の結婚準備。結婚式なしでも必要な結婚準備の流れと段取り

    ナシ婚は一般的な結婚式の準備がなくなっただけで、結婚するために必要な準備や手続き、マナーに沿った段取りなどは一般的な結婚準備と何も代わりはありません。

    ナシ婚の詳しい結婚準備については次のページをご覧ください。

    結婚式なし「ナシ婚」に必要な結婚準備を網羅。段取り、費用、準備期間。入籍のみでも大切な結婚報告や手続きは?

    ナシ婚でも必要になる結婚準備の流れと入籍準備

    結婚準備や入籍準備で必要なタスクを一覧にまとめました。
    特に結婚式をしない代わりに、両家の顔合わせや周囲の人たちへの結婚報告、報告後に頂いた結婚祝いのお返しは必ず行うなど、一般的な結婚式のマナーに沿った準備には特に配慮が必要です。

    【結婚式なし、入籍のみでも必要な結婚準備内容一覧】
    ・プロポーズ
    ・親への結婚報告と両家への結婚の挨拶
    ・婚約指輪の検討と購入
    ・両家の顔合わせ食事会(結納)
    ・新居の検討と転居
    ・結婚指輪の検討と購入
    ・職場、取引先、友人への結婚報告
    ・入籍のための届けや姓名変更などさまざまな手続き
    ・結婚式に代わる結婚イベントや新婚旅行
    ・結婚祝いのお返し

    結婚式に代わる結婚イベントの準備期間は3カ月程度が目安

    結婚式に代わる結婚イベントとしては、次のようなイベントが挙げられます。
    一般的な結婚式の平均準備期間は8.2カ月ですが、これらのイベントの準備期間は2~3カ月程度が目安です。準備量も結婚式と比較するとそこまでありません。

    【披露宴、披露パーティ以外の結婚イベント例】
    ・食事会
    ・フォトウェディング
    ・海外挙式や国内リゾート挙式
    ・新婚旅行、家族旅行
    ・カジュアルパーティ など

    ナシ婚の結婚費用。結婚式なしでも必要になるお金の金額相場

    ナシ婚の場合は、結婚式での費用はかからないものの、二人の新生活や結婚の記念となるものを購入するための費用の用意は必要です。

    ナシ婚の詳しい結婚準備費用については次のページをご覧ください。

    結婚式なし「ナシ婚」を選んだ場合の結婚準備に必要な費用。入籍のみ、写真のみ、食事会のみ、旅行のみの場合の費用も大調査

    ナシ婚で結婚式の代わりの結婚イベントを行う場合の費用相場

    必要な結婚準備平均費用金額費用の内訳や補足
    婚約指輪、結婚指輪の購入費用・婚約指輪の平均金額
    35.5万円
    ・結婚指輪の平均金額
    24.2万円(二人分)
    新婚旅行の費用・旅費平均金額
    61.4万円
    ・ショッピング代平均金額
    10.4万円
    人気の新婚旅行の場所別の平均費用(観光消費含む)
    ・沖縄の旅行費用
    1人/90,386円
    ・ハワイの旅行費用
    1人/356,902円
    ・グアムの旅行費用
    1人/235,012円
    フォトウェディング費用・スタジオ撮影平均金額
    15.9万円
    ・ロケーション撮影平均金額
    17.8万円
    ・海外国内リゾート地で行う場合は旅行費用がかかるため、新婚旅行の費用を参照
    ・両親や友人を招待する場合の追加費用例
    ワンポーズ5000円~10000円
    ・フォトウェディングの前後に会食や挙式を行う場合は食事会、挙式の費用を参照
    食事会の費用・料理料金目安
    1人/15000円~20000円
    (コース料理の場合)
    ・飲物料金目安
    1人/3000円~4000円
    ・個室使用料、サービス料
    飲食代金額の10%が目安
    相場は選んだレストランや料亭などにより異なる。
    挙式のみの費用・神社の神前式
    30.1万円
    ・結婚式場のチャペル式
    37.1万円
    ・フォトスタジオ内セット挙式
    10~15万円前後

    データ出展:ゼクシィ 結婚トレンド調査2019調べ

    データ出展:旅行年報2018/ 公益財団法人日本交通公社

    ナシ婚の結婚報告。結婚式なし入籍のみの場合でも親族、会社、友人へ報告は必須

    ナシ婚の結婚報告

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    ナシ婚の場合、周囲の大多数の人たちには二人が結婚したことを披露、報告する機会がないため、自分たちからきちんと報告しないと二人が結婚したことが分かってもらえません。
    結婚報告がない場合に生じるデメリットは、いずれも二人の今後の社会生活の損害が大きいものです。
    何か特別な事情がある場合を除いて、必ず周囲に結婚報告を行うことがマナーです。
    特に自分の親、親戚、会社の上司や同僚、大切な友人には、重要度が高い順に入籍前までに結婚報告を行いましょう。
    最近疎遠な人や、関係性の薄い知人には結婚報告はがきやSNSを利用した入籍報告がおすめです。

    【結婚報告がない場合に考えられる問題】
    ・夫婦だと認識されないことで経済面や制度面で問題が生じる場合がある
    ・社会的に「けじめがない」と思われる場合がある
    ・仕事関係で支障をきたす場合がある
    ・友人関係、親戚関係で相手が不快に感じる場合がある

    ナシ婚の結婚報告に関して詳しくはこちらをご覧ください。

    結婚式なし「ナシ婚」の結婚報告について。入籍のみの親、会社、友人、親戚への報告時期や報告はがき文例

    ナシ婚の結婚祝いやご祝儀のお返しマナー。結婚式なしでも内祝いは必要

    ナシ婚の場合でも、結婚報告を行うと親族や親しい関係性の友人や会社の上司、同僚などから、結婚祝いやご祝儀をいただくことが多いでしょう。
    その際には必ずすぐにお礼の言葉をのべ、結婚祝いのお返し「内祝い」を贈ることがマナーです。頂いたご祝儀やお祝いの1/3~半額程度をお返しの金額の目安として、現金で頂いた場合も必ず品物を購入してお返しを贈りましょう。

    ナシ婚の場合に頂いた結婚祝いやご祝儀のお返しのマナーや金額相場の目安は、詳しくはこちらをご覧ください。

    結婚式なし「ナシ婚」で結婚祝いのお返し「内祝い」の金額相場と贈り方は?お祝いやご祝儀を辞退しても良い?

    まとめ

    ナシ婚とは新しい結婚スタイル。メリットデメリットを見て後悔しない選択を

    ナシ婚とは現在では結婚するカップルの約半分が選択する結婚スタイルです。ただし、結婚式を行わないことはよかった点もありますが、結婚式を行うことで体験する夫婦の価値観や経済観のすり合わせができない点や、大切な人同士の親睦を深める機会を失ってしまうなどのデメリットも考えられます。結婚式については入籍前に、お互いどのように考えているのかをしっかり話し合っておく機会をきちんと設けられるといいですね。

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    この記事のライター

    結婚式準備.com編集部

    結婚式準備.com編集部です。結婚式の準備で悩むプレ花嫁を応援する記事を書いていきます。

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