【結婚と貯金】結婚を考えるすべての人に知って欲しい“結婚のためのお金”のハナシ(2)

結婚を希望している独身男女400名を対象に、『結婚や結婚式へのお金や貯金』についての意識調査がワタベウェディング株式会社により行われました。アンケート結果から、結婚に必要なお金への考え方は、性別や年代によって大きく差があることが浮き彫りに。 今や『結婚式なし』や『フォトウェディング』の選択肢も増加している、結婚式多様性の時代。結婚式に自分のお金や貯金をどう使うべきか、考え込んでしまう方も多いでしょう。 結婚式に使う費用は、どのようにとらえ考えるべきか。今回のアンケート結果をもとに、さまざまな企業のお金の相談に乗っている経験豊富な税理士・秋本晃伸先生にお伺いしました。

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※調査概要
「貯蓄の日に関するアンケート調査」ワタベウェディング株式会社
https://www.watabe-wedding.co.jp/company/press/info/detail.html?press_id=773
インターネット調査/調査期間:2019 年9月13日(金)~9月17日(火)
回答者:20~40代で結婚を希望している男女 400名(男性 200名、女性 200 名)

多様化する結婚式。結婚式にお金をどう使ったらハッピーになれる?

【アンケート結果のここに注目!】
・男性女性ともにゲストのおもてなしのための『食事』を重視
・女性の衣装や当日のコンデションを高めるための『こだわり』はかなり強い
・結婚式の装飾や引き出物など、ゲスト目線は男性の方が気にしている傾向

結婚式とお金『運用目的ではなく、2人の今後の関係性への投資と考える』

── 前回は『結婚前と結婚後のお金と貯金』について、どのように備えていくべきか詳しくお伺いしました。秋本先生のお話をもとに考えると、結婚後の人生に備えるなら“結婚式のために高額な貯金を使う”というお金の使い方は、見直すべきなんでしょうか。

税理士 秋本晃伸先生

税理士 秋本晃伸先生

秋本先生:結婚式のために貯金を使う場合は、運用目的ではなく『2人の今後の関係性への投資』という考え方があると思うんです。
この取材のお話しを頂いたときに、結婚式でのお金の使いかたについて、自分の身の回りの何人かに聞いてみました。
夫婦のどちらかが、結婚式へのお金の使い方が不本意だった場合に「結婚式にかけるお金がなかったからいろいろあきらめた」「自分が新婚旅行代まで出した」など、いまだに言われている僕ら世代(40代)の先輩がいるんですね。

── 結婚式への思い入れやこだわりで、夫婦間で温度差が大きかった場合に、どちらかが妥協して『思い残しがある』ことが、後々になって二人の関係性に響いてくることもある、と。

Q. 結婚式の中で何に最もお金を使いたいですか

結婚式の中で何に最もお金を使いたいですか

── ただ結婚後の生活を考えると、貯金を使い果たした状態からのスタートは、不安な気持ちが大きいのも分かります。

秋本先生:実は、僕は結婚するときに、自分の貯金を全額使い果たしたんです。
新婚旅行、婚約指輪、挙式、披露宴…。そのために車も売りました。売った車で得たお金は、たった38万円だったんですけど…。
それがいいかどうかは別として、とにかく貯金は全部なくなりました。

── ええっ!い、潔(いさぎよ)い…。

秋本先生:ちなみに僕は、新婚旅行に1番お金を使いました。奥さんの希望で、新婚旅行は南アフリカに行ってきましたよ。貯金をはたいて車も売って。
でもおかげで、いま思い出してもすごく楽しいと思える、素敵な思い出ができたんです。

── そういば、以前取材させていただいたウェディングプランナーの方が「二人の中で結婚式の大切な思い出があれば、長い結婚生活のうち苦しいときも、それを思い出して乗り越えられることもある」とお話ししたくださいました。結婚式での素敵な高い思い出は、二人で続ける人生と関係性にとてもプラスになるんですね。

【ウェディングプランナーのお仕事】岩本紗季さん・ザ ミーツ マリーナテラス編

秋本先生:自分の結婚式だけでなく他人のものも含め、『結婚式』とは本当に楽しく幸せなものだと思っています。
僕は今までに44回、友人や知人の披露宴に出席しました。税理士という仕事柄、35回目の結婚式で収支を計算してみると、ご祝儀や交通費で200万円弱の出費でした。
でも、人の幸せのためにお金を使ったんだと思うと、自分も楽しくなる。友達とわいわい飲んでお祝いをして、楽しい関係性のために使ったお金だからですね。
結婚式は2人の関係性だけでなく、招待したゲストをおもてなしして、今後続けていきたい関係性を改めて深めていくという側面も持っていると思うんです。

── 結婚式がないとなかなか集まらない、会えない人間関係もありますよね。関係性が深い人だけで一堂に集まる場や機会は、歳を重ねるごとにどんどん失われていくなあと感じます。

結婚式と貯金『結婚式で貯金がなくなっても結婚後は周囲が変わるから大丈夫』

結婚式のお金

── 実際に、結婚式で貯金がなくなったとしても、結婚後の生活や経済面はなんとかなるものなんでしょうか?

秋本先生:僕自身の経験では、なんとかなりました。というのも、結婚すれば“周りが間違いなく変わる”からです。
結婚すると、少なからず周りが祝福してくれるんです。また会社や仕事上で、家庭を背負っているという立場としての見方が変わってくる。例えば営業職であれば取引先でもお祝いの意味も込めて「結婚したんだから頑張って」と責任ある仕事を任せてもらえるケースもあります。こうやって、他の人の視線が変わっていきます。

── 社会的に二人の関係をお披露目して夫婦として認めてもらう意義は、人間関係や仕事をしていく上で、周りに与える影響が大きいんですね。

秋本先生:責任ある仕事に併せて収入も変わってくれば、社会的責任が強くなる。また周りが変わることで、自分もその視線に見合うよう変わろうとする意識も強くなるでしょう。
『結婚していい方向に変わる』ことは明らかに多いと、僕は思っているんですよ。

結婚式はお金も貯金もなくてもできる!身の丈に合った満足度の高い結婚式の費用

【アンケート結果のここに注目!】
・結婚式のためのお金がない!場合の男女や年代で考え方の違いが明確に
・ブライダルローンは若い世代ほど組むことに抵抗が少ない傾向
・親からの援助について。親を積極的に頼るのは男性の方が多い
・貯金がない場合の結婚式、男性は貯まるまで待つ派、女性は少ない予算内で実行派

結婚式のお金の負担『どこでお金を使うかの見極めが大切』

── もともと持っている手持ちの貯金もお金も少ない場合、結婚式費用はどう用意したらいいでしょうか。20代など若い世代の方は、ブライダルローンの利用や、親からの援助や借入を受けることを考えている方たちも多いようです。

秋本先生:結婚のときは幸せのために、たくさんお金使うべきだと思うのですが、若い二人がローンを組む場合は、今後の負担を考えてからにしましょう。
借金すること自体は悪いことではありません。車や不動産などの購入にローンを組むことはきちんと手元に残るものです。借入があるから財産を得られ、行動範囲がいろいろ広がっていったり、利益を得ていくための手段になりますから。

Q. 結婚式の費用が足りない場合はどうしますか?(年代別)

結婚式の費用が足りない場合はどうしますか

ただ、結婚して新生活を始めるタイミングでローンを組むことは、一度冷静に考える必要があります。人生は結婚式後もずっと続いていき、お金を使う重要な場面がまだまだあるんです。
収支をまず、きちんと計算したうえで『このお金が本当に必要かどうか』を見極めることが必要ですね。

── 今後必要になるお金は、ここ(結婚式)なのか、この場面ではないのか。ブライダルローンはじめ借入の際は、今後予想されるライフイベントに合わせて見極めていくことが大切なんですね。

秋本先生:ブライダルローンについては返済の計画がきちんと立てられていれば、利用も考慮に入れていいでしょう。返済期間が一年以内で全額返済可能な金額の範囲での利用をお勧めします。
もちろん、借入してもほとんどの人が、きちんとローンの返済ができていますよ。
ただ、結婚式で貯金以外にお金が必要である場合には、もっといろいろな選択肢があるはずなんです。

── 地域差も大きいですが、例えば結婚の際に両家の親からの援助や借入を受けることも、結婚式の費用を用立てるうえで慣習的な考え方と言えますね。

秋本先生:できればお互いのご両親に援助や借入について相談してみるのが一番ですね。
親から子どもに送金する際に年間累積110万円以上で贈与税がかかりますが、結婚や結婚式にかかるお金の援助には、常識的な金額なら贈与税はかからないんです。
親がお金を使って経済を回してもらえば、みんながハッピーになる。幸せなことにはお金を使う、という考え方も必要だと思いますよ。

結婚式は貯金ゼロでも可能『二人で身の丈に合った収支を考えることが結婚の第一歩』

Q. 結婚式の費用が足りない場合はどうしますか?(男女別)

結婚式の費用が足りない場合はどうしますか

── こちらのアンケート結果からは、結婚式の費用が足りない場合、女性の方が記念の写真を撮るなど『その時ある貯金内で可能な方法』を選択する傾向が強いように読み取れます。

秋本先生:実際には貯金ゼロ円でも、ゲストからいただくご祝儀を予測して収支をしっかり考えれば、結婚式を挙げることは可能なはずです。
ただ、結婚式の準備で、多くのカップルがお金の使い方に関して喧嘩することが多いと思うんですよ。特に男性は見栄っ張りなので、どうしても新婦に比べて「ゲストを多く招待したい」なんてことを考える傾向が強い。

── 夫婦としての第一歩は、『結婚式のお金についての話し合いから始まる』とも言えそうですね。

秋本先生:お金がないのに見栄を張るのではなく、まずは2人で収支をきちんと計算して話し合い、やってみることが大切だと思います。
ここでうまくやりくりができて、二人が満足できる結婚式が計画できる夫婦であれば、今後の結婚生活や人生においてもきっと大丈夫だと思いますよ。

── 人生で長い結婚生活を始めるうえで、結婚式とお金について夫婦で真摯に向き合うことは、お互いの絆を深め合う方法であるとも言えそうですね。
前回に引き続き、結婚だけでなく人生について考えるきっかけになる『お金と貯金』のお話を、本当にありがとうございました。

【結婚と貯金】結婚を考えるすべての人に知って欲しい“結婚のためのお金”のハナシ(1)

お話をしてくれたひと

税理士法人アタックス横浜事務所
所長税理士 秋本晃伸先生

税理士 秋本晃伸先生

税理士業17年、税理士キャリア9年。税務会計顧問、法人設立、確定申告、相続、M&A、金融機関との折衝、ビジネスマッチングなどさまざまな仕事を手がける傍ら、ドクター向け税務セミナーや相続セミナーなどの講演も精力的に行う。
私生活では結婚生活10年目。年上の奥様、8歳、5歳の2人のお子さまの4人家族。自他ともに認める愛妻家かつ子煩悩。
結婚式では自身の貯金を一度全額使い果たした上に所有する車も売却して費用を用立てるも、現在は不動産で自宅とマンションを所有。貯蓄以外に保険積立も行う。
趣味はサッカー、車、旅行と多趣味。
広島県出身 42歳。
久留米大学附設高等学校、横浜国立大学経営学部卒業。

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この記事のライター

結婚式準備.com編集部

結婚式準備.com編集部です。結婚式の準備で悩むプレ花嫁を応援する記事を書いていきます。

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